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キラシャ物語 未来編  作者: 金田綾子
13/15

キラシャ物語 第13章 試練ときずな

第13章 試練ときずな ①

2021-06-20 15:49:55 | 未来記

2008-02-28

1.ヒロの好奇心


学習ルームとのオンラインが途切れて、病室でたった2人だけになったキラシャとパール。


キラシャは、心の底からタケルのことが好きだと思ってたのに、今まで耳が聞こえないなんて、気づかなかったこともショックだった。


それに、今どんなにタケルを助けてあげたいと思っても、何もできないキラシャ…。


ふてくされて、ベッドにもぐり込んでいると、ヒロからの音声メールが届いた。


[ヒロだよ。オレ、ロングホームルームに退屈してたから、タケルにメールしたんだ。


だって、あんな短い時間に、クラスで仲良くしようなんて、結論出るわけないじゃないか。


それより、タケルがどうなってるのか知りたい。


ダンがオレに任せるって言ってたから、これからユウキ先生に相談して警察に連絡してみるよ。


オレは、防衛軍にも知り合いがいるンだ。何かあったら、防衛軍にも動いてもらわないとね。


タケルのことは、あンまり好きじゃないけどさ。


あいつが戻ってきたら、また遠慮なしにケンカできるからな。


あいつ、なンかオレを本気にさせるトコがある。


オレ、あいつを助けてやりたいンだ。


何か事件に巻き込まれてるかもしれない。


解決できたら、バッジもらえるかもな。


タケルのアドレスも入れてるから、キラシャもタケルにメール送ってみればいい。


早くメールしないと、マギィが先にタケルにつまンないメールするかもよ。


じゃ、パールにもよろしく! ]



メールをパールにも聞こえるように、音声モードで聞いたキラシャ。タケルのこと好きじゃないというヒロに、キラシャはムッと来たが、いかにもヒロらしいコメントだ。


「ヒロガ タケルヲ タスケル? ヨカッタネ」


「こんなこと、めずらしいンだけどね。ヒロって、へんなトコで気が利いてるンだ。


物知りすぎて、おせっかいなトコもあるけど…」


『きっと、あたしのそばにパールがいるから、ヒロはイイトコ見せるチャンスだと思ってるンだろうね。まぁ、ヒロはパールのタイプじゃないから、別にいいけど…』


それでもヒロのおかげで、タケルにメールが送れる。


そのことが、キラシャにはうれしかった。


そばで黙って見守ってくれるパールにも、心の中で『ありがとう』と思いながら、タケルへのメッセージを考え始めた。




第13章 試練ときずな ②

2021-06-19 15:52:27 | 未来記

2008-02-29

2.ヒロからのメール


宇宙ステーションのゲーム・コーナーのロビーで、休憩していたタケルは、メールを読んでいる途中、キララの魔術のようなもので、金縛り状態になっていた。


そんなタケルのモアに、ヒロからのメールが届くと、自動的に音声を発し始めた。


[タケル! オレが誰だかわかるな。オレは相変わらず仲間と、バカやってるよ。


キラシャもいろいろあったけど、バカなのは変わってない。


ところで、おまえ何やってるンだ? 


先生が言ってたけど、耳が聞こえないってホントか?


火星でいい子見つけて、チャラチャラ遊んでるのかと思ってた。


運動神経のいいお前のことだから、女の子がホッとかないと思ってたンだけどな…


こっちは、テスト前にケンカ騒ぎがあってな。


まぁ、オレには退屈しのぎになったケドな。


おまえがいたら、もっとおもしろくなってたかも…。


何でもいいから、メールくれよ。オレ、ずっと待ってたンだぜ!


もし、返事がなかったら、宇宙ステーションの警察に連絡するぞ!]


