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思いよ届け

一通り家の中を見て回った後、家の外を見てみる事にした。

「僕ここに畑を作りたいんだけど、いいかな?」

「勿論いいですよ。兄さんがやりたい事を何でも言って下さい」

「ありがとう。あと、鶏小屋もいるよね?毎日卵食べたいもんね」

「そうですね。兄さんが嫌いな蛇が入って来ないようにしっかりとした鶏小屋を建てたいですね」

「あと折角可愛い家だから周りに花を植えたいな。きっともっと素敵な秘密基地になるよ」

「いいですね。これから少しずつ俺達だけの秘密基地にしていきましょう」


それから近くの川の場所やあまり近づかない方がいい場所を教えて貰った。そうしているうちに段々とお腹が空いてきたので、外でお弁当を食べる事にした。

「たまにこうやって外でごはんを食べるのも楽しいよね」

「風や日差しを感じながらする食事はもっと美味しくなる気がします。お弁当ありがとうございます。美味しいです」

「良かった。君は好き嫌いを言わないから本当は嫌いだったらどうしようって思っていたんだ」

「兄さんが俺の為に愛情を込めて作ってくれた料理に嫌いなものなんてありませんよ。知っていますか?愛情は1番の調味料らしいですよ」

サンドイッチをもぐもぐとしていたら、眩しい笑顔で頭を撫でられた。なるほど、愛情を込めて料理をすれば美味しくなるのか。

「じゃあいつも美味しいはずだね。僕は料理を作っている時には君が笑顔になってくれるのを想像して作っているからね」

弟は隣から後ろに移動して僕の背中にくっついて来た。

「いつも俺を思って料理してるんですか?俺に喜んでほしくて?」

「そうだよ。料理してる匂いが森の中の君の所まで届いたら早く帰って来るかもしれないしね。無事に帰って来て早く美味しいって食べて欲しいっていつも思ってるよ」


弟は僕を膝の上に横座りさせて自分のサンドイッチを差し出して来た。一口食べてみるけど、僕のと同じ味がする。

「?」

一体どういうつもりだと弟を見上げると、僕が齧ったサンドイッチを大きな一口で食べて、口の端についたソースを指で拭った。それをまた僕の口元まで持ってきたのでペロッと舐めてみる。やっぱりこのソースも僕のサンドイッチと同じ味だ。

弟は僕が舐めて綺麗になった指を僕をじっと見つめながら舌を出してゆっくりと舐めた。

(え?何これ?何か分からないけど、異様に恥ずかしい!!)

どうしていいか分からなくなった僕は下を向いて自分のサンドイッチを一生懸命食べた。

僕の耳元に息を吹きかけながら弟は囁いてきた。

「フフッ。さすがの兄さんも恥ずかしくなりましたか?もっと俺を意識して下さいね」


弟は時々こうやって僕を困らせてくる。どういう態度でいればいいのか分からなくて怒る事も出来ずに終わってしまう。

この間もそうだった。

今日は鶏が脱走して追いかけてようやく鶏小屋に戻したら、その隙に他の鶏が逃げ出してその日はずっと鶏を追いかけ回して大変だった。という話を夕飯の時にしていた。

さて寝るかといつものようにベッドで横になっている弟の隣にいくと、弟は体を起こして話しかけてきた。

「今日は鶏を追いかけて大変だったんですよね?」

「そう。次から次へと逃げちゃってさ。もう全員捕まえられないかと思ったよ」

「そんなお疲れの兄さんを俺が癒やしてあげますね」

「ありがとう。でも君も疲れてるんじゃない?大丈夫?」

「俺は今日特別変わった事は無かったんで大丈夫ですよ」


弟は僕の体をうつ伏せに寝かせると背中から腕を痛くないかを聞いて確かめながら丁寧にマッサージをしてくれた。腰まで来ると、両手で腰を掴んでさわさわと触れてきた。

「フフッ。ちょっと駄目、くすぐったい。アハハッ」

あまりに擽ったくて身をよじっていると、今度は足の裏からお尻に向かってマッサージをしてくれた。背中側が終わると仰向けになって寝転んだ。

「お腹側ってマッサージする所あるの?」

「沢山ありますよ。俺が勝手にやってるんで眠くなったら寝て下さいね」

弟は僕に顔を近づけて観察しながら手を這わせていった。

「ここはどうですか?擽ったい?」

「フッ。ちょっとくすぐったいかも」

やけに真剣な表現をして、マッサージとも言えないような触れるかどうかの際どい触り方をしている。本当にこれはマッサージなんだろうかと尋ねようにも、弟の真剣な顔を見ていると聞けなくなってしまった。このまま目を開けていたら何かとんでもない事になりそうで、弟の言葉に甘えて寝る事にした。

肉体的にも疲れていたので、あっという間に眠りに落ちた。




しばらく体中を触れていたアルバートは反応が無くなったので手を止めた。

「残念。寝ていいと言わなければ俺達の関係は進みましたか?」

アルバートはカインの寝ている頬にキスをして、いつものように抱き込んで眠った。

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