そして入学式へ・・・②
事の起こりはこうだ。卒園祝いに何が欲しいかと訊かれた要は、サッカーボールと答えた。えっ・・・反射的にそんなものでいいのかと訊き返してしまったお父さん。毎週見ているアニメのおもちゃとか、ラジコンとかトランシーバーとか、ファミコンやらプラレールやらミニ四駆なんかは眼中にないらしい。それとも、そういうおもちゃがあることを知らないのか。いや、アニメを観ていれば子供向けのコマーシャルなんかいくらでも入ってくるはずだ。本人の欲しいものでもちろん問題ないし、さして値の張るものでもないはずだが、お父さんとしてはやっぱり野球の方が良かった。プラスチックのカラーバットではなく木なり金属バットを買って、C球とグローブも揃えて、キャッチボールをしたりいい音を響かせたかったのだが、この夢はまた別の機会で。まずは要の期待に沿うプレゼントを。
サッカーど素人のお父さんなりに調べてできる限り良いもの、玩具でないサッカーボールを購入した。それが見事に裏目に出てしまう。否、長い目で見れば決して裏目とはいえず、むしろ功名に繋がるのだが、それが判明するのはずっと先。
どうせ買うなら安物よりも本物を。張りボールよりも縫いボールの方が高級だと店員さんに教えてもらったお父さんは迷わず後者を選択。加えて子供用の4号球ではなく(1年生なんだから子供用でいいのに・・・)、一回り大きい本格的な5号球をお買い上げ。納得ほくほく顔のお父さんであったが、本来5号球は中学生から。小学生は4号球が公式球、なんて事を知るものは鈴本家にはいない。ランドセル同様、大きすぎるサッカーボールも子供の成長と共にいずれピタリと馴染むだろうと、笑顔の様を前に疑念など生まれるはずもなかった。
そうだと思い込んだらそうなるものだ。殊に無邪気な子供が疑心なく信じていたら鬼に金棒。そうだと信じた先が真実になることがある。たとえ間違っていようが、無理矢理だろうが、難易度が跳ね上がろうが、適合したものが強い。




