第4章 キャップ爺 ① プレゼント
キラシャは おじいさんに育ててもらったみたいに おじいちゃん子です。
どんな話をしてくれるのでしょうか?
海洋牧場へ行く前の日。
キラシャは、しばらく会わなかったおじいさんに、誕生日の前祝をしてやろうと声をかけられ、ケア・ハウスへ寄ってみた。
“キャップ爺”。キラシャはおじいさんを尊敬して、時々こう呼ぶ。
おじいさんは、空中ボートの船長だった。空中ボートはドローンが進化した飛行機で、空だけでなく、海にも潜れる未来の乗り物だ。
おじいさんが船長だったころは、外海の魚を獲るために使っていた。
小さいドローンは、ドーム内外のいたるところで使われているが、戦争などの緊急時以外は、空中ボートは、パトロール隊の救助活動か、観光の時に見かけるくらいだ。
おじいさんの影響で、海の大好きなキラシャは、午後のスポーツの時間に、ダイビングも選択していた。
タケルが火星へと旅立つ前までは、海中ドームでイルカの調教師になろうと思って、訓練に励んでいたのだ。
おじいさんは、久しぶりにやって来たキラシャを歓迎すると、誕生日のプレゼントだと言って、イルカ・ロボットを手渡した。
海のパトロール隊で、救助用に訓練されたイルカ・ロボットは、初めて海洋牧場で見かけた時から、キラシャがずっと欲しがっていたものだ。
しかし、このロボットをペットのように飼うには制限があって、パトロール隊の司令官から許可を受けた者でないと、所有者になれない。
ほんのささいなことで始まる友だちのケンカにも、すぐに巻き込まれてしまうキラシャ。
罰を受けた回数も多いので、すっかりあきらめていたのだった。
「キラシャは、熱心に海洋牧場に通っていたからな。
おまえがいつもイルカと仲良く泳いでいたのが、パトロール隊でも評判だったそうだ。
知り合いのパトロール隊員にイルカ・ロボットの話をしたら、司令官にうまく話をつけてくれた。
聞けば、このごろはおまえさんもケンカもせず、いい子にしていたそうじゃないか。
それより、キラシャや。
おまえが危険な目に合った時は、このイルカがすぐにアラートを発信してくれるそうだ。
海の深い所へでも、パトロール隊がすぐに駆けつけてくれる。
いいかい。これは、ただの遊び相手ではないぞ」
『…キャップ爺、何もわかってない。
あたしがおとなしかったのは、タケルがいなくなったからだよ。
11歳になったら、ドームの外出許可が出るっていうのに…。
タケルったら急にいなくなっちゃうんだもン。がっかりだよ。
もう、ドームの外に出てもつまンないから、当分は出ることないと思うけどね…。
それに、危険な目にあったら、すぐにモアがアラートを発信するしさぁ~
近くのパトロール隊が、すぐに救助してくれるから、よけいな心配しなくていいのに…』
キラシャは内心そう思ったが、おじいさんを見つめると、笑顔で「ありがとう!」と言い、おじいさんの頬に軽くキスをして、感謝の気持ちを表した。
さっそく、ロボットをチャッピと呼ぶことにしたキラシャは、自分のピコ・マシンとの反応が良好か、確かめた。
チャッピがピコ・マシンに反応することで、モアからいろんな操作ができるからだ。
チャッピをカメラで撮ると、モアがひとつひとつの機能を3Dホログラムで見せながら、どのように操作するのかを説明する。
キラシャは、キャップ爺がそばに居るのもすっかり忘れて、真剣に操作を自分でやってみては、その使い方を確認した。
半分以上は、すぐには覚えられない内容だったが、チャッピの持つ機能を知れば知るほど、その素晴らしさを感じた。
キラシャは、そばでじっと見守っていたおじいさんにやっと気が付くと、今度は両頬に熱いキスをした。
「キャップ爺! 明日は、海洋牧場に必ず持って行くね」と約束した。
キラシャはお礼に、久しぶりにおじいさんの昔話に付き合うことにした。
この章は 今後書き直す予定です。悪しからず ご了承ください。




