シックボーは勝てん
「シックボー、おもしれー!」と興奮冷めやらぬイグニス。しかしギャンブルの波は容赦なく彼を揺さぶり始める。
【第四戦】
勝ち分で挑むイグニスは、今度は「トリプルの4」に狙いを定めた。配当はなんと150倍。
「ここで一発決めたら、伝説だな」
ドームが回り、サイコロが跳ねる。結果は〔2・4・5〕…トリプルならず。
「……むっ」
チップが消える音が耳に痛い。
【第五戦】
イグニスは焦りを隠しきれず、「小」に大きく賭ける。だがまたもや結果は「大」――〔6・5・5〕合計16。
「くっ……」
【第六戦】
続けて「特定数字の5」に賭ける。今回は三つのサイコロに一つでも「5」があれば当たり。配当は1.5倍と控えめ。
結果は〔1・3・6〕。
「……いない」
【第七戦】
すでにチップは減り始め、気持ちも焦る。
「次は大で勝負だ」
サイコロはゆっくりと転がり……〔3・2・6〕、合計11。大である。
「お、よし……」
【第八戦】
しかし連続で「小」が出る。〔2・2・3〕、合計7。
「な、なんやこれ……」
【第九戦】
イグニスは大きな勝負に出る。
「トリプルのどれかにかける」――配当は24倍。
勝負に出なければ増えぬと自分に言い聞かせて。
結果は〔4・4・5〕。惜しくもトリプルならず。
「うわあああ……」
もはや心も財布も限界に近い。イグニスの額には汗が滲み、視線は朦朧としていた。
「戦略なんて関係ねぇ……ただの運任せかよ……」
カジノの喧騒が遠くなる。彼は静かに手を引いた。
【帰路】
寂しい夜風が頬をかすめる。街灯の下で、イグニスは肩を落として足早に歩いていた。
「イグニス、そんな顔をしてどうしたんだ?」
酒場から出てきたアルガードが声をかける。
「……今日はシックボーで負けちまった」
「またか…いや、それは残念だ」
私とて、同じような時がありました。
「また悪い癖が出たのか?」
「……まあな」
アルガードは懐から財布を取り出し、小銭を数えながら続けた。
「今日は私が奢ろう。友として、少しでも力になりたい」
イグニスは一瞬戸惑ったが、素直に頷いた。
【食事処】
二人は近くの小さな酒場に入り、アルガードが注文した海鮮鍋を囲んだ。
「ありがとう、アルガード」
イグニスは少しだけ顔を上げ、目に力を戻し始めていた。
「でもな……勝利の女神は時々気まぐれだ。だからこそ、賭ける意味があるんだ」
「そうかもな」
アルガードは微笑み、イグニスの肩にそっと手を置いた。
「…次は、私も付き合おう」
「お!?マジか!!」
こうして、イグニスのギャンブルへの情熱は、仲間の支えと共に新たな夜へと続いていく。




