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俺の幼馴染が可愛い上に転校生も可愛いとか聞いてない!~隣の席は修羅場です〜  作者: haka


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1.平凡な朝と、隣の席の君

俺、相模悠真の人生は、ずっと「平凡」という二文字で彩られていた。

特技なし、趣味なし、彼女なし。クラスメイトからは「空気」とまで言われる始末。

それでも、隣に住む幼馴染の桜坂芽生と他愛ないじゃれ合いをしながら、明日もまた、何事もなく一日が過ぎていくだろうと、何の疑いもなく思っていた。

しかし、その「平穏」は、ある日突然、終わりを告げる。

教室のドアを開けて現れたのは、まるで物語から飛び出してきたような、都会から来たミステリアスな美少女、白雪雫。

そして、まさかその彼女が、よりにもよって俺の隣の席に座るなんて

平凡な日常は、甘酸っぱい青春のドタバタ劇へと、いま、その幕を開ける。

鈍感な俺は、まだ知らなかった。

この出会いが、幼馴染との関係を揺るがし、そして俺自身も「恋」という感情に振り回されることになるなんて...


---------------



朝焼けが東の空を赤く染め始める、いつもの通学路。俺、相模悠真にとって、これほどまでに平穏で変化のない日々が尊いものだと、この時はまだ知る由もなかった。

「ゆーま、ぼーっとしてないで早く行こ!また遅刻するよ!」

背後から、元気いっぱいの声が飛んでくる。振り返れば、小柄な体に桜色の制服がよく似合う幼馴染、桜坂芽生が仁王立ちしていた。朝からテンションが高いことこの上ない。

「お、おう、分かってるって。芽生こそ、朝から元気すぎだろ」

「んもう!誰のせいで私が急いでると思ってんのよ!ゆーまがいつまで寝てるからでしょ!」

ぷくっと頬を膨らませる芽生は、まるで子猫のように可愛らしい。クラスの男子からは「桜坂さん、可愛い」なんて声がよく上がっているが、俺にとっては昔から隣にいる、ただの騒がしい幼馴染だ。

「悪かったよ。ほら、行くぞ」

俺が先に歩き出そうとすると、芽生がとてつもない速さで俺の腕を掴んだ。

「あ、ちょ、芽生!?」

「なに?もしかして、私と手繋ぎたかったとか?」

ニヤニヤしながら見上げてくる芽生。その顔がやけに近い。甘いシャンプーの香りが鼻腔をくすぐって、なぜだか心臓が少しだけドクンと鳴った。

「ばっ、ばか言え!さっさと行くぞ!」

慌てて振り払おうとする俺の手を、芽生はむぎゅっと握りしめる。

「なーんてね。はい、行くよ!」

そう言って、俺の手を引いて駆け出す芽生。結局、高校の校門までは、半ば強引に手を繋いだままだった。毎度のことながら、こいつの行動原理は読めない。


教室に入ると、いつものようにクラスメイトたちが三々五々、思い思いに過ごしている。

俺の席は窓際の一番後ろ。日当たりが良くて、授業中にうたた寝するには最高のポジションだ。

席に着いて、ふと黒板に目をやると、担任の村田先生が何やら書いている。

『本日、転校生が来ます』

……転校生?

まさか、こんな学期の途中で?俺の平穏な日常が崩される予感が、背筋をゾワリと駆け抜けた。

朝礼が始まり、村田先生が教壇に立つ。

「今日からこのクラスに新しい仲間が増える。みんな仲良くしてやってくれ」

そう言うと、先生は教室のドアを開いた。

そこに立っていたのは、俺の想像を遥かに超える存在だった。

長い黒髪が背中を流れる。陶器のような白い肌に、吸い込まれそうなほど澄んだ瞳。人形のように整った顔立ちには、感情を読み取れないような神秘的な雰囲気が漂っている。

クラス中が、その美しさに息を呑んだ。当然だ。アニメや漫画でしか見たことがないレベルの美少女が、今、俺たちの教室に立っているのだから。

「え……」

隣の席の芽生からも、小さく感嘆の声が漏れるのが聞こえた。普段から美人だなんだと言われている芽生が、思わず見惚れるほどの美しさ。

「白雪雫です。この度、都会から転校してきました。慣れないことも多いと思いますが、どうぞよろしくお願いします」

透き通るような、それでいてどこか冷たい響きを持つ声。

自己紹介を終えると、雫はゆるやかに頭を下げた。そして、先生が次の言葉を口にする。

「よし、白雪の席だが……相模の隣が空いているな。相模、頼むぞ」

「え、俺!?」

俺は思わず声を上げた。まさか、よりにもよって俺の隣?

クラス中の羨望と、ちょっとした嫉妬の視線が、一斉に俺に突き刺さる。

「相模君、よろしくね」

雫は、俺の目をまっすぐに見つめて、微笑んだ。その視線は、まるで最初から俺の存在を知っていたかのように、自然で、そしてどこか意味深だった。

俺の隣に座った雫は、静かに教科書を広げる。

その瞬間、俺の横で、芽生が小さく「は?」と呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。

芽生の視線は、隣の雫へと向けられている。いつもの快活さは影を潜め、まるで獲物を前にした獣のような、警戒の色を帯びていた。

俺の平凡な日々は、今日、唐突に終わりを告げたのだ。

鈍感な俺には、まだそれが何を意味するのか、正確には分かっていなかったけれど。


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