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時間割りと時間泥棒⑦




 テレビが人外の力を有していた。圧倒的な影響力を誇っていた。影響力は武器になる。娯楽も情報も政治もスポーツも、映像イコールテレビだった。対抗馬なんて皆無。視聴率20パーセントなんて数字は日常で、要は進にはまだ早かったが、夜9時や10時から放送されるドラマなんて社会現象になるくらい。だからその間に挟まれるコマーシャルの価値もべらぼうに高かった。テレビが神の如き力を持っていた。やりたい放題だった。その強大な力に誰も逆らえなかった。その力に(あやか)ろうとした。

 そんなテレビが1番の楽しみでもあった。新聞をひっくり返せば、そこにはでっかくテレビ欄。放送時間にタイトル、スペースによっては簡単な番組内容が書いてあった。大した情報は載っていない、それでも心を高揚させるには十分。自分の観たい番組を確認して、特番をチェックして、野球中継が邪魔していないことを祈るのだ(野球とか巨人に興味のない人間からすると、好きな番組を中継に乗っ取られるとますます野球が嫌になる)。


 要と進にとっては朝の7時からテレビが始まる。好きとか嫌いとか、楽しいとかつまらないとかは関係ない。7時から7時のニュースが始まると決まっているのだ。予定変更ならば、それは自己。14時からはワイドショー、16時からドラマの再放送、17時半から夕方のニュース―もちろんチャンネルに寄るのだが―決定事項。

 どうやら人間の体は、時間に支配された方が具合いが良い。朝起きる時間と、夜寝る時間は毎日同じ時刻が望ましい。朝・昼・晩、3度の食事も決まった時刻に摂りなさい。体に時間というリズムを与えてやると調子が良くなる。反対に、よくご存じかとは思うが、不規則な生活リズムは体の調べを崩す。時間に縛られた生活は決して悪いことではない。どうにも調子がおかしい、上向かないという時は、どこかしらの生活リズムが乱れている可能性が大きい。世界が、地球が、宇宙が時間を軸に回っているのだから、人間だけそこから離れる訳にはいかない。そこで、時間を目に見える形にしたのが人間の知恵である。

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