キララは、目をつり上げてタケルをにらみながら言った。


「このメールは、誰?」


タケルは、身体を硬直させたままでも、声が出せることに気がついて言った。


「同じクラスの仲間だった奴さ…」


「間の悪いときにメールよこしたね。タケルの心でわかるよ。


もし、アンタが返事しなかったら、この子は警察へ連絡するのか?」


「ヒロなら、たぶんするよ。あいつは、先生よりカンがいいし、賢いンだ…」


「じゃぁ、ゲームして遊ンでるって送りな! 」


「してもいいけど…。


きっと、メールが届くまでに、短気なアイツは、警察に連絡してるかもしれない」


「でも、子供だろ? 警察はイタズラだと思って、相手にしないよ。


それより、アンタのパパのいる所へ案内しようか…」


タケルは、キララに吸い寄せられるように立ち上がると、周りには普通に歩いているように動いた。しかし、身体はまるでキララにコントロールされているようだ。


キララと仲良く歩いているように、タケルは通路を渡って宇宙船の発着場に向かって行った。



第13章 試練ときずな ③

2021-06-18 15:54:08 | 未来記

2008-03-01

3.嫉妬とワル知恵


「なんでタケルが帰って来るのよ! あたしにはもう地球に帰らないって、言ってたじゃない。どんな顔して帰って来るンだか、見てやりたいわ! 」


スクールの食堂で、軽い昼食を取りながら、マギィは周りの子がビビルくらい激しい口調で、タケルのことをなじっていた。


「タケルが生意気な口利くようだったら、容赦はしないわよ。あんなえらそうなこと言って、耳も聞こえないようじゃ、話にならないじゃない。


同じクラスに戻るなんて、冗談じゃないわ。タケルなんか、他のスクールへ行くべきだわ。ここで、これ以上キラシャとイチャイチャされちゃ、たまンないわよ!」


ジョディも、ダンの態度が気に入らない。


「ホント、うちのクラスの男ときたら、自分のやってること棚に上げて、勝手なことばかり言うわよ。ダンのこと、もっととっちめてやればよかった。


プレゼントはくれるなよだって? 威張るなって言うのよ。さっきだって、下級生の子からこそっとプレゼント渡されそうになって、ナンにも言わずにモアに注意されてたくせに…」


「アンナのホッとけば? あたし達だって、もうプレゼント買っちゃったンだから、渡さなきゃなンないでしょ? 」


「そうね。でも、隣のクラスのかっこいいダニー、受け取ってくれるかな?


まだ、パートナー決めてないといいけど…。


もう、あんなにたくさん買い込ンだのに、受け取らないなンて言われたらダンのせいよ。


ダンが言ったことって、周りの男子に影響あるから、プレゼント渡せなかったら、どうすればいいっていうのよ! 」



しばらく悪態をついていたジョディは、何かひらめいたように、声をひそめてマギィと話し込んだ。


「ねぇねぇ、マギィ。違うクラスに、頭悪いけど、腕力があるディノっていたじゃない」


「ディノ? ああ、ゴリラみたいな顔したでっかい子? 」


「アノ子に、あまったチョコでも渡して、タケルが帰って来たら、ボコボコにしてもらったら? 」


「そうね。でも、あたしたちが仕掛けたことがバレたら、まずいわよ。それに、もしタケルが帰って来るとしても、次の学年になってからだわ」


「いいじゃない。今のうちにディノにエサを与えといて、いざというときに使えばいいのよ。ダンへの仕返しもしたいし。あたしはやるわよ」


「どうぞ、ご勝手に。あたしはタケルが気に入らないから、追放してやりたいだけよ。キラシャだって、次の学年に進めるかシラナイケド、同じクラスになったらシメないとね…」


