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奈落の果てのギャンブラー!  作者: 黒瀬雷牙
上級冒険者の日常(1)
11/50

スロットマシンしか勝たん

【奈落 第六層 深海都市ルメナリア】


 潮の香りが漂う市場には、獲物を手にした冒険者たちが活気づいていた。

 イグニスとアルガードは、付き添いの魔法使いと共に先ほど討伐した巨大海獣の肉を売りさばき、それぞれ5,000スケイルを手に入れていた。


「さすがにこの報酬はありがたいな」


「これで少しは軍資金に余裕ができたな」


 二人は市場の喧騒を抜け、深海都市の煌びやかなネオンが輝く方向へと歩を進める。


「さて、今日はここ《マグナ・スロット》で一勝負といこうか」


「イグニス、あまり無茶はしないでくれよ」


 アルガードは真面目な表情で言ったが、その瞳にはどこか楽しげな光も宿っていた。


【マグナ・スロット 内部】


 煌びやかな魔導スロットマシンがずらりと並び、鮮やかな光と音が空間を彩っている。イグニスは手にした5,000スケイルのチップを見つめながら、アルガードに声をかける。


「お前はどうする? 控えめにいくのか?」


「控えめにな。2,000スケイルで様子を見よう」


 二人は隣同士の台に腰を下ろし、賭け金を入れる。


 アルガードは慎重にレバーを引き、図柄が次々と回転する。しかし、思わしくない結果にチップは徐々に減っていく。


 一方イグニスは残りわずかのスケイルを手にし、祈るようにレバーを引いた。


 「頼む……これで最後だ」


 リールの光が激しく点滅し、音楽が高鳴る。そして――


 「うおおおおっ!!!」


 三つの絵柄が揃い、大当たりで5,000スケイルを獲得した。歓声が上がり、イグニスは満面の笑みを浮かべた。


「まだ俺には運がある!」


 アルガードは少し驚いた様子で笑いながらも、


「お前が元気になって何よりだよ」


 二人は勝利を祝い、煌めく深海都市の夜に消えていった。


【ルメナリア 高級クラブ「ルミナス」】


 煌めく水晶のシャンデリアが天井を飾る高級クラブ「ルミナス」。深海都市の夜を彩るスポットだ。


 イグニスとアルガードは、大当たりで手にしたスケイルを手土産に、店のVIPルームへと案内された。


「今日は俺の奢りだ。さあ飲め飲め!」


 イグニスは豪快に酒をあおり、テーブルの上には色とりどりの海鮮料理が並ぶ。アルガードは少し控えめにグラスを傾けながらも、イグニスの元気な姿に安心した様子だ。


「しかし、よくもあんな大当たりを引いたな」


「運も実力のうちってやつだ!」


 イグニスは笑い転げ、やがて酔いが回って声が大きくなる。


「こらこら、落ち着けって!」


 アルガードが慌ててたしなめるも、イグニスは聞く耳を持たない。


【ルメナリア ホテル「シーサイド・イン」】


 朝の光が差し込み、イグニスは知らぬ間にホテルのベッドで目を覚ました。


 頭がぼんやりと重い。


 「ぐぅ……」


 枕元の時計が朝食の時間を告げる。


【ホテル・ダイニングルーム】


 バイキング形式の食事会場。イグニスはまだ寝ぼけ眼で料理を取る。


 その時、入口から颯爽と現れたのはアルガードだった。


「おはよう、イグニス。もう食事は済ませたぞ」


「お、おう……随分早いな」


「俺は早起きだ。今日中にサンライズシティに戻るつもりだ」


 イグニスはゆっくりとパンをかじりながら、


「俺はもう少しここに滞在することにした」


 アルガードは少し驚きつつも、柔らかく笑った。


「元気そうで何よりだが……ギャンブルはほどほどにな。調子には乗るなよ」


「ははっ、大丈夫だよ、任せとけ!」


 二人の朝の会話が、静かに交わされた。

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