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そして入学式へ・・・➅




 4月某日、鈴本家にて試着の儀が行われた。まずはお兄ちゃんから。区立の小学校なので制服はなし。よって楽チン。ランドセルのベルトを調整するだけで済む。まだまだランドセルが大きいといいう分かり切ったことを確認し、僕も僕もとねだる進にも背負わせておしまい。

 続いては弟君。やることはこっちの方が多くて大変だ。制服があって、帽子があって、肩下げかばんがある。それと、自分だけで着たり脱いだりできないと幼稚園で困ってしまう。さて、見慣れたお兄ちゃんの格好に変身した進は照れ臭そうに笑顔を浮かべる。鏡に映る自分の姿にご満悦であった。ひとりで着替えることもできたし、カバンの内ポケットの存在も覚えただろう。

割かしすんなりと試着の儀を終え、ふぅ、と一息つくお父さんとお母さん。ここでひとつ、2人が気付く。比較対象がまだお兄ちゃんしかいないのだが、進は背が低いかもしれない。反面、体はがっちりしている。どちらかというとひょろひょろっとした要とは逆で、筋肉質でどっしりとしていた。




 まだ懐かしさが込み上げてくるほど日にちは経っていない。お父さんと一緒にSCCの見学にやってきた要。これまでとまるで異なる時間帯に幼稚園を訪れるというのは、奇妙な緊張感があった。どこか知らない所へ来たかのよう。園児は誰もいないしね。

 グラウンドでウォーミングアップをするのは新2年生。どうだろう、春休みということで普段よりも参加人数は少ないのだろうか。それでも14、5人はいる。やや離れた位置から見学していたのだが、1才違うだけで随分と体の大きさに差を感じるお父さん。そういえば、要の背の順がどの辺りなのか訊いたことがなかった。真ん中よりも高いのか、低いのか。そんなことを思いながらふと隣に目を遣れば、要もグラウンドのサッカー少年に目を奪われていた、かと思いきや、お父さんとは別の所を見ていた模様。どこかというと、

「やっぱりそうだ、鈴本君!見学に来たんだね。あ、お父さんですか。ここでコーチをしております野口と申します。これから新2年生の練習が始まりますので、ごゆっくりしていって下さい。」

大人2人が互いに頭を下げる。これくらいきびきび、はきはき元気がないと、スポーツクラブの指導者は務まらないのかな。特に礼儀もけじめも言葉も知らない小学生は。第一印象は悪くない。正徳幼稚園で唯一の男の先生。要の俊足に惚れ込んだ、岡部先生の同級生。野口先生って言うんだ、初めて知った・・・心の中で呟く要であった。

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