「パールもね。フフ。楽しみだわ…」


昼食を食べ終わって、話に夢中になっているジョディとマギィの近くのテーブルで、偶然その話が耳に入ったケンとマイクは、目配せして席を立った。



第13章 試練ときずな ④

2021-06-16 10:55:45 | 未来記

2008-03-02

4.捕らわれの身


タケルは、キララに連れられて、宇宙船の発着場にたどり着いた。


古びた小さな貨物運搬用の宇宙船の前で、船長らしい男が、イライラしながら立っていた。


あまり目が良く見えないのか、男女2人の子供が近づくのを確認して、ようやく声をかけてきた。


「えらく時間がかかったじゃないか、アニョーシャ。あの古いショック銃が効くのは、そう長い時間じゃないんだ。急いでもらわないと困るよ、アニョーシャ」


『アニョーシャ? こいつキララって名前じゃないのか? 』


「アニョーシャはやめてくれって、言ってるだろ? アンタの昔のパートナーだか知ンないけど、その女の名前で、アタシを呼ぶのはやめなよ! 」


「いいじゃないか、アニョーシャ。どうせ、おまえには名前がないんだ。そいつには、なんて呼ばせているのか知らないが、オレはアニョーシャが気に入ってるからな」


『名前がない? いったいこの子は…?』


「ゲームに夢中になってたから遅くなったけどさ。


コイツはアンタのこと、まるっきり知らないンだ。


それより、早く親に会わせて、これからやることを説明してヤンナ! 」


「それもそうだな。そこのボウヤ、パパに会わしてやるから、しばらくじっとしときな! 」


周りにいた2,3人の男達が、タケルの身体を金属の鎖で縛りつけると、キララは無表情でスーッと消えて行った。


「キララ! どこへ行くンだ!」


大声で叫びながら、タケルは自分を縛っている鎖を引き剥がそうとしたが、身体が思うように動かない。


タケルを船内に運ばせると、鎖の先を手すりの柱に固定した船長らしき男は、タケルをしかるように言った。


「あいつは、幽霊なンだ。


オマエはなんて名前付けてるか知らないが、アイツは出たいときに出てくるし、消えたいときにはいつでも消えて行くさ。


人間じゃないからな! 」


「でも、幽霊だったら、あんなにはっきり見えないだろ!


レストランにいたときだって、普通に注文してたし、ジュースだって飲んでたじゃないか! 」


タケルは暴れながら、叫んだ。


「いい加減にしろ! お前は、もうオレたちの操り人形なンだ。自分の立場を考えろ! 」


「いったい、あんたたちは、何者なンだ! オレをどうするつもりだ!」


「ちょっとな。ボウヤに働いてもらいたいことがある。お前サンの家族のためにナ…」


「家族? パパやママに何かしたのか? 何かあったら、オレ、絶対許しちゃオカネェ」


「それじゃ、会わせてやるよ。お前のパパは、この船の中でまだ気を失ってるが、ママはもうすぐ仲間が連れて来る。この2人が無事でいられるかは、お前にかかってるンだよ! 」


