第11章 疑惑の中で ① だまし討ち
不安を感じながらも タケルの居場所を知りたくて
見知らぬ人を信じるしかない父親トオル・・・
トオルは、そばで世間話を続けるトュラッシーという
見知らぬ男を警戒しながら、
ラミネス宇宙ステーションの通りを歩いていた。
ミリのことも心配なので、メールで確認する。
どうやら何事もなく部屋についたようだ。
少し安心して、トュラッシーの話に耳を傾けた。
「どうも、ゲームはあきられるのが早い。
せっかく選びに選んで、仕入れたゲームだというのに、
3ヶ月も持たないんですよ。
新しいゲームに人気を取られてしまって」
「地球でも、同じようなものです。
私のいたエリアでも、ゲームの流行は短い。
子供は新しいものが好きですからね」
「地球では簡単に新しいものが手に入る。
しかし、この広い宇宙では交換するのにも何ヶ月とかかる。
せっかく儲けたと思っても、取替え費用だけでパァですよ」
「そりゃ、たいへんでしょうね。私は息子のために、
耳の治療を含めて、ずいぶんお金をかけてしまいましたが、
でも息子のお陰で研究に励むことができた」
「ほう、息子さんは耳が悪いんですか?」
「いや、まだだいじょうぶです。
遺伝的なもので、私はマシンのお陰で耳が聞こえにくい程度だが、
息子はスポーツで鳴らされる効果音で耳を傷めている。
それが少し心配なだけです」
「そうですか。そうだ、私の宇宙船が近くにあるので、
少しコーヒーでも飲んで行ってはいかがですか?」
トオルは、タケルのことに気を取られ、
レストランで十分な水分を取っていなかったことに気づいた。
「そちらがかまわないとおっしゃるのなら、先ほどのお話の続きを・・・」
トュラッシーは軽く頷いて、トオルを自分の宇宙船へと導いた。
「さぁ、ここです。お入りください。」
トオルの目の前に、古びた小さな貨物運搬用の宇宙船が見えた。
トュラッシーは、入り口をモアの操作で開け、先に入って行った。
「さぁ、どうぞ。古いゲーム機材を分解して積んでいるから、
少しせまいですが、コーヒーを飲みながらお話するには、
問題はないでしょう」
金属の臭いがムッとして、少々気が引けたが、
トオルはタケルのことが知りたくて、
息苦しさをこらえながら中へ入った。
入り口がガタンと閉まると、部屋は真っ暗なままだった。
「すみませんが、明かりを…」
その時、トオルの背後でバシッという音がして、何かが光った。
トオルはそれが何なのか、振り返ろうとする間もなく、意識を失った。
やはり宇宙にも 信じられないような人がいるんですね。
どうなってゆくのでしょうか?




