別れの時
「精霊さん、帰って来るの遅いなぁ・・・」
「お迎えにあがりました。どうぞ、こちらへ」
1日だけ離れるといい
戻ってこない者を待つために、
王族への謁見、褒美の下賜を延期することなどできない
「王宮に到着いたしました。
時間まで控室でお待ち下さい」
「はい」
精霊さん、
それは幼い頃にであった
私にしか見えない
不思議な存在
1月前、
再び会うまで
現実なのか幻覚なのか、
自分でも疑ってしまうほどに、都合のいいときに現れ、
私に希望を与えてくれた
あの頃の私は
ハーフという理由でいじめられ、
親は亡くなり、
その日を生き残ることに精一杯で、
全てが滅んでほしいとすら願っていた
でも、精霊さんが教えてくれた様々なことが、
私の明日を生きる術になった
精霊さんが教えてくれた魔法は
純血エルフより魔力が少ない私でも使えたし、
薬の知識・・・は全然だったけど、
毒薬のことなら、誰よりも色んな知識を持っていた
まあ、知識が偏っていたから
影響された私も、”腐食の魔女”なんて呼ばれるようになったけど
「もしかして、予定より早く帰っちゃったのかな・・・」
精霊さんは30日間って言っていたけど、
初めてあった時は21日で帰っちゃったし
精霊さんの知らないルールがあるのかもしれないしね
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「〜ーー・・。気づかれてないよな?」
「当たり前だろ。あの魔女はまともな教育受けてないから、疑うというのを知らないんだから。」
「だが、万が一がある。気を緩めるなよ」
「わかってるって」
「それより、そろそろあいつらも戻って来る頃だろ?まだ来てないのか?」
「そうだな〜、おっ、噂をすればなんとやらだ」
「ただいま帰還しました。」
監視していた奴らを追跡していたが、
もう夜が明けていたのか
こいつらずっと地下で迷路をぐるぐる回って、
移動に時間かけすぎだろ
しかし、先に地上にいた2人が言っているあの魔女というのは、
もしかして、ハナニラだろうか?
「どうして遅れたんだ?」
「ここ1ヶ月間、対象が誰もいない空間に向けて1人、話しかけていたため、隠れて何者かが接触している可能性を踏まえ、後をつけられないように遠回りして来ました。」
なるほど、
まあ、いきなり独り言が増えたら怪しいよな
恐らく俺が来る前から監視していただろうし...
「そうか、ご苦労。しかし、もし何者かがいたとしても、もはや今から行動を起こしたところで間に合わないだろう。」
「そうだな。
連れて来る途中で気づかれて逃げられるのが一番可能性があったけど、
もう王宮まで行ってるわけだし、止めるなんて、不可能だろ。」
「だから、お前はまだ気を緩めるなって言ってるだろうが!
祭壇に魔女を連れて行く仕事があるから、お前のせいで気づかれることがあれば、
一族郎党だぞ?!」
「はいはい。
ちゃんと切り替えるから安心しろって」
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「これより、腐食の魔女ヴァーン・ブローム・ブロウタに、
信敬花ブロートを発見した褒美として、栄誉ある儀式に参加する権利を与える
ヴァーン・ブローム・ブロウタ、前に出なさい」
「はい」
国民が集まる中、
魔女である私に栄誉を与えるという事態にざわめきが広がる
「静粛に、静粛に!」
宰相が制止し、
一応の静寂が訪れたが、
それでも依然として懐疑的な視線は変わらず、
同時に、
これは侮辱的だと感じたのか、
顔が真っ赤になっている人もいて、
笑いを堪えるので必死だ
ああ、
これを精霊さんと見たかったな・・・
「それでは、儀式について説明する。
これは、はるか昔
人と神々が今より近くにあった頃、
我々は清らかなる巫女と、ある花・・・ブロートを用いて儀式をし、
神のお言葉を聞いていたとされている。」
「「「「ざわざわ・・・」」」」
「静粛に!!
ゔっうん、えー、
皆が知らないのも無理はない。
これは王族と、一部の神官だけに代々言い伝えられていた伝説であったからだ。」
「本来ならば、王族である第1王女か、第二王女が儀式をする予定であった。
しかし、発見者は半分は穢れた血を持つが、もう半分には王族の血を持つ者であった。
よって、2輪ある内の1つを使い儀式を行う栄誉を与えることが決定したのだ」
っ?!
王族の血を引いているだの、巫女になるだの、
聞いていない情報に戸惑っていると・・・
「うむ、本人も異論がないようなので、早速儀式を開始する。
ヴァーンよ、祭壇の上に横になれ」
拒否する間もなく参加が決定されてしまった
まあ、声が聞こえなくても、適当に神様の声は素晴らしかったとか、
国王の慈悲に感心していたとか言えばいっか
少し高めの祭壇によじ登り、ブロートを受け取る
・・・これで祈ればいいのかな?
「よし、着火!!!」
は?
ボウッと一気に火が燃え上がり、祭壇は炎で包まれた
「さあ、皆のもの祈るのだ!
清らかな巫女の贄と、ブロート、そして祈りが合わさることで、我らが神が降臨なさる」
轟々と炎の燃え盛る音で、ほとんど音が聞こえない中、その声ははっきりと聞こえ、
同時に今の状況を理解していく
騙された
こうして、私は”信仰対象”を呼び出すための贄になった・・・




