第7章 与えられた命 ④ コズミック・ユニオンと大流星群との戦い
最初に このお話を書き始めたのは
この大流星群が 地球へ衝突するという
大災害が 起きたところからでした。
物語を もう一度見直して
皆さんには 私の描く未来の生活を
まず 読んでいただいて
キラシャの生まれる前に
こういうことがあったこと
わかってもらいたくて
ここに入れてみました。
地球は時代が進んでも、話し合いでは紛争や戦争が治まらない状態が続いた。
その終止符を打つための機関として、コズミック・ユニオンがコズミック防衛軍を結成した。
一度起きてしまった戦争は、簡単には終わらせることができない。
停戦への合意を目指し、抵抗する存在をコズミック防衛軍が威嚇することで、破壊された街が再開発され、人が戻って日常生活を取り戻すまで、暴動や戦闘行為を治め、監視をする役割を果たす。
このコズミック防衛軍は、誰でも入れるわけではない。
各エリアの警察や軍隊などで活躍している若者の中から、特に優秀な隊員が防衛軍の訓練生として推薦される。
訓練生として招集された後、どんな危険な状況でも、冷静に戦える技術を習得したことを認められた者にだけ、正式な防衛軍のバッジとユニフォームが与えられるのだ。
コズミック防衛軍の兵士は、常に宇宙の安全を優先する。
時には、トラブルに遭って宇宙をさまよう宇宙船を救出し、極悪非道な海賊が狙う宇宙船や宇宙ステーションへの救助活動を行い、激しい戦闘の中でも犯人逮捕を敢行する。
地球上でも、エリア内やエリア間で起こった紛争や戦争への介入。
その活躍が認められると、名誉の勲章の授与。
冒険心が強くて、宇宙での活躍を目指す子供達にとって、コズミック防衛軍は、エリアの警察や軍隊に入れたら、その次に目指したい、あこがれの職業なのだ。
ある日突然、宇宙空間に大流星群が現れ、地球の方向へと向かってきた。
『信じられない数の流星が、地球に衝突する恐れがある』
この情報を入手したコズミック防衛軍は、最新鋭の武器を使ってその進路を変えるよう攻撃を始めたが、飛来してくる流星の数は、軍の想定を超えていた。
どんなに撃破し続けたとしても、大きいものから小さいものまで、何千何万という星のかけらが地球へと向かい、その一部が大小の隕石となって、地上へ衝突する可能性がある。
未来は、情報の流れるのが早い。
宇宙探査船が、大流星群による最初の被害を報告し、まもなく地球の危機が広く伝わった。
宇宙を無数に航行する宇宙船から、被害に遭ったという情報が次々に舞い込み、人々をいっそう不安に駆り立て、暴動にも発展した。
地球はシールドで覆われているが、膨大な数の衝突に耐えられるかわからない。
最新のドームや、宇宙に配置した最新のステーションが、隕石や暴動で破壊されることを恐れた、先進エリアの指導者や科学者や技術者達。
コズミック・ユニオンの中央議会では、どのエリアの代表も、自分のエリアを守るべく、コズミック防衛軍への協力を求め、議員の間で調整がつかず、議会場はパニック状態だ。
事態の収拾をつけるため、コズミック・ユニオンの議長ウィル・キリィは、緊急のニュースとして全エリアに向かって伝えた。
「流星衝突の恐れがある、宇宙ステーションや宇宙船の艦長は、防衛軍の指示に従い、安全な宇宙空間に早く移動すること。
被害が予想される各エリアの首長は、それぞれエリア警察や軍隊の増員を図り、エリアの住民が安全に避難場所へ移動するよう、緊急に救助隊や警備隊を組織し、指示すること。
避難場所が確保できないエリアの首長は、それぞれ独自の判断で、安全策を図ること…」
各エリアでは、大勢の若者が救助隊員や警備兵として召集され、避難場所への誘導や、暴動への鎮圧、地上への隕石の衝突を防ぐための攻撃に駆り出された。
ドームの建設が進まなかったアフカ・エリアでは、グループ同士の縄張り争いから、避難場所が確保できず、救助の人員を増やしても、難民があてもなくさまようばかりだ。
暴動の鎮圧に功績のあった、アフカ・エリア出身のエリック・マグナーが、コズミック防衛軍の臨時・最高指揮官に任命された。
エリック・マグナーは、各エリアへ暴動鎮圧のため、軍事介入する前に、全エリアの人々に向かって訴えかけた。
「我々、コズミック防衛軍は、人類のふるさと地球と、宇宙に暮らす人類を救うために、果てしなく飛来する無数の流星と戦っている。
しかし、我々がこの戦いに敗れることで、ドーム社会が破壊され、我々の得たすべての財産を失ってしまうだろうという言葉に、多くの人が惑わされている。
軍は何の理由もなく、同じ人間を威嚇する道具として、兵士を育てたのではない。
あなた方の命を守るため、数多くのエリアが誇る警察官と救助隊員、警備兵とともに、自らを犠牲にして戦って来た。どうか、自分達の力を信じてほしい。
これより我が軍は、コズミック防衛軍ルール第10条第1項にもとづき、人類の生存を優先し、正義のために戦うことになる。
これ以降エリアを混乱させ、人命を危険にさらし、軍の命令に違反した者に対しては、命の保障はない。
どうか、暗い孤独な宇宙の中で、今生きているあなた方と、未来のために戦っている、寡黙な兵士のことを忘れないでほしい」
そして、流星の爆発に巻き込まれ、命を落とした兵士達の名前と映像が浮かび上がり、愛する人達へのメッセージが、本人の声で流された…。
「僕はユサン・カリム。 ヒンディ・エリア出身。
・・・メルシュ・・・愛してるよ!
