天才の証明①
【天才の証明】
要は3年生、進が1年生に上がって約半年。夏休みも終わり、赤宮小学校では目前の運動会に向けて全校生徒、全職員が最後の追い込みをかけていた。幼稚園よりも一層厳しく、美しく、全体練習は輪をかけて完成度の高さを要求される。また、要は低学年リレー(1、2、3年生の代表)のアンカーに選ばれ、午前の部の最終種目に出場することが決まっていた。これで3年連続、その学年に見合わぬ足の速さは既に学校内でも有名だった。要が走ると、何も知らない観客席もざわついた。残念ながら進の方は代表に選ばれるほど足が速くなかったが、こちらも彼らしい才能を開花させていた。図画工作の授業で作成した版画作品が来月、区選の銀賞を受賞する。やはり兄弟で美的センスがまるで異なるのであった(相も変わらずお兄ちゃんの方は、絵をはじめ図工、美術関係がてんでダメだった)。
要の朝は3年生になってから少しだけ表情を変えた。朝6時起床、サッカークラブのウィンドブレーカーを着て、走りにいく。ほぼ毎日のランニングを欠かさないようになっていた。3年生だと20分程度がやっとではあるが、朝っぱらから長距離を走る習慣ができ上がった。ボール蹴りからランニングに切り替えたのは3年生になってから。要なりの、問いに対する答え―サッカーで1番大切なものは―パスもドリブルも、シュートもスピードも全て不可欠な構成要素に違いないが、この頃の様はスタミナと即答した。中学生くらいまでは技術なんかなくたって前後半走り抜ける体力があれば都大会、県大会までは十分通用する、そう考える指導者も少なくない。それ程までにサッカーは走るスポーツ。体力が物を言う競技。走れなければ使い物にならない球技。
そうそう・・・進は小学校に上がってからは、お寝坊さんになってしまった。朝ギリギリまで起きてこないで要やお母さんに布団を◯ぎ取られることも度々だった。それと、進も要と同じサッカーチームに入ったぞ。




