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進の入院⑧


 帰宅後、うどんで軽く昼食を済ませると、進もほっと落ち着いたのだろう。外に行きたいと言い出すものだから、お父さんが付き添って3人で山下公園へ出掛けた。夕食は早めにしますからねと見送るお母さん。

 監視役のお父さんに見守られながら団子作り、団子磨きに精を出す要と進。戻ってきた日常にお父さんの緊張の糸もようやく緩んでくれた。この様子であれば暴れ回る心配もなかろうて。ぽかぽか陽気に誘われて、閉じ込めていた睡魔も目を覚まし、ついうとうとと眠り惚けてしまった。公園のベンチで昼寝をするのって、なんでこんなに気持ちがいいのだろうか。

 「お父さん、お父さん、起きて・・・ほら見て、できたよ。」

進の声で目を覚ますと2つの玉が、もとい、泥団子が掌に乗っていた。金属かと見紛う程の光沢を放っていて、思わずそっと触れるとスベスベとした感触が伝わってきた。納得のいくものが完成した。これなら飾ってもいいかな。ただし、家の中は困るから、やっぱり玄関だけどな。


 要と進を残して。お父さんだけ戻ってきた。

「あら、2人は?」

「まだ砂場にいるよ~・・・ビニール袋と、タオルか雑巾でもいいんだけど・・・・・・」

「小さいのでよければすぐに出しますよ。何に使うんですか?」

「泥団子を入れとくんだ。そのまんま置いとくとすぐに割れちゃうから袋に入れてタオルを敷いて、日影に置くといいって会社の奴が―」

袋とタオルを用意するお母さんの顔がこっそり綻びる。そんなこと今の今まで一言も口にしなかったお父さん。もっと早く2人に教えてあげればいいのに。いや、もしかしたら飾るに値するまで待っていたのだろうか。公園で「こうやって磨くとピカピカになるぞ」なんて教えてあげていたのだろうか(ベンチで寝てました)・・・・・・嬉しそうに膨らむお母さんの妄想。もうすぐ帰ってきそうかしらね。お風呂のお湯を入れ始め、夕食の仕上げに取り掛かった。


                                       【進の入院 終】

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