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第5章 海洋牧場 ① 海中ドームへ行こう

キラシャは 自分の誕生日に 友達を誘って 海洋牧場に行きます。

海洋牧場は 水族館をそのまま 海の中に設置して

子供達も海の生き物と 触れ合いながら 楽しむことができる場所です。

そこで起きる出来事なのですが・・・

勉強熱心でもあり、遊び好きな子供達は、遊びの計画を立てたら大人も顔負けだ。


病院でぐったりしていたマイクのために、キラシャが熱心にパールを誘った。


パールがOKしたと聞くと、参加する男の子は大はしゃぎだ。

  

休日の朝。子供部屋では、保護者の所でホーム・ステイしない子供達が、朝寝坊にどっぷりとつかっている。


しかし、今日は海洋牧場へ行く日だ。


キラシャは早めに起きて、ツアーに参加するメンバーのモアに


「オッハヨ~! 今日は海洋牧場に行く日だよ~! 遅れないようにね~!!」


と自動的に大声で話しかけるメールを送った。

  

お昼は、海洋牧場の博物館屋上レストランに、モアで予約している。


キラシャは、大のお気に入りのチャッピを圧縮して、ポケットにしまった。


『これで、準備はOK。コメットに乗れば、海中ドームまでひとっ飛びだぁ~』

  

なにしろ、子供同士のツアーは初めてである。くわしく海洋牧場を説明できるのは、自分以外にいないと信じるキラシャは、誰よりもこのツアーに熱が入っていた。 

 

最初っから参加を決めていたキラシャ、ケン、マイク、エミリ、サリーに加えて、ボス格のダンと、引率者気分のヒロと、パールにもっとも興味を示すジョン。


それから、なぜかマギィとジョディ。


美しいパールをエスコートするのは、照れ屋のマイクではなく、女の子にやさしいジョン。ダンも女の子の扱いは苦手なので、今日はジョンにパールを譲ったようだ。


もちろん、先頭を行くのは、今日誕生日を迎えたキラシャだ。

  

マキは、オリン・ゲームでどうやらひざを骨折してしまったようだ。病院で治療を受けていて、今日は欠席。


キラシャは、あれからタケルが何のメールもよこさないことに、いらだちを感じていた。


キラシャは、イジメを受けたり、無視されたりするのは平気だったが、ちゃんと約束したことが守れないのには、ガマンできなかった。


タケルが好きだったのは、本当はキラシャでなく、違う子なのかもしれない。そんなイライラや、さびしい気持ちを吹き飛ばしたかった。

  

それぞれに着飾った子供達は、子供部屋からコメット・ステーションまでボックスで移動して、休日の大移動の波にもまれながら、コメットに乗り込んだ。


コメットは、まもなく隣のドームへ到着。そこから、海中ドーム行きのコメットへ乗り換える。


コメット・ステーションから、ゆっくりスタート。


途中から、まるで遊園地のジェット・コースターのように、回転しながら海の中へと入って行く。


トンネルが透明に変わり、太陽の光を浴びて輝く海の色が、子供達を包んだ。


そこはもう、海洋牧場だ。


天気の良い日は波が輝き、トンネルを囲むように魚が泳ぎ回っているのが見える。

  

青く澄んだ海洋牧場の世界。エイが優雅に舞い、赤・黄・青・緑、さまざまな色や形や大きさの違う魚が、思い思いの場所へと移動する。


海の世界をながめる子供達の何気ない会話が、自然と笑い声に変わった。 


パールは、朝から他の子の視線を避けては、時々曇った表情を見せていたが、目の前に広がる青いきれいな海を見ると、うっとりとした顔つきで「ステキ!」とつぶやいた。

  

アニメの映画監督を目指しているジョンは、パールをモデルに理想の女性を描いてみたいと思った。パールの笑顔を見て、思わずジョンも微笑み返す。  


マイクは思うようにパールに近づけなくて、楽しそうに見つめ合う2人をうらやましそうに見ていた。

  

海洋牧場は、海中ドームを囲むように広がっている。


海中ドームのステーションに到着すると、海洋牧場への出入り口に向かった。おしゃべりを続けながら、水中ボート乗り場へと急いだ。


水中ボートに乗るには、身体にぴったりした専用のスーツを身につける。泳がない子供も、緊急事態に備えて着替えなくてはならない。


受付でモアをかざし、本人確認をすると、水中ボートへの搭乗の許可を受け、着衣ルームで自分の体型に合ったスーツを身につけた。

  

