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爆炎の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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折れた十六夜2

「剣兄ちゃんのライバル!?進藤新しんどうあらた!!」

「ほう、俺を知っているか...。蓮坊大きくなったな。つるぎの話の中のお前は、小学生だったが...。逢うのは初めてだな」

「剣兄ちゃんの話だと、貴方は警察官だったはず。その姿と所行はどういう訳です?」

「どうやら蓮坊はナイツのエージェントらしいからな、後でお仲間に訊いてくれ」

そう言うと進藤は、爆炎を刀から放った。目眩ましのつもりの様だったが、蓮に炎は効かない。そのまま突っ込み左下段から逆袈裟懸けに斬りつける。と、同時に〈爆龍波ばくりゅうは〉炎の特技で動きを封じようとした。進藤は後方に大きく跳び避ける。

「同じ炎の能力者同士か...。益々世間は狭いな。いや、因縁か?異能力比べは訓練積んだ蓮坊に分が有る。と、成りゃ剣技で圧倒する迄」

進藤は突きから身体ごと回って袈裟懸け、燕返しで逆袈裟懸けと連続攻撃を仕掛けて来た。蓮は転げ捲って避けた。片膝をついて身体を起こした蓮に、進藤は大上段から唐竹割りに斬りつける。頭上に十六夜をかざして受けるかに思えて、その刹那十六夜で進藤の刀の横腹を押しつつ透かす。そして身体起こしながら回転して左から叩き込む。透かされた相手はつんのめり避けられない。蒼天流の隠し剣〈柳牙りゅうが〉剣兄ちゃんから進藤に見せてないと聴かされていた技だ。しかし、叩き込んだ刀は進藤の右肩に沿ってある刀に阻まれていた。

「見事な技だ。だが、如何なる技も俺の前では無意味」

「まさか!?もしかしてサトリ?」

相手の考えをよめるという妖怪サトリ。その能力を持っているとすれば、さっきの言も頷ける。こちらが無意識に繰り出すしか意表突けないからだ。考えずとも体が動く、その域に達した技は、相手の攻撃に対する受けだけ。攻め手が無いのだ。修羅場をくぐった蓮は一瞬が生死を別ける戦いにおいて十分高みにあった。しかし相手は、更に高次にある。進藤は、ライバルの話に出た子供という意識で、殺意が薄い。その為に狡猾に立ち回るつもりが無いのだ。わざわざ宣言して自分の能力を晒す。蓮は屈辱に唇を噛む。

 蓮は剣技から異能力比べに切り替えた。〈爆炎波ばくえんは〉己の最大級の炎波を放つ。進藤新の包帯と服が焦げて剥がれ以前から身体中火傷を負っていたことが判る。進藤は片膝を着いた。反射的に上段から叩き込む十六夜を。すると、鏡併せさっきとは攻守入れ替わりで、柳牙が行われる。進藤の左から叩き込む刀は十六夜で受け止められた。と、見えた瞬間十六夜と進藤の刃は爆発と共に真っ二つに折れてくるくると半身は宙を舞い、進藤の手元の刃で蓮の胸は真一文字に切り裂かれた。蓮の血飛沫ちしぶきも舞う。

 蓮は崩れ落ちた。

「十六夜...」

蓮は傷ついた己より真っ二つに折れた十六夜を心配している。進藤新も、繁々と折れた己の刀を見ていた。

「俺のチタンブレードが折れるなんてな。余程の銘刀だったろうが、済まない事をした。さらば」

進藤はそのままその場を去った。

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