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奈落の果てのギャンブラー!  作者: 黒瀬雷牙
上級冒険者の日常(2)
23/50

ハイ&ローしか勝たん

【隣国の空港】


 隣国の空港で、イグニスはロマーリオと別れた。


 残った()()()を換金すると、出発前は約57,000あったGは、半分以下の20,000ほどになっていた。


 ロマーリオはイグニスに向かって言う。


「舌の根が渇く頃に、俺は日本に戻るつもりだ」


 イグニスは微かに頷く。ロマーリオは手を振り、軽く笑った。


「また必ず、日本に来いよイグニス!」


「あぁ、必ず行くよ!またなロマーリオ!」


 イグニスは一人、馬車に揺られながらサンライズシティへ向かう。

 窓の外に広がる草原は、朝日に照らされて黄金色に輝いていた。


【旅の途中の村 ミルフィア】


 日が暮れかかる頃、イグニスは小さな村に到着する。村人たちは旅人を暖かく迎え入れ、簡素だが清潔な宿に案内してくれた。


 夜の闇が村を包み、細い街路にランタンの光が揺れていた。

 イグニスは荷を宿に置き、軽く体を伸ばして村の広場を歩く。

 そこに、笑い声とコインの音が混ざった小屋が見えた。


「……ふむ、これは……ハイ&ローか」


 屋台の中では、数人の村人がカードをめくり、数字が次に高いか低いかを予想して賭けている。小さな札束や硬貨がテーブルに積まれ、夜風に混じってざわめきが聞こえた。


 イグニスは足を止め、テーブルに近づく。


 「ちょっと参加してみよう」


 最初は勝てない。予想は外れ、チップは減っていく。


「ハイ……ロー……」


 イグニスは静かにカードをめくるたび、数字の流れや対戦相手の癖を観察する。


 隣に座る老人が笑いながら言った。


「初めてかい?このゲームは運もいるが、読みができる奴は強いぞ」


 イグニスは頷き、目を細める。


「なるほど……この数字の傾向と心理を読むのか」


 数局後、イグニスは少しずつ流れを掴み始める。

 相手が焦って賭けを大きくする瞬間、次に低いか高いかを直感で判断。


「ロー……」


 見事に的中し、チップが少しずつ積み上がる。

 村人たちも次第にイグニスの腕に気づき、ざわつき始めた。


「こいつ……なかなかやるな」


 小さな声が漏れる。


 深夜も更け、イグニスはほぼ連続で正解を重ねる。

 チップは初めの数倍に膨れ、笑みを浮かべながらカードをめくる。


「やはり……経験と観察力だな」


 彼の瞳には、奈落で鍛えた集中力と読みの力が宿っている…つもりになっていた。

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