理由②
「要!やっと同じクラスだなっ。」
座っているように、紀ノ河 順也が背後から抱きついた。今回のクラス替えで順也と要は初めて、やっとこさ同じクラスになった。同じ幼稚園の卒園生で、同じサッカークラブに入っていて、毎日のように学校で顔を合わせていたって、やっぱり同じクラスというのは別格。要も振り返りながら、にこやかに頷いた。この関係性は変わらない。
進級して、始業式を終え、初めての4年3組の教室にて、新しい担任の先生を待つ。3年生まで4組あったクラスが3組に減った理由など知る由もない。考えもしない。
ガラガラと扉が滑った。目を見張る反応速度でみんな席に戻り、教室が気色の悪い沈黙に包まれた。先の1年を占う初対面。男の先生だということは分かった。
「それでは皆さん、起立。」
依然として教室は静かなまま。椅子が床を引っ掻く音だけが威勢良く響いた。
「はい、着席。それでは出席を取ります。」
先生が出席番号順に、生徒の顔を確かめながら、ゆっくりと丁寧に氏名を呼んでいく。出席簿を読んでいくのではない。間違えのないよう確認はするが、昨晩までに全員のフルネームは覚えた。なるべく早く顔を名前を一致させなくてはならない。ひとりひとりの目を見ながら声を届ける。生徒から返事を受け取ると、宜しくねというように頷き、次の生徒の名前を呼ぶ。初めて耳にする声で自分の名前を呼ばれると、新しい何かが始まりそうでワクワクが止まらなくなる。静かにじんわりと、新学期が始まったのだなと実感が湧いてくる。




