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季節は冬になった。
が、秋山のお喋りは止まることはなかった。
何度もアルバイト先のことを話していた。何度もそのアルバイト先にくる藤沢のご両親について話していた。
二人で来て仲がいいとか、トレーニングを継続してエライとか、世帯年収は優に一千万越えているとか。
なんだろうか、藤沢とさして仲が良くない自分が知り得ないことをアルバイトを通じて知った秋山に聞いて知るというこの状況。なんだろう、もやもやする。どうしてだろう、嫌な感じがする。
このもやもやと嫌な感じに耐えきれず私は秋山に言った。
「今更だけどこんなアルバイト先での話、私聞いていいの?」と。
すると秋山は「悪口言っているわけじゃない」と言ってきた。
「悪口じゃないけどさ」
いや、悪口じゃなくて。アルバイト先の利用者の話を部外者の私が聞いていいの?部外者にしていいの?っていうことが言いたくて。
「南野みたいなこと言わないでよ!」
私が伝えたいことの半分が伝えられたかどうかのところで彼女はそう言って怒って去っていった。
え?なんでここで南野??