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爆炎の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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『蒼天流』奥義3

 その日蓮は、清十郎と緑川に散々しごかれた。しかし、それは2対1という対戦形式に由るもので、一昔前と異なり蓮の剣技と戦闘センスが、現在では先輩達より抜きん出たものになっている証明だった。パワーはさほどでもないが剣技と体捌きのスピードと反応速度が半端ない。パワーは常人の1.5倍、スピードと反応速度は3倍に及ぶ。その秘密は呼吸法にあるナイツに入って平馬から叩き込まれた強身呼気と、蒼天流の火の息の2つを組み合わせた蓮のオリジナルの呼吸法。それにより、体内の気〈発勁はっけい〉を廻らせ心身共に強化させた成果である。その発勁の闘気を異能の力と共に刀に纏わせる事で、切って傷つけたその傷はアリスの治癒でも容易くは回復しない。此ほどの高みに迄到達していたのである。しかし、それでも進藤には及ばなかった。サトリにより傷を負わす事がかなわなかったからである。如何に回復困難な斬撃で在ろうと入らなかったら意味がない。サトリを打ち破るべく明日、富士五湖の一つ精進湖の畔の富士の樹海へと向かう。

 蓮はあずみを伴い電車とバスを乗り継いで宗家の蒼天神社に着いた。精進湖畔の町は樹海のなかに移転したのだが、蒼天神社は移転する前から樹海のなかに在った。町のほうが神社の近くに移ったのだ。神社から大伯父、緋村鉄斎が出迎える。

「良く来たな。この娘が仮初めの花嫁か。綺麗なお嬢さんじゃないか、隅に置けんの。蓮の大伯父の鉄斎じゃ。この度は無理を言って済まなんだ」

「三島あずみです。ふつつか者ですが、宜しくお願いします」

 なにやら結婚の挨拶のように為って居るが、理由が有る。本来宗家の代替わりは結婚と同時に行われる。奥義の伝授は祝言の前の夜に。瞳術眼伝授は祝言の儀式として。なので、今回は本当に結婚する訳じゃないが、祝言するために仮初めの花嫁が必要だった。そこで、あずみに花嫁役をお願いしたのだ。

 奥から五十代の夫婦が出で来て、蓮とあずみの荷物を持って労いの言葉をかける。蓮の叔父夫婦、緋村鉄矢と菊乃だ。もちろん剣の両親である。

「疲れたろう蓮ちゃん。お嬢さんも」

「蓮の叔父夫婦です。1ヶ月自分の家だと思ってきをつかわずに」

「そうでもないよ。叔母さん」

「ありがとうございます」

「桜もじきに仕事から帰って来るから、それからご飯にしましょう。それ迄、蓮ちゃん、あずみさんを案内してあげたら」

「うん。その前に僕達になんか飲む物お願い」

蓮とあずみは社務所でカルピス飲んでから、神社のなかを見て回った。神社の裏には池が有りその中の小島に巨岩を抱いた途方もなく大きな御神木がそびえている。

「この御神木と巨岩が御神体なんだよ。巨岩は隕石で高純度の鉄でできてる。池は富士五湖と繋がってる。隠れパワースポットで人気出ているみたい」

「ふーん。やっぱりこの前で祝言するの?」

「うん。御神体通じて〈虹目にじめ七輪眼しちりんがん〉伝授するからね」


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