船長らしき男は、周りの男たちに手で指図した。タケルと同じように金属の鎖で縛られたトオルが、気絶したまま2人がかりで抱えられて来た。


「どうだ。今のところ、ボウヤのパパは縛られているが、無傷だ。でも、お前さんの返事によっちゃ、パパの命も保障は出来ないぜ…」


男は、持っていたナイフをタケルの顔の前にかざした。


「オレ、まだ意味わかンないんだけど、いったい何をすれば、パパが助かるって言うンだ?」


「そうだな。おじさん達の指示に、ちゃんと従えるか? まずは、それが第一だ」


「何をするのか、言わないと返事できない。おじさんたち、いったい何モンなんだ?」


「オレ達のことは、知らなくていい。ボウヤは言われた通りに動けばいいンだ。そのときには、アニョーシャも現れるだろう。あいつは面倒なことがきらいだからな。


ホントはアニョーシャがやってくれりゃ、簡単に済んだ話なンだがな。あいつは、自分の気に入った奴を使わないと、オレたちに手助けしちゃくれない。


まったく、あいつは気まぐれでわがままな化け猫だよ、まったく…」


「オレには、キララって言ったンだ。友達だと思ってたのが、間違ってたのか…」


「そうだな。まぁ、ボウヤもこの先に人生があるなら、女には気をつけたがいいな。さぁ、どうだ。言うこと聞くのか、聞かないのか?」


そのとき、船の外側で口笛を鳴らす音が聞こえた。


「さぁて、ボウヤのママもご到着だ。あまり、大声を出されても困る。


ボウヤ、悪いがちょっと眠ってもらうよ」


そばで光が見えたと思うと、タケルはすぐに気を失った。




第13章 試練ときずな ⑤

2021-06-14 15:58:25 | 未来記

2008-03-03

5.マイクとケンの悩み


長い長いヴァレンタイン・デー。


スクール内では、この日のプレゼント交換は禁止されていた中級生も、チルドレンズ・ハウス内では解禁されている。


中級生の子供達は、今晩ハウスで繰り広げられる、プレゼント交換を気にしながら、午後の授業に取り組んだ。


マイクはパールのことを、気になる子の1位にランク付けていたが、パールは誰にもプレゼントしないと聞いて、よけいにパールのことが気になり始めていた。


ジョンの方が、いつも真正面からパールにアタックしているので、まともに話も出来ないマイクに勝ち目はない。


それでも、たまにパールへメールすると、パールの優しい言葉が返って来る。そのメールを見るだけでも、マイクは幸せな気分になっていた。


マイクの母親ジュリアからは、毎日のようにメールが届く。


[テストが終わったら、長期休暇ね。ためしに、こっちへいらっしゃい。ゲームだってこっちの方が迫力あって、楽しいわよ。ママも楽しみに待ってるわ」


マイクもゲームは大好きだけど、フリーダム・エリアのゲームは、超過激だ。マイクの太くて大きな身体では、仲間とゲームしても、ついてゆけるか、不安になる。


それに、やさしいママは、きっと毎日おいしいモノをマイクに食べさせてくれる。一緒に暮らしたら、今よりもっと太るだろうな。


でも、これ以上太ったら…


マイクは未来の自分を想像してみた。バルーンのように、ふくらんだボディ。


それがどんどんふくらんで行く…。


せっかくのママからの誘いだけど、ずっと一緒だったパパにも悪いし、パールがここにいる間は、パールのこと守ってあげないと…。


ジョディとマギィの会話を聞いて、あの2人からパールを守ってやることが、マイク自身の使命のような気がした。


明日から、来週に迫った進級テストのために、午後の授業やクラブ活動もお休みだ。


午前中の授業もテスト勉強に充てられるので、マイクもケンも、今日だけは思い切りスポーツに打ち込んだ。


仲の良い2人は声をかけ合って、一緒にチャイルド・ハウスへと帰って来た。


「マイク。オレ、ヴァレンタイン・デーって、あんまりスキじゃない。だって、別にスキな子にスキって言うの、いつでもいいジャン?


