表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落の果てのギャンブラー!  作者: 黒瀬雷牙
東の島国編(1)
19/50

競輪は勝てん

【東の島国 某競輪場 G1初日】


 G1──競輪の最高峰。

 全国から精鋭たちが集い、白熱の戦いを繰り広げる特別な舞台だ。


 イグニスは、前回のF2最終日から、数日間で回収率130%、プラス100万以上という好成績を叩き出した。その勝ち分を握りしめ、ロマーリオとともに朝一番から会場に到着した。


「さあロマーリオ、今日は一気に勝負を決めるぞ。実力差も読みやすいはずだ」


 ロマーリオも笑顔で頷く。


「おう、今日は楽しませてもらおうじゃねえか!」


【第1レース】


 開門直後から多くの観客でごった返すスタンド。

 イグニスは前日までに集めた選手データを広げ、自信満々に予想を組み立てる。


「このラインは鉄板だ。頭はこの選手で間違いない」


 発走ベルが鳴り、レース開始。

 しかし──最後の直線で大波乱。軸にした選手がまさかの失速、人気薄の差し馬……いや差し選手が突き抜けた。


「……まあ、こんなこともある。G1は一筋縄じゃいかないな」


【第2〜第4レース】


 イグニスは冷静に軌道修正する。だが、外れる。

 差し有利と読めば逃げが決まり、逃げ有利と見れば捲られる。

 オッズに惑わされたつもりはない。だが結果は、ことごとく逆に出た。


「……まだ序盤だ。取り戻せる」


 額にはじわりと汗が滲み始める。


 屋台の焼きそばをすすりながら、ロマーリオが苦笑した。


「イグニス、今日は流れが悪いぞ」


「流れ……?いや、まだだ。G1は後半でこそ本領発揮だ」


【第5〜第8レース】


 イグニスは持ち味のライン読みで勝負に出る。

 しかし、それすら裏切られる。完璧と思ったフォーメーションが、あと一歩で崩れる。


「……信じられん。あの展開で差されるのか……」


 額の汗は、もう止まらなかった。


【最終2レース】


 残る軍資金はわずか。

 100万円あった勝ち分は、すでに半分以上が溶けていた。


「ここで全部取り返す……!」


 渾身の予想を叩き込む。しかし結果は…またも人気薄の激走。歓声と落胆が入り混じるスタンドの中、イグニスだけが茫然と立ち尽くした。


【最終レース】


 最後のレースに、残りの全額を投入。

 祈るようにスタートを見守る。

 だが、またしても読みは外れた。


 ゴールラインを越えた瞬間、イグニスは呆然と呟いた。


「……こんなこと……ありえるのか……?朝から全部外すなんて……」


 ロマーリオは気まずそうに肩を叩いた。


「イグニス、これがギャンブルってやつだ。昨日までの勝ちは、今日のためにあったのかもな」


 イグニスは深く息を吐き、空を仰いだ。


「……また一からだな。だが、俺は諦めない」


 日が暮れ、会場を去る二人の背中に、ネオンの光が淡く降り注いでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