学校
「それじゃ、雫さんこの問題答えてくれる?」
「はい、先生」
そう答えると、黒板に向かい算数の問題を解いていく。
「(先生、やたら私に問題ふってくる気がするが気のせいだろうか)」
既に入学から3か月程経過しており、同じクラスの中でも比較的勉強のできる子とできない子が出始めていたりする。そんな中、雫はあてられても必ず答えられるので、先生は誰も答えられない問題や面倒な場合には私を指名していた。頼られているということなのだろうか。
「なあ、雫はなんで勉強できるんだ?」
「あっ、それ私も知りたい」
「(なんでってそりゃ、小学生レベルの問題は解けないとまずいでしょ)」
給食の最中に彩花と健也と話しているとそんなことを聞かれた。入学式の日に知り合った、2人とはいまだに付き合いがある。というか、一番仲がいい友達だ。
「学校に入る前から勉強してたからかな」
「(嘘ではない。嘘ではないからな)」
「だから雫ちゃんは勉強ができるんだね」
「なるほどな、ならできるもんな」
2人共素直だったので、それで納得してくれたみたいだ。
「ねえ、私に勉強教えてくれない?」
「俺も教えてくれよ」
「(二人共なかのいいことで)」
「いいよ。教えてあげる」
「やったー」
「約束だぜ」
そんな感じで2人に勉強を教えることになった。
「位置について、よーい、スタート」
体育の授業である。定番の25メートル走。スタートの合図とともに5人ずつ走りだす。足に力を入れて走って行くと、あれよあれよと周りを追い抜いていく。そんな感じでトップでゴールする。
「速いな、雫は。大会とか出てもいいんじゃないか」
「あはは、ありがとうございます」
そんな感じに先生に褒められたりする。
「(この身体、スペック高すぎだな。身体培養の影響かな。遺伝情報書き換えの影響か?)」
そんなことを考えていた。
「雫ちゃん凄いね。頭も良くて、運動もできて。」
とは、彩花。
「次は俺と勝負しようぜ」
とは健也。
「いいよ、健也。放課後勝負しようか」
「約束だからな」
「がんばってね。雫ちゃん」
「(悪いな健也。お前じゃ私には勝てんよ)」
「もう一回!」
「もう50回はやってるよ。もう終わりにしよう」
「いや、お前に勝てるまではやめないから」
「雫ちゃんに勝てるわけないよ。健也もあきらめたら」
「わるいな彩花。男には負けられない戦いがあるんだ」
「負けてるだろお前」
「うるさい、雫。よし、次行くぞ」
日暮れまで戦いは続いたが、全て雫の勝利となった。
「(大人気なかったかな。でも、今は子供だし)」
帰り際ふと思ったが、気にしないことにした。