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奴隷の帝王~無能な奴隷に転生した最強ヤクザの最底辺からの成り上がり~  作者: 三太華雄
三章 組織作り編

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最終目標

 表の世界に嫌気がさしたのはいつからだっただろうか?

 教育という理由で虐待が許されていた時?暴力行為がいじめの一言で片づけられていた時?家から逃げて助けてくれた相手が誘拐犯として捕まった時?


 数え出したらキリがないが、強いて上げるなら社会の仕組みを学んだ時だろう。


 教育と虐待、いじめと暴力、誘拐と匿い、見守ると見て見ぬふり、どれも何が違うかわからないのに言葉が違うだけで罪が変わる。

 全ての法律(ルール)が曖昧でそれらの判断基準は立場によって変わる。

 知れば知るほどわからなくなるルールの世界で生きるのは俺には合わなかった。

 だがそれでもその法律のおかげで普通に生きていれば最低限の平和は約束される。


 その点に関しては逆に裏社会はわかりやすい、何せ社会的ルールというものはないんだからな。


 極道には極道の、売人には売人の、社会ではなく個人、場所、グループ等の各々がそれぞれの独自のルールを持ちあわせ、そのルールに沿って生きる。

 だがそれらは所詮個人のルールで社会的ルールはないので、他者が従う理由はなく、その結果争いが多くいざこざがあればそれらを仲裁する者はいない。

 

 平和で理不尽な世界と、命が軽くわかりやすい世界、どちらにも違った短所がある。

 生きやすい方で生きればいい、ただその世界が交わらなければ……


 『表と裏』それぞれが別々の世界として生きていけばいいだけだ。

 そしてそれは、異世界共通のことである。


――


「という訳でこれから俺たちはヴェルグに向かうがお前たちはどうする?」


 レーグニックが帰った後、早速ここにいるやつら全員を集め出発することを告げた後、そのままエルフたちに問いかける。


「この場所は放棄するから残りたい奴はここに残るのも構わない。もし仕事が欲しいならマリスの方に頼めば融通してくれるだろう。」


 俺の話にエルフたちは周りと相談し始める。

 あの騒動と怪しげな隠れ家、そしてガラの悪い部下を見てもう既に俺がまともでないと察してる奴も多いはずだ。

 まあ、()()()()()()の人間に捕まったこいつらからすれば、どこも同じと感じているようであまり気にしていないようだが。

 返答を待っていると、一人の女のエルフが俺に一歩歩み寄る。

 そいつは事件後に聞いた名前はパラマというらしく、俺が馬車で一番最初に声をかけたエルフだ。

 

「私達にはもう故郷と呼べるものはない、捕まった時にそのまま燃やされたから。かといって別の里やエルフの国を目指すにしても、ここからでは少し遠いしたどり着けるかもわからない。ここに残ることも考えているけど、あなたに興味があるのも確か。だから返事をする前に一つ聞きたいことがあるわ。」

「なんだ?」

「あなたの目的を知りたい。」


 パラマはまっすぐな目でこちらを見ながら言う。


「目的なら以前話したはずだ、俺はノイマンを――」

「ええ、それは知ってるわ。でもそれだけじゃないわよね?ただノイマンを殺すだけならあなたならもっと違うやり方があるはず、私はあなたが目指すさらにその先が知りたい。」

「ほう……」


 なかなか面白い質問だ、その回答には他の部下たちも少し興味深そうにしている。


「そうだな、ならついでだし教えてやるか、俺が目指す最終目標を……」


 俺はこの場にいるもの全員に俺の最終目標について語った。

 ノイマンを倒すために何をしようとしているのか、そしてそれが最終的にどのようになればいいと思っているのかを……


「……それ、本気なの?」


 話した後のパラマの第一声はこれだった。

 

「もちろん本気だ。」


 俺の話にエルフたちの反応は様々だが、仲間となって時間が経っている元奴隷の面子達からしたら特に驚くような内容ではなかったようで特に反応した様子はなかった。


「で、お前らはどうする?」


 俺はエルフたちに改めて尋ねる。

 先ほどより食いつきは悪い。だがそれでも今の話に興味を持ってくれた奴もいたようだ。


「面白そうだ、俺は乗らせてもらう。お前が決していい人間ではないのはわかっているが、相手が人間なら俺の知ったこっちゃねえからな。」

「なら私も行きます、弟が心配ですから。それにモンスターとの約束も守るあなたなら他の人間(かたがた)よりは信用できますしね。」


 俺の護衛をしてくれた男のエルフ、ガイヤと更にその姉、ランファも続いた。


「といっても、私はあまり戦闘は得意ではありませんが。」

「別に全員が戦いに徹しろとは言わねえよ、それぞれ適した役割を担ってもらうつもりだ。で、お前はどうだ?」


 俺は最後にパラマに尋ねた。


「……不思議な方です、正直私はあなたのような人間は苦手な部類のはずなのに、あなたの言葉は私に真っすぐ突き刺さる。」


 そう言ってパラマが胸を手で抑える。


「もしあなたの非道が過ぎたなら私があなたを殺します、それでもいいですか?」

「構わねえよ、殺せるならな。」


 こうして、俺の護衛をしてくれた三人はそのまま俺たちについてくることになった。

 だが、やはり他はいまいちな様で三人以外は全員別の選択肢を選んだようだ。

 これで戦力はおよそ二十人か、それにミノタウロスを通じてモンスター達とも交流は続いている。

 これならヴェルグの街の奴らにも遅れは取らないだろう。

 さて、先入りして情報収集に当たっているエッジたちのを待たせるわけにはいかないからな。

 すぐにでも目指すとしよう。


 次の目的はヴェルグの制圧だ。


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