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天才の証明③


 驚くなかれ、サッカークラブ正徳SCの練習はおよそ15分間の座学から始まる。だから集合場所はグランドではなく視聴覚室。日によってはホワイトボードやテレビも使って行われた。

 1年生には、何はともあれサッカーのルール、知識、常識から。チームも選手も知らないことは何の問題のないのだが、最低限知っておいて欲しいことは叩きこまなくてはならない。事前に頭に入れて、体を動かしながら復習する。そんなイメージだ。

 2年生以降は半分サッカー、もう半分が道徳の授業みたいになる。野口先生は毎回1枚のプリントを用意して皆に配布した。これは会社が作った物ではなくて、野口先生のオリジナル。テーマに詰まったりすると岡部先生に助言を求めたりもしたが、自分の目で見たチーム状況に沿った内容、自分の伝えたいこと、教えたいこと、子供達からの日頃の疑問・質問に対して、短い時間で分かり易くと心掛けていた。たまにちょっと過激な表現が見え隠れするのは若さ故。その方が子供のウケが良かったりする。

 サッカーは不器用な部分ばかりを使うスポーツ。準備体操とウォーミングアップ。どうして試合前、試合後に挨拶をするのか。得意技、必殺技を作ろう。サッカーは頭を使うスポーツ。守護神と呼ばれるゴールキーパー。ビデオ視聴会:ディエゴ・マラドーナ。利き足と逆足。体がぶつかることを怖がらない。ご飯が体を作り、勉強が頭を鍛える。お手伝いはお母さんへのありがとう。色白なスポーツに挑戦しよう。オフサイド勉強会。ビデオ視聴会:前回大会 決勝戦etc・・・


 最初の頃は貰ったプリントをそのままバッグに詰め込んで、家についたらぐしゃぐしゃで、すぐにゴミ箱行きだった。それがある日、ひょんなことからお母さんの目に留まる。サッカークラブの見方が少し変わる。クリアファイルを持たせたり、毎回プリントを確認したり、子供達よりお母さんの方が楽しみにしていたり。野口先生としてはとにかく子供達の為にと思って継続してきたことが、意図せぬ所へ影響を及ぼすこともあった。例えば、鈴本家のお父さんだったりね。

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