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半人半妖

我は――何物だ?


「お? ヘヘッ、こんな山奥に全裸たぁ驚きだ。誘ってんのか?」


「……?」


我は――何物だ?


「ほっほー! 人間とちと違うな? 耳が狐みてぇだな。尾も生えてやがる。まぁめっぽう美人なのは変わりねぇ。楽しませてもらおうか!」


「…………」


我は――何物だ?


「……はぁ……はぁ……こりゃ堪らん……こんっないい女がこの世にいるたぁ思わなかったぜ。もうちっとの辛抱だ。ヘヘッ、なんなら俺様の相手を一生してくれてもいいんだぜ?」


「――っ!!」


我は――


「おっ? なんだ、お前さんも好きものだったか? こりゃいい! 力尽きるまで遊ばせて……おい……なんだその手は……なんだその爪は……わ、悪かった! 俺が悪かった!! や――やめ――やめろ、やめろーー!! っ――」


「――ハァー……ハァー……」


何物だ?


……………


"道善よ。ワシの遺言を聞いてはくれぬか。ワシはお主に息子を支えてほしいと思っておる。あやつは正道を進み続けたが、そのせいでちと頭が硬いところがある。人の道から外れてしまった者に対して説法を説くことを苦手としておるのが何よりの証。機転の利くお主なら息子よりも多くの者達を正すことができよう。全ての生き物は互いの短所を補い、支え合うことができる。お主と息子もそれができるはずだ。この世から離れることとなったワシの最期の願い、どうか聞き届けてほしい"


「すまんな爺さん。その願いは聞けん。ワシはあの男とどうしても馬が合わんのだ。最後の最後に恩を仇で返すこと許してくれ――ん? ふむ、もう一枚遺言があったか」


"道善よ。お前は間違いなくワシの遺言を聞くことはないだろう。養子として引き取ってから長く共にしたのだ。そのくらいはわかる。これは師としての遺言ではなく父としての遺言として読め。お前のことだ。息子と馬が合わんとでも言って考えなしに寺から飛び出すことだろう。無一文で妖怪退治をしながらのらりくらりと生きるのはお前の才を無駄にする。ワシの下に度々空き寺に法師を送ってほしいという話がきていた。ワシは最後の最後までお前に残ってほしかったためにこの話をしなかったが、どうせ遺言など聞く耳を持たんお前だ。様子だけでもいい、見に行け。長らく空き寺となっていたために近くに住む者達は妖怪に怯えていることだろう。人助けは良いこと。どうせ遺言など聞かぬのだ、せめてワシへの恩をしっかり返せ。よいな。もう一つ父として伝えなければならんことがある。お前は業を背負って生きていく。それがお前の定めだ。そんなお前を養子として引き取ったこと。ワシは何一つ後悔しておらん。立派に育ち正道を歩むお前はワシの誇りだ。ワシと同じように最後まで胸を張って生きろ"


「わっはっはっはっは!! 爺さんに読まれておったか! 恩を返せときたか。仇で返して化けて出られたらかなわん。仕方あるまい、行くとするか」


……………


「そこの者、どうだ? 我と少しばかり遊んでいかぬか?」


「ほぅ……狐のような耳と尾を持つ女が俺を誘うか」


「どうした? 我を恐れておるのか?」


「遊女が抜かしおる。恐れてなどおらん、貴様を品定めしただけよ」


「くっく、我は多くの男達と閨を共にしたのだ。飽きさせるようなことはせぬぞ? んん?」


「いいだろう。見た目よし器量よしと見た。楽しませてもらおうか」


「ならばあの小屋へ行こう。我の住処ゆえな」


―――――


「……おぉ……言うだけはある……」


「当然よ、だが……お前はそうでもないな? 期待外れか?」


「――女にそう言われては男が廃るというもの。貴様を本気で悦ばせてやる」


「くっく、ならば見せてみよ。せめて我より先に果ててくれるなよ?」


「ぬかせ」


―――――


「昂ってきたぞ――ふふ、今度は我の番よ」


「おい、俺は女に上に乗られるのは不快になるのだ。やめろ」


「そう言うな。たまには味わってみるのも趣があるのだぞ?」


「二度は言わん。次はない」


「ほぉ? どうなるのか興味がある。どうするつもりぞ?」


「こうするのだ!!――っ!? 動かぬ!!」


「ほぅれ、どうした? 上に乗られるのが気に入らぬのだろう? それとも目覚めたのか?」


「ぐっ! この――」


「お前のモノは悦び震えておるようだが?」


(な、なんだこの力は!? びくともせん!!)


「苦しいのか? それとも嬉しいのか?」


「ぐぅ……は、離れろ! 化け物め!」


「恐れておるのか? 先程までの威勢はどこへ消えたのだ?」


「貴様ぁ! 貴様ぁあああ!!」


「虚勢を張るので精一杯か。どれ、ではこうしよう」


「!? な、なんだその爪は!?」


「これか? これはお前の首を刎ねるためのものだ」


「ば、馬鹿な真似はよせ!!」


「くっくっく。ちょっとした遊戯よ。我よりも先に果てたのならその首を刎ねる。我が先なら何もしないと誓おう」


「ぐっ……くぅ!!」


「あっはっはっはっは! 上に乗られるのは嫌ではなかったのか? ずいぶんと跳ねるではないか。その調子で我を楽しませてみせよ!」


「……ぐぅぅぅう!……おおお!!」


我は――何物だ?


「――っ! 折角の気分が台無しよ。遊戯は終わりぞ」


「……ぐっ! 待て! 早まるな!! 待て!!」


我は――何物だ?


「――終いよ。お前の負けだ」


「やめろ……待て!! 待ってくれ!! まっ――」


我は――何物だ?


「――〜〜〜!! 我は我だ!!」


我は――何物だ?

要約

ギッシ♪ギッシ♪ アンアンアーン♪

ギッシ♪ギッシ♪ ヤヤンヤーン♪

ギッシ♪ギッシ♪ ウフッフーン♪

ンギッシ♪ギッシ♪ oh yeah!!


シャキーン! スバァー! ブシャア!

ゴロゴロ! ドパァ!

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