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時間割りと時間泥棒➅

効いたかな、なんてこれっぽっちも思わない。ちょっとぐらい効いてくれたら、とは思うが。気の弱い子ならともかく、この程度でしゅんと落ち込む進ではない。むしろ瞳に力を蓄えながら先生に訴えるのだった。

「どうして とけいが あるの?どうして じかんを まもらなくちゃ いけないの?」

子供のこういう、ある種哲学的な質問から逃げてはいけないと心に決めていた。大人が、親が、先生が避けてしまったら、子供の疑問が行き先を失ってしまう。共に考える機会を逃してしまう。そのことをまるで使命のように、最も肝に銘じているのが、幼稚園や保育園の先生ではなかろうか。

「ボクね、とけいって キライなんだ。チクタク はやくしなさいって いわれたり まだダメですよって いわれているみたいで・・・」

時計が嫌いか。いい訳ではない進の本音に、返す言葉を選ぶ岡部先生。魔法の言葉は幾らでも持っている、大人だからな。ルールだからと言い切って、無理矢理だろうが頭ごなしだろうが力尽くだろうが、立場と力の弱い者を従わせることはできよう。しかし今は、それを善しとしたくない。疑問を持つこと、質問すること、提案することを怖いこと、悪いこと、避けるべきことと感じさせてはならない。可能性という花を摘んではならない。

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