ジヴァ・エリアでは、スクール時代の遊びに使うお金は、それほど必要ない。管理局がすべての費用を負担しているからだ。


ドームのゲーム・コーナーはどれも無料で、モアにダウンロードできるアプリは、たいてい無料で手に入る。


スクールにあるゲーム機は、無料で貸出しているし、許可されているソフトのダウンロードも無料だ。


ゲーム機のメーカーは、スクールへ寄贈すると、卒業後の売り上げ数量が比例して増えるので、新しい機種を製造しては、スクールに寄贈している。


そのかわり、生まれた時に与えられた生命コードは、ロボットの製造コードのように一生ついてまわるし、病気になったら、すべてのデータが、病院のサンプルになる。


スクールを卒業したら、保護者から必要以上に援助されることは禁止されているから、自分で働きながら生活を維持しなくてはならない。


だから、卒業してから後悔しないよう、精一杯遊んでおくようにと、先生も勧めている。


無論、海洋牧場の入場料や水中ボートの乗船代も無料だ。


乗客の搭乗が締め切られ、水中ボートが管制塔から指示を受け、海中ドームを離れて、海洋牧場の中をゆっくりと進む。


子供達は、ボートの窓から海中や海底をながめ、泳いでいる魚や変わった形の生き物を見つけると、口々に名前を言い合った。


キラシャは、誰よりも早く魚の名前を言い当てたし、名前の由来まで説明し始めるので、そばにいた体格の良い真面目そうなおじさんも、感心しながらその説明に聞き入った。


なにしろ、普通の子の何十倍も通いつめた海洋牧場のことだ。キャップ爺から仕込まれた魚の説明は、他の子に負けるはずはなかった。 


ただ、キラシャは話に勢いがつきすぎて、


「海洋牧場にいるタコは足が8本だけど、外海足が100本以上もある、このボートの何十倍もある、大きいタコもいるンだって」


「この海洋牧場にはいないけど、外の海には温暖化でやせて、空中も飛べるペンギンが、ウジャウジャ…」


ホラかホントの話なのか、いつもの大げさな話をし始めたキラシャに、周りの子供達はニヤニヤしながら、「また始まったよ」とささやき合った。

  

ボートは海洋牧場を周遊し、途中の安全な区域で、ダイビングが許可された。


パールとジョンはボートに残り、泳ぐ子供達を楽しそうに見守った。 


男の子は、パトロール隊の指示に従って、小さな魚の群れを追いかけたり、浅い海底に隠れている貝や生物を見つけたり、お互いの姿をモアで写し合った。

  

女の子は、きれいな魚を見つけては、さわって遊んだ。


その周りで、イルカ・ロボットのチャッピとキラシャが仲良く泳ぎ、シロイルカも寄って来た。


キラシャが輪を描いて泳ぎ始めると、イルカも後を追うように、グルグルと数珠つなぎにつながって泳ぎ出した。


海洋牧場では、海の底から空気の泡が出ている所があり、海水に適度な酸素を送り込んでいる。


イルカは時々そこから空気を吸って、口からきれいな輪を吐き出し、その輪を追いかけて遊んでいた。


キラシャは、イルカの調教技術を持っている。キラシャの合図で、イルカが次々に口から空気の輪を吐き出すと、子供達も集まって来て、その輪を追いかけて遊んだ。


マギィとジョディは、相変わらず2人で、かわいい魚を追いかけたりしていたが…。


病院でリハビリしているマキに動画を送ろうと、パールの付き添いをしているジョンの代わりに、ダンがみんなの遊んでいる風景を撮っていた。


水中ボートに戻って来ると、みんなで「これがいい」、「あっこれも」と、わいわい言いながら、動画に落書き編集して、モアで送った。


マキは、リハビリの休憩にアニメ映画を見ていたのか、すぐにメールを送ってきた。


[みんなが編集したの、さっきのアニメより面白かったよ。今度誘ってもらったら、絶対行くからね。だけど、進級テストが終わってからだと思うけど…]


マキのメールで、進級テストが近いのを思い出したキラシャはヒヤッとしたが、今からがんばればまだ間に合うと思って、誕生日の今日は思いっきり楽しもうと思った。


水中ボートは、ゆっくりと海中ドームの博物館の入り口へ移動した。


そこは、太古からの海の歴史を展示していて、珍しい海の動物の化石や模型像が、順番に動画で紹介されている。

  

ここでは、説明を聞きながらヒロが得意そうに補足した。


ちょうど、地球の生物の歴史についての授業があったので、ヒロは「ここは進級テストに出るかもよ」と、他の子に学習のポイントを教え始めた。

  

勉強が苦手なキラシャにしてみれば、何でも知っている先生のような態度のヒロは、何とも生意気で憎らしい男の子だ。 


ヒロが来なければ、ここでも得意になって説明できるくらい、キラシャはたくさん生き物のことを知っていた。


しかし、時々とっぴょうしもないことを言い出すキラシャに比べると、正確な説明のできるヒロの方が信頼されている。


ここは転校生パールの手前もあり、キラシャもぐっとこらえて、ヒロの説明をだまって聞いた。


仮想空間のゲーム・コーナーでは、種の起源から、進化に沿って、いろんな種類の生き物が3Dで映し出され、いろんな質問に答えながら、現代へとたどり着く。


大きなクジラの姿が、目の前で波打つように現われると、子供達は


「大きい。スゴーイ!」と歓声をあげた。

  

次は、エレベーターで海中をながめながら、海上の展望台へと上がった。


そこから見える風景は、穏やかな波が漂い、海鳥がえさに群がり、イルカがジャンプしながら移動している姿が見える。 


いつも先生やモアの指示に追われる子供達は、誰も何も言わず、ただ青い海と流れる波をジーっと見つめていた。


海洋牧場へと向かう ジェットコースターからの 海の風景は

子供達にとって とてもきれいで まぶしい景色ではないかと思います。

未来にこんな風景が 見られるといいですね。

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