暗闇に憧れて
「うわぁ」
高校生くらいの少女が幻の小鬼を見て尻餅をついている。小鬼の幻は少女を通り抜けて走り行く。
「ドコウ先輩、人払いの結界張ってるんですよね?」
ネコヤナギは小鬼の幻に、ステッキで光りを当てて散らす。
「そうだね。あの子の超常現象侵食度が高いのかも」
「すみませーん。お嬢さん、ちょっとお話良いですか?」
「おじょうさん? 今のネコヤナギの見た目もっと幼いからね?」
少女は、立ち上がってうなづく。
「良いですよ。皆さんコスプレの集まりですか?」
ネコヤナギが話しているうちに、ドコウがステッキを少女にかざした。
「超常現象の影響を受けているけど、発生源じゃないね」
「この辺で変わったことに心当たりないですか?」
「思い当たらないです」
黒パーカー先生が少女に近づく。
「お姉さん。道場の人ですよね。前に見たことあって。套路すごく美しくて感動したんです。見せてもらっても良いですか?」
「道場は歳の離れた兄がやってて。まぁ、道場の人ってほどじゃないけど」
少女が息を整え、套路を踏む。
「黒パーカー先生。何か、すごい。すごい綺麗」
「これ、たぶん超常現象の影響を受けてる」
少女が套路を終えて礼をする。
「最近貴女に変わったことなかったですか?」
息を整えて少女が答える。
「こないだも、私の套路が美しいって同い年くらいの道場見学の女の子に言われたよ。『私は道場にはあまり関わってないよ』って伝えたら、なんか、すごく、もったいない、なんて言われた」




