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Big Apple  作者: よろず
5/6

Christmas Eve

ホストファミリーとのお話。

イアン、出番無しです。

 試験が終わって休暇に入る時の解放感ってたまらない!

 クリスマスマスはみんな家族で過ごす為に地元や国に帰ったりで慌ただしい。去年は私もその一員だったけど、今年は一月あるクリスマス休暇はこっちに残る事にしたの。ホストファミリーのママ、理奈さんが、こっちでのクリスマスに誘ってくれたんだ。

 クリスマス前のニューヨークって最っ高に素敵なの!

 ツリーやイルミネーション、スケート屋外リンクがあったり、ビルの壁を使ったプロジェクションマッピングとかもあるんだ。クリスマスマーケットも開かれてて、そこを見て歩くだけでもワクワクしちゃう。


「マミ、クッキー美味しそうだね!食べたいなぁ。」


 私は今、キッチンで理奈さんのお手伝い。ホストファミリーのテイラー家の子供達も一緒。

 焼き立てのチョコチップクッキーをキラキラした顔で覗いてるのは10才のレオ。お姉ちゃんのアンナは12才。彼女は次に焼くクッキーの用意をしている所。

 日本人とアメリカ人のハーフの二人はとっっっても可愛い!両親の良い所取りした顔付きで、柔らかいブラウンの髪にブラウンの瞳。くりくりした瞳がとってもキュート。肌は白人程白くはないけど、日本人よりは白くてすべすべ。


「レオはこれ混ぜてね!」


 ママの理奈さんから渡されたボールをレオはくるくる混ぜ始める。中身はマッシュポテト。ディナーの付け合わせ。メインディッシュは理奈さんと旦那さんのアダムが担当中。

 アメリカのクリスマスは宗教的な意味合いが強いの。日本みたいに恋人とケーキにパーティーではなくて、家族で過ごす。

 N.Y.(ニューヨーク)はいろんな人種が暮らしてて、挨拶は"メリークリスマス"より"ハッピーホリディ"が主流なんだってエレンが教えてくれた。

 クリスマスイブの今日は、アンナとレオの祖父母と一緒に夕飯を食べてから教会に行く予定。私も連れて行ってもらうんだ。

 夕飯のメニューは、感謝祭の七面鳥みたいにこれを食べるっていう決まりはないみたい。デザートはクッキーとアイスクリーム。私とアンナが焼いているのはその為のクッキー。夜寝る前にはサンタクロースの為にミルクと一緒にクッキーもツリーの下に置くんだって。

 ツリーの下にはたくさんのプレゼント。クリスマスマスカードも部屋に飾ってある。その中には、私の家族や友達からの物もあるんだ。


「さぁさぁスウィーティー、ここはもう良いから着替えていらっしゃい。」


 理奈さんの号令で私とアンナは部屋に引っ込む。クッキーは全部焼けて、あとはメインディッシュの仕上げだけ。

 理奈さんが使う"Sweetie(スウィーティー)"って単語、日本で英語の勉強していた時には聞いた事なくて、こっちに来て初めて知った。"可愛い子"って意味みたい。なんだか愛に溢れた言葉って感じがして、私の事もそう呼んでくれるのがこそばゆくて嬉しい。


「マミ、マスカラ貸して!」


 メイクしている途中でアンナが入って来た。アンナはメイクに興味津々のお年頃。学校の友達の中には自分のメイク道具を持ってる子もいるんだって。


「あんまり若い内にメイクしてると大人になってから後悔するよ?」


 苦笑して振り向いた私に近付いて来て、アンナは目をパチパチさせながら両手を組んだお願いのポーズ。


「だって、教会にマークも来るって言うの。可愛くしたいよぉ。」


 マークはアンナが今恋をしている相手。しょうがないなぁって笑って、私はベッドの上に腰掛けたアンナの隣に移動する。


「お肌は綺麗だからマスカラだけね?」

「アイラインは?」


 私は少し悩む。こっちのメイクって、結構アイラインバッチリな気がするんだよね。

 期待の眼差しに肩を竦めて見せて、私はメイクポーチを漁って黒のアイラインを持った。


「失敗しないようにやってあげる。良い?」

「やったぁ!今度やり方教えてくれる?」

「日本人向けのメイクしか分からないよ?」

「大丈夫!半分は日本人だもん!」


 ほんっと可愛い!私は姉しかいないから、アンナは妹みたいで可愛いんだよね。

 おしゃべりしながらアンナにメイクして自分の支度も終えて部屋を出た。


「僕の可愛いアンナ、見違えたね!」


 アダムがにっこり笑顔で両手を広げてアンナを抱き締めて頬にキス。続いて私も抱き締められてキスをもらった。


「もう一人の娘も綺麗だよ!」


 アダムはブラウンの髪にヘーゼルの瞳でお腹がぽよんと突き出てる。お髭があるからキスはちくちくくすぐったい。アンナと顔を見合わせてくすくす笑って、私達はテーブルのセッティングのお手伝いに向かう。


