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第12章 ロング・ホームルーム ③ いざこざ

 カイと一緒に部屋から出て行ったハリー先生に、すぐにメールを送って、


タケルのメールアドレスを教えてもらったヒロは、早速タケルへメールした。


『いったい、あいつは何やってるンだ!


 オレの言うこと聞いてから出て行けばいいのに、


 勝手に黙って出て行きやがって! 』


 一方、病室で先生からタケルのことを初めて聞いたキラシャは、


しばらくボウ然としていたが、心配そうに見守るパールに気づき、照れ笑いをした。


「ちょっと、びっくりしたンだ。先生がタケルのこと知っててだまってたなンて…。


 ずるいよね、知ってたら教えてくれてもいいのに」


「キラシャ タケル スキ? 


 ワタシ タケルノコト シラナイ。


 デモ キラシャ ワタシ タスケタ。


 ダカラ ワタシ タケルノ ブジ イノルネ…」


 学習ルームでは、生徒ばかりでザワザワしていたが、ダンが議長として前に出ると、


副議長にマキを選び、反省会が始まった。



 先生がいると、言いたいこともなかなか言えないが、この時間は生徒だけとあって、


ダンが今回のケンカについて発言するように促すと、意見が上がった。


「あのケンカで、やっとゼノンも裁判にかけられるけど、


 ゼノンにイジメを受けた子、かなりいたと思うよ」


「そうそう、いつも通り道をジャマするようにたむろして、


 変なカッコウで踊ったりしてたよね。ゼノンにちょっかいかけられて、


 困ってた子たくさんいたんじゃない?」


「親戚が金持ちだからさ。何やっても許されるって言うンじゃあなぁ・・・。


 まじめにやってる方がやられ放題で迷惑だよな~」


「ホォー、まじめネェ~」


子供達は、先生がいないという解放感から、クラス中がザワザワし始めた。


「オイ、静かに! じゃぁ、ゼノンのことは裁判に任せて・・・。


 そう、オレたちはこのクラスの話しようぜ。


 仲良くするための反省会なんだから、何か意見のある奴、いないのか?」


自然といつもの口調になったダンに、ジョディから非難の声があがった。


「ダンだって、先生の前じゃ文句言えなかったけど、女の子のこと、


 陰でずいぶん泣かせてるじゃない」


「えっ? オレが? それは初耳だな。何かワルイコトしたとでも言うのか…」


 マギィも参戦した。


「あたしたち知ってるけど、男の子使って、気に入った女の子くどいてるでしょ!」


一部の女の子からブーイングが起こり、勝ち誇ったようにジョディが大声で言った。


「今日はヴァレンタイン・デーなのよ!


 お義理だけでも大変なのに、本命を強要しないで欲しいわ!」


「オレ、強要してないよ! 


 マギィも、勝手にプレゼント送って、お返し強要してるじゃないか。


 アレって、大迷惑だぞ! 」



マギィをかばうように、ジョディが強気で言った。


「あたし達は、本気なの! 恋愛学のパートナー選びって、ずっとこれからも


 一生に関わることなのよ!


 女の子にとって、好意を示すことがダイジなんじゃない。


 アンタに、それがわかンないの? 」


「・・・オレだって、恋愛学のためにパートナー探してるンだ。


 みんなも、同じだろ?


 でも、オレはマギィみたいに、強要はしてないぞ!


 かわいい子には、誰だって声かけたくなるジャン。


 でも、プレゼントの無理強いはしてないぞ!


 イジメの相手をやっつけてやったから、そのお礼に義理でくれる子もいるケド


 正直、お返しのことを考えると大変なンだ…」


 ダンの本音に、男の子からもブーイングが起こった。


「義理でも、いっぱいもらえていいなぁ~ 」


 あせったように、ダンが言い訳を始めた。


「でも、お返しだって大変だぞ! 


 オレ、自分のこづかいはたいて、ちゃんと返してるンだぜ。


 頼むから、お義理は勘弁してほしいっていうと、


 泣いたり、怒ったりする子がいるンだよな~ 」


当然、女の子から、激しくブーイングが起こった。


しびれを切らしたように、マキが大声で言った。


「もう、議長がコレじゃ、話になんないでしょ!


 校長先生からスクール内でのプレゼント禁止されてるンだからさ、


 こんなこと話し合ってていいの?


 今は、ケンカしないためにどうすればいいか話し合っているのにさ、


 議長が議題そらしちゃってどうするのよ? 」


周りからいっせいにはやし立てられ、さすがのダンも困った顔。


「…そうか、わかった。オレもう今年はプレゼントもらわない。絶対くれるなよ!


 だから、女の子もプレゼント渡して、お返しを無理強いするのやめろ!


 時間もないことだから、もっと他にイジメで困ってることってないのか? 」


「ダン。ちょっといいか? 


 話ぜんぜん変わるけど、オレ、タケルにメール送ってみたけど、返事がないンだ。


 何だか嫌な予感がするンだ。


 宇宙ステーションの警察に連絡した方がいいと思うけど、どうかな? 」


と、突然ヒロが言い出した。


「嫌な予感? タケルは大丈夫だよ。


 あんな運動神経いいやつに、何があるってンだ。


 それじゃ、他にもイジメで困ってる子はいないのか? 」


タケルが心配なキラシャは、たまらずにダンに問いかけた。


「ダン。お願いだから、タケルのこと考えてあげて! 


 先生、タケルの耳が聞こえないって言ってたよ!


 きっと、ここにいた時のタケルじゃないンだよ。


 お願いだから、タケルのこと助けて欲しい! 」


学習ルームでは、男の子も女の子も口笛を鳴らし、ヤジを飛ばした。


「キラシャは、タケルのことがダイスキで~す! 」


「そんなにスキなら、今すぐ宇宙に飛んでっちゃえばいいのに~! 」


ダンが焦って、大声を出した。


「オイ、あんまりうるさいとパトロール隊が入ってくるぞ! 


 先生いないンだから、静かにしようぜ!」


そんな時、終了時間のチャイムがなった。


「えっ、もう終わりか・・・。じゃぁ、タケルのことはヒロに任せた。


 でも、ハリー先生に許可を受けてからにした方がいいと思うよ。


 とにかく、これからも、お互いに相手のこと考えて行動しようぜ。


 キラシャとパールがクラスに戻ってからも、みんなで仲良くやろうな!


 以上で反省会終わります。


 マキ、副議長引き受けてくれて、ありがとう! 」


 ダンは、マキに握手を求めて、まだじっと自分をにらんでいる


マギィやジョディには目もくれず、学習ルームを出て行った。

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