BJしか勝たん
【奈落第五層 火龍の巣】
今回の依頼は、火龍の群れの討伐任務。
最後の敵が崩れ落ち、火山灰が静かに舞い落ちる。
イグニス=イッシュバーンは弓を背に、肩で息をついた。
「ふぅ……これで討伐完了」
同行していた剣士ヒルダが、剣を鞘に納めて笑った。
「…で? あんた、報酬もらったらまたカジノ行くつもりでしょ」
「……バレたか」
「そんなんだからモテないのよ、あんた」
イグニスは肩をすくめ、口角を上げる。
「モテなくて結構。俺の恋人は勝利の女神だけだ」
ヒルダは呆れたように笑い、依頼主の元へと歩き出す。
イグニスはその背を見送りながら、脳裏に煌めくライトとカードの音を思い描いていた。
【ゴールデン・フェニックス VIPブラックジャックルーム】
ルーレットでの惨敗から三日後。
イグニス=イッシュバーンは再び煌びやかなネオンの下に戻ってきた。
「運だけのルーレットはもうやめだ。今度は頭脳で勝つ!」
ーーーー
【ブラックジャック(BJ)VIPテーブル ハウスルール】
・使用デッキ:8デッキ(416枚)シャッフル
・ミニマムベット:50G、マックスベット:5,000G
・ブラックジャック(A+10or絵札)は配当1.5倍
・ディーラーは17で必ずスタンド
・スプリット・ダブルダウン可能(ダブルダウンは最初の2枚のみ)
・インシュランスあり(ディーラーのアップカードがAの時)
・カードカウンティング防止のため、デッキは不定期シャッフル
ーーーー
イグニスはチップ10,000Gを手に、席に着く。
ディーラーは、ルーレットでも顔を合わせた美女・エミリ。
「お帰りなさいませ、イグニス様。本日はブラックジャックですね?」
「あぁ、BJしか勝たん!」
⸻
第1ハンド
〔10♠・9♥〕=19 → スタンド
ディーラー17 → 勝利。+100G。
「ほら来た、これは流れや!」
⸻
第2ハンド
〔A♦・K♣〕=BJ(21)
配当1.5倍、+150G。所持金:10,250G。
⸻
その後も的確なスタンドとヒット、時折のダブルダウンが的中し、勝利を積み重ねる。
イグニスの読みは冴えわたり、所持金はぐんぐん増えていく。
⸻
勝負どころ
〔8♠・3♦〕=11 → ダブルダウン1,000G。
引いたカードはK♠、合計21。
ディーラーはバースト。+2,000G。
「これや! これがBJや!」
⸻
さらにスプリットで両方勝利する場面もあり、終盤には所持金が15,200Gに到達。
イグニスは椅子にもたれ、勝利の余韻を噛みしめた。
⸻
「やっぱりBJしか勝たん!」
カクテルを注文し、チップを弾ませながらVIPルームを後にする。
その笑顔の奥には、「次はもっと大きく勝つ」という危うい輝きが宿っていた――。