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俺の幼馴染が可愛い上に転校生も可愛いとか聞いてない!~隣の席は修羅場です〜  作者: haka


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2/2

2.芽生と雫、最初の攻防

転校生、白雪雫が俺の隣の席に座ってからというもの、教室の空気は目に見えて変わった。休み時間になれば、男子たちは遠巻きに雫を眺め、女子たちも遠慮がちに声をかけようとソワソワしている。そんなクラスの視線が、なぜか俺の隣に座る雫、そしてその隣の俺に集中しているような気がして、居心地が悪いことこの上ない。俺は「空気」がモットーなのに、こんなに目立つのは勘弁してほしい。


「ねぇ、相模くん。この問題、教えてくれないかな?」


透き通るような声が、俺の耳元で小さく響いた。

隣を見れば、雫が教科書を指でなぞっている。顔が、やけに近い。白い肌から微かに香る、甘い香りに、心臓がまたドクンと鳴った。

「あ、ああ、いいぞ。えっと、ここか?」

俺が慌てて身を引くと、雫はクスッと小さく笑った。人形のような顔が、少しだけ緩んだように見えて、なんだか妙にドキリとした。


「ゆーま!なにしてんの!私にも教えてよ!」

その時、まるで俺と雫の会話を遮るかのように、芽生が突然、俺の机に両手をバンと叩きつけた。普段よりも一段と声が大きい。

「お、おい芽生、いきなりどうしたんだよ」

「どうしたんだよ、じゃないでしょ!私だってゆーまに聞きたいことあったのに!」

ぷんぷんと怒っている芽生の目は、なぜか俺ではなく、その隣の雫をちらちらと窺っているように見えた。気のせいか?


「桜坂さん、相模君に何か御用ですか?」

雫は、一切表情を変えることなく、静かに芽生に問いかけた。その声音は、どこか冷たい響きを帯びている。

「別に、雫さんには関係ないでしょ!ゆーまとは、昔からこーんなに仲良しなんだから!」

そう言い放つと、芽生は俺の腕にギュッと抱きついてきた。俺は突然の行動に固まり、教室中の視線がさらに俺に突き刺さる。

「え、芽生!?」

「なに?ゆーま、嫌なの?」

芽生が上目遣いで、少し潤んだ瞳で俺を見上げてくる。クラス中の男子からの「お前、いい加減にしろよ!」という無言の圧が、背中に痛いほど突き刺さった。


「そうなんですか。相模君、困ってるように見えますけど」

雫は、芽生の行動にも動じず、ただ淡々とそう言った。その視線は、確かに困惑している俺に向けられていた。

「困ってなんか、ないもん!ね、ゆーま?」

芽生は俺に同意を求めるように、ギューッと腕を締め付けてくる。正直、困ってないと言えば嘘になるが、ここで芽生を突き放すのも、なんだか可哀想な気がして。

「あー……まあ、芽生とは昔からの付き合いだからな」

俺が苦笑いしながらそう言うと、芽生は満足そうにニコッと笑い、雫はフッと何かを諦めたように目を伏せた。

……いや、諦めてない、ような気がする。


放課後。クラスメイトが帰り支度を始める中、俺は日直の仕事で黒板を消していた。

「相模君、手伝います」

後ろから聞こえた声に振り返ると、雫がチョークを手に立っていた。

「え、いいのか?悪いな」

「いえ。私も、少し残っていたかったので」

雫はそう言うと、静かに黒板の半分を消し始めた。その流れるような動きは、まるで一枚の絵のようだった。

二人で黙々と作業を続けていると、教室のドアがガラッと開いた。

「ゆーま!まだいたの?一緒に帰ろー!」

声の主は、もちろん芽生だ。彼女は俺と雫が二人きりでいるのを見ると、一瞬、目を見開いた。

「あ、芽生。ちょうど終わるところだ」

「ふーん。雫さんも、お疲れ様」

芽生は、にこやかながらも、どこか刺々しい声で雫に言った。

「桜坂さんこそ、お疲れ様でした」

雫もまた、感情の読めない声で返す。二人の間に流れる空気が、再びピリッと張り詰めた。まるで、目に見えない火花が散っているような……。

「さ、ゆーま!早く行こ!」

芽生は俺の腕を掴むと、雫に背を向けるようにして、有無を言わさず教室から引っ張り出した。

「あ、おい芽生!ちょっと待てって!」

俺は雫に一言詫びる間もなく、引きずられるように教室を後にした。


夕焼けに染まる帰り道。

「ねぇ、ゆーま。雫さんのこと、どう思う?」

隣を歩く芽生が、突然真剣な声で尋ねてきた。

「どうって……転校生で、美人だし、物静かだよな」

俺が素直な感想を口にすると、芽生はムッと頬を膨らませた。

「それだけ!?他にもっとないの!?」

「他にもって言われてもな……」

正直、まだあまり話したこともないし、それ以上のことはよく分からない。

「ふーん……。ま、ゆーまはバカだから、そんなもんだよね」

芽生は、納得したような、していないような顔で、独りごちた。

俺は釈然としないまま、今日の出来事を思い出していた。芽生と雫、二人ともなんだかいつもと違う。特に、俺を挟んでのあのやり取り。

あれは一体、何を意味していたんだろう?

鈍感な俺には、まだそれが「最初の攻防」だったなんて、全く気づいていなかった。


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