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奴隷の帝王~無能な奴隷に転生した最強ヤクザの最底辺からの成り上がり~  作者: 三太華雄
三章 組織作り編

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鍛冶屋と騎士①

 レーグニックから鍛冶屋について聞いてから二日後、俺は早速護衛二人を連れてその鍛冶屋へと出発した。

 その鍛冶屋はヴェルグから王都までの間にある小さな村の外れで暮らしているらしく、酒場で情報を聞いてきたマーカスの話によれば、村の場所は街道からは外れて分かりにくいところにあるが、問題なく進めば三日ととかからない場所にあるらしい。


 人の出入りも少なく賊達も興味を持たない村で、距離もそう遠くない。

 人数にも余裕があるわけでもないことから一人で行く事も考えたが、立場上もう軽々しく一人では外を歩けない身なので護衛を連れてきたわけだが……


「お、俺たち、頭は悪いし、喧嘩も弱いけど、み、身代わりくらいにはなれるっスから」

「んだんだ!」


 そう意気込むのは今回護衛として名乗り出た低身長、小太りのアッシュと、高身長の細身のボーンという凸凹コンビのベニー兄弟だ。

 アルビンやガイアと言った主力級は流石に連れて行けないので他のメンツから募ったところ二人が名乗り出てくれた。

 

 正直俺は目立つ奴ら以外のことはたいして知らない。なのでこれもいい機会だと思い目的地に着くまでの間に二人のことも聞かせてもらった。

 元は町の貧民区で残飯漁りやコソ泥をしながらひっそりと生きていたようだがある日、怪しげな男に持ち掛けられたうまい話に引っ掛かり騙された挙句、捕まり犯罪者奴隷になっていたらしい。

 奴隷として解放後も元の生活にも戻るのが嫌で、ギニス達と共に俺の下につき、今回も評価目当てで手を挙げたらしい。


 目的の村に着くまでの間に様子を見させてもらったが、自分たちで言う通り二人は大した実力も知識もなかったが、指示には従順でやる気だけは伺えた。

 護衛には向いていないがこういう欲に忠実な人間は上がしっかり指示をすれば十分使えるようになるだろう。

 

 人数が少ない分、目立つ人間ばかり見るのではなくもっと他の奴らにも目を通して有効活用していかないとな。

 少なくとも『無能』ではないんだから俺ができないことをできるはずだからな。


 そうして村までの道のりの中、二人と積極的に話をし、二人のことを理解し始めた頃、ちょうど目的の村へと着いた。

 村は田畑が広がる長閑な村で隠居するならもってこいと言ったところだ。

 レーグニック曰くウラッグという鍛冶屋は頑固という話なので向かう前にまずは村の者にウラッグについて尋ねる、すると村人たちは少し驚いた様子を見せる。


「おや?またウラッグさんを訪ねてきたのかい。」

「また?」

「ああ、ここ最近ウラッグさんのところを訪ねてくる人が多くてな、確か今日も村に滞在している騎士様がウラッグさんの所に向かってたな。」


 騎士団がいるのか……


 そういえば、王都への招聘をかけてるってレーグニックが言ってたが、今回もそれで来てるのか?

 一応髪色は変えてはあるが、あまり鉢合わせはしたくないな。

 とりあえず面倒ごとは極力避けるため、二人は村に滞在させて鍛冶屋へは俺一人で向かう事にした。

 ウラッグは村から少し離れた先にある森の中で工房を構えているらしく、村人たちに農具の修理や売買、そして時折訪れる商人との取引で生計を立てているらしい。


 教えてもらった道を進むと村人たちが言っていた通り森が見えたが、それと同時に森の入り口付近で剣を構える騎士らしき人物が見えた。

 どうやら複数のウルフに囲まれているようで、その騎士は剣を構えてつつウルフたちの動きを様子見している。


 俺も短刀を出せるよう準備するが、すぐにそれは必要ないことに気づく。

 その構え、その姿は見覚えがあり、そして予想通りその騎士はウルフが飛び掛かると同時に一瞬にして複数のウルフたちを切り伏せた。


「……やはり強いな。」


 騎士はふうっと息を吐くと華麗に剣を鞘にしまう。

 そして俺の存在に気づき「あっ」と声を上げると、そのまま笑顔でこちらに向かって駆け寄ってきた。


「やっぱり!お久しぶりです、ティアさん。」

「……ああ、久しぶりだな、アリア」


 その騎士の名はアリアハン・メンデス、以前俺が出会った聖剣使いの女騎士だ。

 イラつくほどにお人よしだが。剣の実力は本物で親しい間ながら警戒すべき人物の一人でもある。


 滞在している騎士っていうのはこいつの事だったのか、それにこの様子だとまだ俺の正体には気づいていないようだな。


「ここに来ているということはあなたもウラッグさんに御用が?」

「ああ、珍しい素材が手に入ったのでちょっと防具を作ってもらいにな。」

「そうですか。でしたら私と一緒ですね、もし良ければまたご一緒してよろしいでしょうか?」


 まあ、そこまで距離もないが断る理由もない……か。


「……言っておくが今回は寄り道は無しだぞ?」

「ご安心を、この村の困りごとはもう解決済みですから」


 こうして俺とアリアと一緒にウラッグのもとへ向かうこととなった。

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