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魔王の誕生

ゴウゴウと燃え盛る炎、

中に見える人影、

それを取り囲み、祈りを捧げるエルフ


それに答えるように、天から光が注がれ、今まさに神がその身を地上に顕さんとしている


降り注がれる光は年々収穫量の減っている黄金の畑に活力を与え、

寝たきりの老人が飛び起きんばかりの活力を人々にもたらす


まるで時が戻るかのように...

いや、輝かしい未来へ時を飛ばすかのように


それを見た人々の信仰はより深く、より純粋なものへと昇華されていくだろう


...


.........


...............


つまらない


つまらないつまらないつまらない


ありきたりすぎる

都合が良すぎる

なにより、しょぼすぎる


神が降臨するんだろう?


もっと難しい条件で、

もっと特殊な状況下で、

もっと特別な理由で、

それでようやく、なんとかして、

それで現れるのが神ってもんだろ?


なんだよ、

花を見つけたから

王族の血筋だから

俺を見ることが出来るから?


いずれにしても...


もっと、

もっともっと...


血が滾るような、

そんな展開じゃなきゃ...


ああ...もどかしい

なぜ俺は現世に干渉できないんだ?

なぜこんな陳腐な物語で諦めるしか無いんだ?


なぜだ?

なぜなんだ......?


気づかない内に汗が流れ、

地面に落ちる


そしてその汗が

ハナニラを焼く炎で蒸発したことに気づく


...

神が降臨できるほどに、

今、

彼女は一種の無防備な状態


今の俺が霊的な存在なら

もしかしたら...


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


炎が勢いを増し、

神聖さを感じる白炎になり、


民衆の興奮がピークに達する

と、同時に、白炎に黒が混じる


晴れ渡り、天からもたらされた光は陰り

空気が淀んでいく...


気が付けば白炎は紫炎に変わり

収束していく


誰かの叫び声、

伝播する恐怖の渦


兵士たちは炎を囲い、

王族を守り、

そしてその王族はこれは魔女の呪いだと叫ぶ


炎の収まった先には完全に炭とかして動かないヒト形


恐怖が収まり、

儀式を台無しにした魔女への怒りが込み上げてくる


石と罵声がが投げつけられ、

兵士の1人が何を考えたか炭に向かって槍を突き刺す...


すると...

皆の予想とは裏腹に、

刺さったはずの槍は溶け、

紫色の液体が溢れてくる


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ははははははっはははっ!!

なんだよ、最初っからハナニラは俺への贄だったってのか?!」


溢れる力にそう、嘲笑わずにはいられない


「なんだ?どうなっている?!

答えろッ、ヴァーン・ブロウタ!!」


「?」


誰だ?と、思ったが、この状況で指すのは俺...

もといハナニラしか無いだろう


今の姿は...ハナニラのままか


紛らわしいし、

毒虎の姿になろう


「っ?!」


「俺はヴァーン・ブロウタではない

その信仰対象の...」


本名で名乗るのはな...

確か、魔法と異能の勉強で、

強力な毒を使う魔人の名前が...


「ファルマコン、

魔人ファルマコンだ」


変身薬を改悪して作った

一度だけ、一部分だけ、

薬を摂取してから最初に想像した生物になる毒

を散布する


龍、虎、悪魔、親、子、友人、恋人、

木、草、花、麦......

のような物に変化していく手足や顔


まさか美しいと言われるエルフだとは思えない

醜い姿、形


そしてそいつらを

まるで本物の虫のように踏み潰していく


逃げるやつらは追わない

代わりに幻覚作用のある毒や痛覚を倍増させる毒を与える


「どうした?残っているのは殺されたいという事か?」


結界を張り、

体の半分を樹木に変えた女王を見る


「ははははっ!醜いなあぁ?」


「化物め...」


「あっ、いいこと考えたぞ。お前は魔王になるんだ。

自国の民を毒と植物で苦しめる毒花...アコニタムとして、

1000年、2000年と残る戒めになるんだ」


「「「「「「ッッッッッ!!」」」」」」


「...はあ、なんだ?だれだ?

さっきからうっとおしく魔法を放ってきているのは?」


「ひっ!」


「王子!!」


「ほう...王子か、

母を守ろうという事か、安心しろ、ついでにお前もだ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


いろいろやって女王を魔王に、

王子を魔王を守る門番にした後

予想していた時間に旧準備室に戻った


やはり現世にいられるのは30日間だけというのは

受肉しても変わらないらしい


「まあ、今度からは俺を見えるやつには取り憑くことが出来るってわかったし、

少し悲しいが、十分な収穫だ」


強がってみたが...

やはり残念だ


今回のことで、

”神は堕とすべき存在”だというのに気づいてしまったのだから...


己の欲求、その根源を認識すると、

それまでの行動が馬鹿らしく感じてしまって


純粋に未知を楽しむことが出来ないかもしれないのは...

本当に残念だ

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