「マミ、ママに内緒でクッキー一枚だけ!プリーズ(おねがい)?」


 キッチンにやって来たレオのおねだり。プリーズって言葉を強調してのパチパチお目々の上目遣い。おねだり上手なんだから!


「ちゃんと芽キャベツ食べるなら叶えましょう。」

「えー、マミ最近ママみた〜い」


 腰に両手を当てて理奈さんの真似をしたらレオは唇を尖らせた。


Mammy(マミー)だからね。でしょう?べイビー。」


 すべすべほっぺを軽く摘まんでから、私はレオの好きなチョコチップのやつを一枚取って半分に割る。


「ご飯の前だから半分こ。ね?」

「うん!ありがと、mammy(ママ)!」


 かぁわいー!

 ニコニコクッキーを頬張るレオを見ながら私もクッキーを食べる。だけどアンナに見つかって、拗ねたアンナには私の食べ掛けを口に放り込んであげた。

 そうこうする内にベルが鳴ってお客さんが来たみたい。駆け出そうとしたレオを呼び止めて、親指で口元を拭う。


「チョコ付いてた?」

「付いてた。綺麗になったよ。」

「ありがと、マミ!」


 満面の笑みでチュッと頬へのキスをして、レオは再び玄関へと駆け出した。

 私もアンナとレオを追って玄関へと向かい、少し後ろで家族の挨拶を見守る。


「私達の三人目の孫のお顔を良く見せて?」


 アダムのお母さん、私達がグランマって呼ぶ彼女はふくよかでおおらか。私にもとっても良くしてくれる。挨拶のハグとキスを返して、今度はアダムのお父さん、グランパにもご挨拶をした。

 グランパはアダムとよく似てる。白い髪に白いお髭。赤い衣装を着たらサンタクロースになれちゃいそう。


「マミは少し見ない内に女らしくなったか?」

「感謝祭に会ったばかりじゃないですか。」


 グランパの言葉に苦笑する私をアンナが肘で突ついてニヤニヤ顔。


「グランパ、マミは最近恋人が出来たんだよ。」

「なんだと?どんな男だ?」

「まぁまぁ父さん、こんな所でいつまでも話してないで、食事にしましょう。」

「おぉ、そうだな。食事をしながら詳しく聞こう!」


 アダムに促されて、私達はそれぞれ食卓へと向かう。

 グランマもグランパも、近所に住んでるの。私にもとっても良くしてくれて、アメリカでの私のおばあちゃんとおじいちゃんって感じ。

 みんなでご馳走を食べて、最後にクッキーとアイスクリームを食べる。一息付いたら教会に行って、クリスマスページェントって呼ばれるキリスト誕生の劇を観て、歌を聞いた。

 お家に帰ったらサンタクロースのお仕事のお手伝い。

 レオを寝かせて、アンナも寝たのを確認したら、ツリーの下にサンタクロースからのプレゼントを追加する。そして、アダムと理奈さんと一緒に子供達がツリーの下に置いたクッキーとミルクを食べながら少しおしゃべり。

 大学の事だとか、世間話。二人のお話を聞くのはとても勉強になるから大好き。

 明日の朝、ツリーの下に積まれたプレゼントに駆け寄るレオとアンナの笑顔を想像しながら、私も眠りに就いた。

綴りや文法があっているか不安ですが、マミのジョーク解説〜 (パフパフー)

『Because, I am "Mammy". Aren't you baby?』

『だって、ママだからね。でしょう、坊や。』

マミの名前と発音が似ている『マミー』、『ママ』という単語を使った冗談。

きっとレオは赤ちゃん言葉で返事をした事でしょう。


正しいスペルや文法を知りたい人は学校の先生に聞いて下さい。

意味わかるかな?と不安だったので解説でした。

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