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奈落の果てのギャンブラー!  作者: 黒瀬雷牙
上級冒険者の日常(1)
10/50

シックボーは勝てん

 「シックボー、おもしれー!」と興奮冷めやらぬイグニス。しかしギャンブルの波は容赦なく彼を揺さぶり始める。


【第四戦】

 勝ち分で挑むイグニスは、今度は「トリプルの4」に狙いを定めた。配当はなんと150倍。


 「ここで一発決めたら、伝説だな」


 ドームが回り、サイコロが跳ねる。結果は〔2・4・5〕…トリプルならず。


「……むっ」


 チップが消える音が耳に痛い。


【第五戦】

 イグニスは焦りを隠しきれず、「小」に大きく賭ける。だがまたもや結果は「大」――〔6・5・5〕合計16。


「くっ……」


【第六戦】

 続けて「特定数字の5」に賭ける。今回は三つのサイコロに一つでも「5」があれば当たり。配当は1.5倍と控えめ。


 結果は〔1・3・6〕。


「……いない」


【第七戦】

 すでにチップは減り始め、気持ちも焦る。


 「次は大で勝負だ」


 サイコロはゆっくりと転がり……〔3・2・6〕、合計11。大である。


「お、よし……」


【第八戦】

 しかし連続で「小」が出る。〔2・2・3〕、合計7。


「な、なんやこれ……」


【第九戦】

 イグニスは大きな勝負に出る。

 「トリプルのどれかにかける」――配当は24倍。

 勝負に出なければ増えぬと自分に言い聞かせて。


 結果は〔4・4・5〕。惜しくもトリプルならず。


「うわあああ……」


 もはや心も財布も限界に近い。イグニスの額には汗が滲み、視線は朦朧としていた。


「戦略なんて関係ねぇ……ただの運任せかよ……」


 カジノの喧騒が遠くなる。彼は静かに手を引いた。


【帰路】

 寂しい夜風が頬をかすめる。街灯の下で、イグニスは肩を落として足早に歩いていた。


「イグニス、そんな顔をしてどうしたんだ?」


 酒場から出てきたアルガードが声をかける。


「……今日はシックボーで負けちまった」


「またか…いや、それは残念だ」


 私とて、同じような時がありました。


「また悪い癖が出たのか?」


「……まあな」


 アルガードは懐から財布を取り出し、小銭を数えながら続けた。


「今日は私が奢ろう。友として、少しでも力になりたい」


 イグニスは一瞬戸惑ったが、素直に頷いた。


【食事処】

 二人は近くの小さな酒場に入り、アルガードが注文した海鮮鍋を囲んだ。


「ありがとう、アルガード」


 イグニスは少しだけ顔を上げ、目に力を戻し始めていた。


「でもな……勝利の女神は時々気まぐれだ。だからこそ、賭ける意味があるんだ」


「そうかもな」


 アルガードは微笑み、イグニスの肩にそっと手を置いた。


「…次は、私も付き合おう」


「お!?マジか!!」


 こうして、イグニスのギャンブルへの情熱は、仲間の支えと共に新たな夜へと続いていく。

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