忍者服
「明日出発しようと思う。」
いきなり本題に入る楓。
「その前に、やってほしい事がある。まず、海実。自服の修正と武器の点検。」
「終った。」
「よし。次に瞳。武器の点検‥やった?」
「これからやりまっす♪」
「忘れんなよっ。で、飛鳥。新しい服に着替えるのと、武器を選んでもらう。
これは沙理も同じだな。後でうちが説明する。
他には‥‥飛鳥は瞳、沙理は海実に武器の使いかた等を教えてもらえ。
うちは服を渡した後、新しい通信機を作る。今日中になんとか人数分は作れると思う。
以上!質問は?」
「……。」
「おっけ。無いって事だな。じゃあ、今言われた事を全員全てこなしてから明日出発。」
「分かった。」
説明をしてくれるというので、早速楓に近寄る。
ちょっと来て、と言われ他の場所に移動すると、服を渡された。
「うわっ!すごいっ!」
忍者服というのは一人一人少しでも違うらしく、同じ服は二つ無いと言う。
確かに全員のを見ていたが、同じだった服はなかった。
私の服は、柔らかい生地で出来ており、少し濃い黄色や、オレンジ色をしている。
浴衣をイメージして作られているのか、腰には大きな帯びがついている。
両肩を一部出すような格好だった。
短いスカートにはスリットは無く、中にズボンを着用するという格好だ。
すごく気に入った私は、早速ドレスを脱ぎ着替える。
この先必要ないドレスは、楓のアイディアで木に括り付けておいた。
一方沙理の忍者服は、大人しそうな性格からして作られたのか、腕の裾とスリットの付いたスカートの丈がとても長い。
色は淡いピンクで、とても綺麗だった。
前には釦、腰には朱色の蝶々模様の紐で結えてあるのが、衣装の綺麗さを増す。
楓はどんな服だろう?と興味深く眺めると、全体的にシンプルで、黒の紐が腰に結えてある。
その紐に掛てあるのは何だと聞くと鞭だと答えてくれた。楓の武器の中の一つらしい。
七分丈のひらひらした裾に、スリットの下に履いている黒いスパッツが見え隠れする。
他の瞳と海実の服も気になるから、後でチェックしよっと思いつつ、新しい靴までも履く。
この靴はサイズが違うだけで、デザインは皆、同じらしい。
とても軽く、走りやすいしサイズも丁度だった。
「楓、ありがとう。」
初めて見た楓の笑顔は、とても幼げで温かった。