階級の違いがあっても、結婚を認められてたら、君と共に生きたかったな・・・」
「私はフローラ・アデル。 ユートピア・エリアで生まれて、歌とダンスが好きでした・・・
また好きな歌を歌いながら、みんなとダンスを楽しみたかったけど
地球が壊れたら、好きなこともできなくなっちゃうからね・・・
・・・パパ、ママ、ケリン、ヒュース、ノーマ、マリア、
かわいい私のキャット ジュピター・・・。
みんな・・・私が生きていたこと・・・
どうか、忘れないで・・・」
「僕は、ナルム・エコー。 オリエント・エリア出身。
世界で一番愛してるよ、コリーヌ・・・。
生まれたばかりのジュシュの事、任せたよ・・・
しっかり、育ててくれ・・・」
「私はラニラ・タミル。 アフカ・エリア出身。
トラム・ティガ・・・ あなたからのプロポーズずっと待ってたのに、
先に逝ってしまうなんて・・・。
生まれ変わったら、また、あなたに会いたい・・・」
「僕は、ユキヤ・ナガサキ。 エムフィ・エリア出身。
世界の平和を願って、この戦いに志願しました。
人類が、災害や社会の混乱から、犠牲を乗り越えて、生き抜くことを希望します。
ママ、僕を産んでくれてありがとう・・・」
「オレはルディ・アレン。 フリーダム・エリア出身。
好き勝手に生きて来たから、思い残すことはないよ!
これが最後の酒だ・・・ ウ~ン、うまい!
みんな、無事に生きて行ってくれな!
・・・グット ラック!!」
同じ時に、同じ苦しみを感じながら、他の人を助けるために、自分の人生を捨てて、流星群と戦って、命を失った兵士達の冥福を、人々は祈った。
しかし、大流星群は容赦もなく、宇宙船や宇宙ステーションを襲った。
暗黒の宇宙が稲光に包まれる中、防衛軍の宇宙船に追従し、安全な場所を求め、逃げ惑う宇宙ステーション。
やがて、地球にも光の大群が押し寄せて来た。
遠くで雷と地震と戦争が同時に起こったような、激しい光と雷鳴が延々と続き、ドドドォーンッという、激しい爆音が鳴り響く。
避難所のせまくて暗い場所に閉じ込められ、息苦しさに耐えかね泣き叫ぶ子供達。
無人のドームに入り込み、残された金品を狙って、暗躍する強盗団。
地上にも、多くの人々が取り残され、無数の生き物がそのまま置き去りにされた。
薄いオゾン層を突き抜けた大きい隕石が、海に落ちて津波を引き起こし、島のエリアを襲った。
大陸のエリアにも、砕けた隕石の雨が降り、海からの津波が、地上の人々や生き物をさらって行ってしまった。
ドーム社会の指導者の言いなりに戦うことは、ドーム社会を助けることになっても、地上に取り残された自然や、自然とともに生きている人々を失うことになる。
誰かが、その人々を助けなければ・・・
エリック・マグナー指揮の下、軍への出動要請のあったエリアには、指令に従順なマシン部隊を中心に配置。
一方、軍の有志を募って、ドームの外の救出活動を急いだ。
その救出は困難を極めたが、ドームの外の人達も、何とか命をつなぐことができた。
長い長い時が過ぎ、ようやく音が鳴りやんだ。
大流星群は、地球から離れて行った。
使命感の強い医療技師や、多くの勇気あるボランティアが、支援物資を背にして、保護された区域を離れた。
・・・これは、キラシャが生まれる少し前に起きた出来事だ。
今も 私たちは 戦争を知らずに
生かしていただいていますが
私たちが生まれる前に
人を人と思わないような
戦争の時代があったこと
忘れてはならないと思います。
多くの犠牲があって
これまでの繁栄があったこと
今後も 戦争の時代を
迎えることがないように
人を人として 認め合える時代が
少しでも 長く続くことを祈りながら
この物語を描いてゆきます。




