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卒園式の隠し事③




 園児として正徳幼稚園に通うことのできる最後の日、卒園式。この日は9時半までに保護者と一緒に登園。生徒は各クラスへ、保護者は会場の講堂へ案内される。さて、主役達は普段着の子もおめかししている子もいるのだが、綺麗な恰好をしているのはほとんどが女の子。要や順也はいつも通りだったが、清香ちゃんは可愛らしい服装と髪型をしていた(ちゃんと気付いてあげるんだぞ、男子)。そして正装した先生方の姿を見て改めて、最後なのだと認識させられる。

 運動会同様―こちらも振り返れる所までくれば愛おしい思い出として彩られるのだが―予行練習が何度も行われた。これでもかと園庭を周回した行進とは逆に、ず~っと立ったり座ったり。歌の練習もするのだが、やはりいつもより厳しい。壇上で証書を受け取る練習をひとりずつ行う時も、他の子はずっと、じっと、ぐっと座っていなくてはならない。隣の友達とお喋りでもしようものなら一発でバレてしまう。前だけ向いて、背筋を伸ばして、黙っているだけ。そりゃ、くわぁ~とあくびも出るわな。

 そうそう・・・要が幼稚園を休んだ日、職員室で決が取られ、すみれ組の朝の会で岡部先生がクラスの皆に提案をしたのだが反対する子はおらず、全員賛成で会を終えただけでなく子供達のアイデアで本人には内緒にしておいた方が面白い、来週以降欠席がなければ卒園式の日の驚かせてやろうとういことになり、今度はすみれ組から職員室へ持ち帰った結果、秘密裏に計画が進められ、目論見通りに鈴本 要は幼稚園を休むことなく、本人及び家族に知らせることなく当日を迎えることになるのだが、無論不安材料もあって、内緒にしておくことが上手くいってしまったが故に、軽いアドリブを年端もいかぬ子に求めることになり、しかもそれが卒園式という舞台な訳で、けれども鈴本君なら大丈夫だろうという、根拠のない安心感や期待をさせる何かが要にはあるのだった。

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