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第14章 善と悪 ① くもの巣

悪党達は、キララとタケルが思い通りに動くのを待ちかねて

前祝いを始めたようですが・・・

2021-06-10 17:07:41 | 未来記

2008-03-05


 宇宙ステーションには、地球のような昼と夜はないが、

休みなく働いているボス・コンピュータが、

時間帯によって昼と夜の照明をコントロールしている。


 レストランで酒を飲んでいた悪党達は、照明が暗くなるまで

日ごろのウップンを吐き出していた。


「あのゲームでなぁ、今度こそもうかるはずだったンだがなぁ~」


「ゲームは、宝くじさ。当てようと思って大金はたいても、外れたらそれまでよ」


「ジャノ~。今度の虫はチッチャイが、オレら大損したンだ。


 大きな仕事をしてもらわなきゃ、困るよ」


トオルにトュラッシーと名乗ったボス格の男は、あざけるように言った。


「自分じゃナンにもできねーくせに、ナ~ニ言ってるンだぁ。


 次のゲームのことくらい、考えとけ。


 オレらにゃ、くもの巣張るしかできねぇンだ。うまい虫か食ってみないとな。


 アトは、アニョーシャにいい腕見せてもらうだけだ! 」


「でも、アンタの言うアニョーシャは、当てになるのかね。


 前の仕事だって、途中で虫の気ィがおかしくなっちまってよ~


 あやうくオレらのことが、バレるトコだったジャないか~」



「あれは、虫が弱すぎたンだ。今度の虫は威勢がいい。


 それに、人質も2人いるからな。


 アニョーシャもこれ以上失敗ができねぇことくらい、わかっちゃいるンだ。


 うまくすれば極上の虫になるさ」


 そのとき、誰かのモアから軽快な音楽の着信音がした。


「虫が目覚めたらしいですぜ。」


モアをチラリと見た男が、ボス格の男に向かって言った。


「よし、それじゃ仕事を始めるか…」


 悪党達は、足元をふらつかせながら、宇宙船の発着場へと向かった。


 レストランには、男達がいた近くのテーブルに、


カジュアルな服装をしたカップルが、だまってモアの映像を眺めていた。


 女は、ため息をついて男に話しかけた。


「虫って、子供のことかしら。


 イケメンの少年が、立ち入り禁止区域のボス・コンピュータ施設へ入って、


 気が狂ったようにわめいていた事件。


 あれも、今の連中が関わっていたの?…」


「その少年は、今も精神科病棟で治療中だ」


 男はそう言いながら、モアで連絡を取り始めた。


「チーフ。連中は宇宙船へ向かった。我々は署に戻ります。以上」


「フーっ。やっと帰れるわ。酒癖の悪い連中の話聞いて、気分悪かったもの。


 最初は、ただの迷子の捜索と思ったら、まさか犯罪に結びつくとはね」


「連中には虫けら扱いされても、その子にはずいぶん気の利いた友達や、


 頼もしい知り合いがいるようだ」


「それにしても、アニョーシャって、何者なの?


 例のイケメン少年は、シーナとか叫んでいたらしいけど、


 宇宙ステーションのデータには、シーナらしい住人も、


 停泊した宇宙船の乗客もいなかった。


 あの連中はアニョーシャって言っていたけど・・・。


 その人物が捕まらないと、事件は終わらないンでしょ? 」


「今回は、親と子が誘拐されたンだ。下手すると命も危ないぞ。


 早く署に帰って、チーフの指示を待とう…」



 ほろ酔い気分で発着場の宇宙船に戻って来た悪党達は、


周りを警戒することもなく、酒の臭いをプンプンさせながら、


入り口の前で合図の口笛を吹いた。


 宇宙船の中にいる見張りの男が、モアで入り口を開けようとすると、


目の前にキララがスーッと姿を見せた。


「ちょっと、待ちナ。アタシにいい考えがあるンだ。


 この子だけ、鎖を解いてくれよ」



「アニョーシャ、いきなり出て来て、ナニ言い出すンだ。ジェノが何て言うか…」



「アイツの言うことなんかいいだろ。もう、アニョーシャはやめてくれ!


 アタシがやらなきゃ、アンタに何ができるンだ? 


 早くこの子の鎖を解くンだよ!」



 見張り役の男にすごんだキララは、タケルをゆっくり立ち上がらせ、


不気味な呪文を唱えながら、頭に手をかざした。



「この子は、アタシの思い通りに動くよ。」



 不思議と、誰も何も言えない。見張りの男も、黙ってタケルの鎖を解いた。


「いいか? 入り口を開けても、奴らに、アタシとこの子の姿は見えない。


 アンタ達もだよ!


 入って来て文句言ったら、アタシが仕事に連れ出したと言いな!」



「わかったよ。今度は、ちゃんと仕事しろよ! 失敗したら…」


「失敗? アンタらが、ゲームで失敗したから、こんなことやってるンだろ! 


 そんな口たたけるのも、今のうちかもナ…。アタシは消えるね」


 キララが姿を消すと同時に、タケルの姿もうっすらと消えた。


 見張りの男は呆れた顔をして、入り口を開けた。


 前方には、最新鋭のショック銃を構えた宇宙ステーションの警官達が、


手を上げて立ちすくんでいる悪党達を取り囲み、入り口にも銃を向けている。



 警察のショック銃の威力を知っている悪党達の手は、小刻みに震えている。


 入り口の見張りの男も、観念したようにゆっくりと手を上げた。

悪党達は警察に捕らえられたようですが

キララとタケルは いったいどこへ行くのでしょうか?

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