恋する街
「美味い!チョコケーキ、美味いよ、モモ!」
「えへ~♡愛を込めて、作ったもんっ♡」
「こ~いつぅ♡」
「きゃっ♡」
スマイル団、ダイニング。
今日も、バカップルは、イチャコラしている。
他の団員達は、若干、距離を置いている。
「ねぇ、クーヤ♡」
「何だい?モモ」
「次の日曜、空いてる?モモ、クーヤとお出掛けしたいな♡」
「わっはー、甘えん坊さんめ。よし、連れてってやるか」
「わぁーい!」
他の団員達は、完璧に、二人を放置した。
~ 日曜日 ~
「えへー♡今日は、クーヤとお出掛けだー♡
うんと、お洒落しなきゃ!どのお洋服、着て行こうかな?」
「お待たせ♡」
「お、今日もその服、似合ってるな。可愛いジャマイカ」
「えへー♡ねぇ、今日は、何処へ連れてってくれるの?」
「そうだなぁ……」
―― キョート・カモ川 ――
「うわ~、気持ち良い水辺」
「ふふ、気に入ったか?」
「うん、とっても」
「ムフフ」
キョートの中心を、Y字に流れるカモ川は、村内でも有数のデートスポットだ。
俺達の他にも、辺りは、カップルだらけ。
「うわ、カップル、多っ!しかも、皆、濃厚に抱き合ってる!」
「ああ、これは、キョート名物、カモ川ラッコだ」
「ラッコ?」
「抱き合ってる姿が、ラッコみたいだろ?」
「成る程~。ねぇ、モモも、クーヤと、ラッコしたいな♡」
「///……少しだけだぞ?」
「わぁーい♡」
※ラッコ中です。このポーズは、時間が掛かります。
一端接続を切って、時間が経ってから、再度、アクセスして下さい。
―― ナラ公園 ――
「わぁ~!鹿が、いっぱい居る~!」
「キューン」
「はは、ナラでは、鹿は、神様の使いだからな」
「そうなんだ~」
モモは、すっかりはしゃいで、鹿と戯れている。
連れて来て、良かったな。
「あ、鹿煎餅、売ってる」
「買うか?」
「うん!」
モモが、売店の鹿煎餅を、手にした途端……。
「キューン!」
「キューン!」
「キャー!///」
鹿の大群が、モモに押し寄せた。
「モモ!」
「キューン!」
「うわー」
「キューン!」
鹿は、モモの持っている鹿煎餅どころか、体中にくっ付いている。
中には、スカートの中に、頭を突っ込んでる鹿も居るジャマイカ!
羨まけしから……いや、何と、不埒な!
「もがー」
「こら!鹿!しっ、しっ」
「キューン!」
「キューン!」
俺が追い払うと、鹿は、モモの手から煎餅を奪い取り、ワカクサ山の方へ逃げて行った。
「大丈夫か?」
「うん、凄いねー」
(……スカート!)
「ん?クーヤ、何だか、目線が危ないわよ?」
「……はっ!///い、いや、何でも無い!ゲフッゲフン……
そうそう、団への土産に、ビニール鹿でも、買うかな~」
「?」
―― ヒコネ城 ――
「わぁ、立派な、お城」
「もう直ぐ、モモの好きそうなのが、出て来るぞー」
「?
わー、可愛い!」
モモは、すっかり、ひこにゃんを気に入ったらしく、にゃんにゃん遊んでいる。
連れて来て、良かったな。
「ひこにゃん、お城に帰っちゃった」
「そうか。いっぱい、遊べたか?」
「うん!」
良かった、良かった。
それにしても――。
「? なぁに?」
「モモって、ひこにゃんに、似てるよな」
「えぇー!こんなに、モチモチしてないよぉー!///」
「さて……たっぷり遊んだな。そろそろ、アジトへ帰ろうか」
「うん!」
「……あれっ?」
「? どしたの、クーヤ?」
「……アジトの鍵が、無い」
「えぇーっ!あれが無いと、アジトに、入れないよ!
何処かで、落としたのかな?」
「そうかも知れない。今日のルートを、探そう」
「うん」
えーと、今日通ったのは、確か……
―― キョート・カモ川 ――
「えーと……ここで、ラッコしたよね?」
「ああ」
「じゃあ、もう一度……♡」
「しょーが無いなぁ♡……って、違うだろ!」
「えへー♡」
「てか、鍵、鍵、と……」
「あっ!川の中で、何か、光ってるよ!」
「!」
―― ナラ公園 ――
「えーと……ここで、鹿に襲われたよね」
「ああ」
「キューン」
「キューン」
「ん……?鹿が、何か光る物を咥えてる……?」
「あっ!」
「キューン!」
「こら、鹿!大人しくしろ!」
「キューン!」
―― ヒコネ城 ――
「えーと……ここで、ひこにゃんと、遊んだよね?」
「ああ」
「ん……?ひこにゃんの、お尻の下に、光る物が」
「ひこにゃん、そこを退くんだ!」
帰り道。
「クーヤ、今日は、有り難う」
「はは、又、行こうな」
「ね~ぇ?」
「ん?」
ちゅっ♡
「……///」
「だって、コモモちゃんが、羨ましかったんだもん」
(馬鹿だなぁ。そんなの、言えば、いつだって……)
「ねぇ、今夜の夕食、何が食べたい?」
「そうだなぁ~」
ニコニコ、ニコニコと、幸せそうな笑い声が、いつ迄も、いつ迄も、聞こえていた。