なンでこだわるンだろうね」


「ボクモ カンケイ ナイネ。


パール ダレモ プレゼント シナイ。


デモ… プレゼント モラウト ウレシイカモ…」


マイクは背も高くて太っているが、目もパッチリしていて、プーさんみたいな感じだろうか。顔がかわいいし、しゃべり方がおもしろいので、割と人気があった。


そんなマイクだから、下級生から上級生まで、何人もの女の子から、たくさんのプレゼントを受け取った。


その中には、サリーとエミリからの、大きなクマのチョコも入っている。でも、本命のパールからプレゼントがないので、うれしそうではあっても、喜びも半分というところだ。


少し立場は違うけど、好きな子からもらえないさびしさは、ケンにもナンとなくわかった。


ケンも、何人かの女の子からチョコを受け取ったが、すまなそうに「ありがとう」と答えた。


ケンは、タケルよりも背が低くて、やせて浅黒い。ネズミのようにすばしっこくて、スポーツは得意なのに、保護者のおじさんに似たのか、いつも自分のやることに自信がない。


たくさんのプレゼントを抱えたマイクをうらやましいなと感じながらも、自分はコレくらいでいいや、とホッと胸をなでおろしていた。


『キラシャは、今年は誰にもプレゼントしないって言ってたけどさ。オレの分まで寄付にまわすことはないのに。いっつも、心配してやってるのにさ…』


ユウキ先生から、タケルがここへ戻って来ると聞いて、よけいにキラシャのことが気になるケン。


『タケルにはぜんぜん勝てる気しないンだけどさ。


キラシャのこと守れるのは、ひょっとしたら、オレの方ナンじゃナイのかな…』


ちょっと自信なさ気に、キラシャのことを心配するケンだった。




第13章 試練ときずな ⑥

2021-06-12 15:59:50 | 未来記

2008-03-04

6.親と子


タケルの目が覚めたとき、目の前には金属の鎖で縛られたトオルとミリが、気を失った状態で横たわっていた。トオルの顔には、殴られたアザと傷も見えた。


『パパ、ママ…』


タケルは、思いっきり頭をガーンと殴られたような気がして、2人をただ見つめた。


『タケル。目が覚めた? 奴らは、これからの仕事の前祝いに出かけてるよ。見張りがいるから声は出せないけど、心の中で話せるだろ? 』


『キララ、お前なンか、ウソつきじゃないか! ホントの名前なんてどうでもいいけど、オレを応援してくれるって、あれもウソなのかよ!』


自然と声も出さずに、キララと会話しているタケル。


『タケルが、何にもわかっちゃいないからさ。


こんな悪党達もいるってこと、教えてやろうと思ってね。


でも、こいつらだって、表じゃまじめに仕事をしてンだよ。


カネさえありゃね…。


客には楽しいゲームでも、それを商売でやるには、カネがかかり過ぎるって言うンだ。


これから、それを何とかしなきゃいけないンだけどさ。


アンタにそれを手伝ってもらおうかと思ってさ…』


『冗談じゃない。それって、オレに強盗か何かしろってことだろ?


オレにはそんなことはできない。パパやママだって、そんなこと絶対許さない!』


『そう言うと思って、この2人を人質にしてるのさ。


アンタは、このパパとママがいなけりゃ、やってけないンだろ? 


そのダイジなパパとママが、この世からいなくなったら? 』


『やめろ! それならオレを殺せ! オレなんて、生きてても全然楽しくないンだ…』


『そうかい? アンタには、自分よりダイジに思ってる女の子がいるよ。キラシャってね。


アンタがナンて言ったって、心で感じるンだ。


アタシにもキラシャって、呼ばせたかったけど、アンタの心がイヤがってた。


だから、キララに変えたンだ』


「うぅっ...」


うめき声が聞こえて、トオルが目を覚ました。


「…パパ、ゴメン!


殴られたの? 痛かった? オレ、こんなことになるなンて…」


タケルは、生まれて初めて自分の父親にすまないと思った。


自然といたわりの言葉が出た。


「タケル、大丈夫か?


おまえが縛られているのを見て、黙って見ていられるパパだと思うか?


…パパのことはいいんだ。でも、ママまで巻き込まれるとは…」


ミリは、まだ目を閉じている。


「パパも、うかつだった。地球では、相手の言葉を信じなければ、治療などできなかったが、ここではそのルールは通用しない。パパもこんなことになるとは…」


「パパ…。オレ、パパとママに生きていて欲しいンだ。


でも、オレがもし悪いことしなくちゃならなくなったら、オレのことキライになるだろ?」


「パパは、タケルが宝物だ。お前のためにだったら、命など惜しくない」


「オレは、絶対悪いことしたくないンだ。でも…」


タケルは、それ以上言葉にならず、大粒の涙を流した。


『わかったから! アンタはアタシの言うことだけ聞いてればいい、アタシが何とかするよ。パパには、あいつらに反抗しないように言いな。アンタを守るためにもね』


「パパ、オレに何があっても、ママを守ってね。


ひょっとしたら、ヒロが警察に連絡してるかもしれない…」


『アンタ、バカか?! そうはさせないよ! アンタ、アタシを困らせたいのか?


助けて欲しくないのか? まったく、地球人って奴は、わけがわかンないよ!』


「パパは、タケルの無事を祈ってる。パパ達のことはいい。タケルは自分を信じなさい。どんな悪いことがあっても、タケルが生きていれば、必ず良い結果につながる。



…パパはそう信じてるから…」


2人の声が漏れたのか、見張りがやって来た。


「目が覚めたのか、じゃぁ仲間を呼び寄せるから待ってろ…」



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