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いなくなった
朝目覚めると、風見鶏の姿が消えていた。教会の、屋根にいた風見鶏。古ぼけた、木製風見鶏。ずっとずっと、教会が出来たころから屋根にいた。
「だからお腹が減って、餌を探しに行ったのさ」
幼なじみのピーターこう言った。
風見鶏が姿を消して、村中みんな大騒ぎ。大したことでもないのに大騒ぎ。ここは娯楽の少ない片田舎。
村長たちが会議中、ピーター突然言い出した。
「俺が鶏の、代わりになる。毎朝必ず『コケコッコー』、と鳴いてやる」
ピーター、みんなのために自分を投げ出す覚悟。
聞いた私はこう言った。
「風見鶏は、鳴かないよ」