第10章 危険を感じながら ① 広大な宇宙ステーション
NHKドラマの「火星の女王」見ましたか?
火星を目指した人類は
困難を乗り越えて 定住することができるのでしょうか?
タケルと両親も この宇宙ステーションで
新たな困難にぶつかります。
タケルの乗った宇宙船は、順調に航海を続け、宇宙でも最大級の
ラミネス宇宙ステーションへ到着していた。
この宇宙ステーションは、地球からの旅行者の疲れを癒すため、
地球から運ばれてきた娯楽施設などが、
ブロック状に四方八方に広がるようにつながっている。
緊急時には、それぞれの施設に待機している宇宙飛行士が
操縦士となり、宇宙ステーションから離脱して、
それぞれ安全な場所へと移動する。
砂漠のオアシスのように、何もなく果てしない宇宙への長旅を
癒すために、こういった宇宙ステーションがところどころに遊泳していた。
宇宙船の中で暴れだしたタケルは、安眠用のピコ・マシンを注入され、
カプセルの中で静かに眠っている。
タケルの両親は、火星移住者の医療チームのスタッフに事情を説明し、
このステーションにしばらく滞在して、
タケルと今後のことを話し合ってから、地球へと戻ることにした。
宇宙船から降りると、2人はタケルの入ったカプセルを居住区に運び、
入居手続きを終え、モアもこの宇宙ステーションで機能するように、
居住区の受付で調整を頼んだ。
タケル達が乗っていた宇宙船は、これまでに生じた故障を直すため、
しばらくこのステーションで休息をとり、
火星へと出発する予定になっている。
タケルの両親にも、心を癒すための休養が必要だ。
睡眠状態のタケルを部屋に残し、2人は宇宙船の乗組員たちと
レストランに出かけ、お酒を飲みながら、仲間との別れを惜しんだ。
2人とも、最後の望みと思って取り組んできた、
聴力の回復という研究を、こんな形で断念するのは、
とてもつらいことだった。
意気投合し合った研究仲間とも、離れがたいし、
やっと共同研究にも慣れてからの決断に、慰留を求める医療技師も多い。
しかし、2人ともタケルの耳が聞こえるようにしてやりたい、
ということにこだわりすぎて、
今のタケルの気持ちを理解してやっていなかった。
親の言うことに素直に従って、火星へ移住するために
必要な知識や厳しい訓練、検査などを乗り越えて、
暴力を振るい出すまでは、ずっと良い子を演じてきたタケル。
これからという時に、大事なパスボーや友達からも
離れて火星へ行くという、つらい運命を与えてしまったのに・・・。
誰にもそのつらさを打ち明けられず、
心を病んで急に暴れ始めたのも、
考えてみれば無理からぬことだ。
パスボーのプロ選手になりたいという、
タケルの希望はかなえてやれそうにないが、
せめて人として、充実した人生を送ってもらいたい。
それを実現することが、タケルの誕生を望んだ、
親としての役割だと思い直した。
睡眠から覚めたタケルは、普段と何も変わっていなかった。
あの騒ぎがウソのようだ。
しかし、耳が聞こえなくなるという現実は、変えられない。
この子のためなら、地球に帰ってから
どんなつらいことが待っていようと、何とかやっていける。
そう決心した両親は、タケルの具合も良さそうなので、
さっそく地球に帰ることを告げた。
タケルは、睡眠状態が長かったこともあって、
話を聞いてもしばらく無表情だった。
タケルは、何を考えているのだろう?
両親は、あの宇宙船がこの宇宙ステーションに停泊している間に、
お世話になった人たちにお別れを言いに、一緒に出かけようと誘ってみた。
もちろん、タケルが宇宙船で暴れてみんなに迷惑をかけたこと、
悪態をつき、ケガをさせてしまった人もいることを言って聞かせた。
タケルはしばらくショボンとしていたが、
自分のしでかしたこととはいえ、
謝りに行くのは、あまり気乗りがしない様子だ。
そこで、父親が
「タケルが反省していることをみんなにわかってもらえたら、
帰りに宇宙ステーションのゲーム・コーナーで遊んでもいいんだが・・・」
と条件をつけた。
すると、タケルはだまって、出かけるための準備を始めた。
タケルの誤った行動に 父親は怒って強制的に傷つけた人に
頭を下げろ!と怒鳴るのが 普通だと思うのですが
タケルの耳が 聞こえなくなるという現実に
どう向き合って やればよいのかと思って出した答えが
タケルが謝ることができたら 好きなゲームをして
嫌なこと吹き飛ばせ!と 言うくらいだったのでは思います。
皆さんだったら タケルになんて言って謝らせますか?




