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爆炎の世紀  作者: 愛媛のふーさん
11/25

秘伝奥技伝授前

 着替える事も無く母屋へ移動し、食堂へ入ると良い香りが鼻を突いた。今日のメニューは鮎の塩焼き、山菜の天ぷら、唐揚げ、きのこのすまし汁、わらびのお浸し、筍ご飯である。

「わー!凄い御馳走。ありがとうございます」

「田舎料理ばっかりでお恥ずかしい」

「やっぱり、叔母さんは料理上手だね」

謙遜する叔母に対し、蓮とあずみは手放しの賛辞で応える。そして、幸福な晩餐が始まり、話題はもっぱら蓮たちの高校生活とハイティーンの流行りや文化である。以外と言っては何だが、鉄斎が桜よりも知識や理解が深く詳しかった。先程のやり取りは、無かった如く持ち出されなかった。食後の苺を食べている時に

「1時間程食後の休憩したら、又稽古するからあずみは好きにしてて良いよ。先にお風呂入ってくれてたら嬉しいな」

「解った。此れからずっと此のスケジュール?」

「うん。基本的には。宗家の高弟の方々も昼間は仕事有るしね。道場の子供達も晩御飯食べてから来るから」

「じゃ直ぐお風呂入らせて貰って良いかな?子供達の稽古見たいから。蓮の稽古って速すぎて、動いた、打たれてるって感じで訳解んないんだもん」

蓮とあずみのやり取りが有った。鉄斎は其れを聴くと、彁彁(かか)と笑い。

「お嬢さんには目で追えんのはしょうが無い。素人の目で一朝一夕で追える速さや早さでは、実戦はおろか試合でも勝てん」

「スピードが命なんですか?」

「そうじゃ。威力も同じく命じゃが先に当てんと話しにならん。極論すると圧倒的スピードが有れば技は基本だけで良いと言っても過言では無い。技は多少のスピード差を、埋めたり活かすものじゃ。他所の流派は兎も角、我が蒼天流の強さとはそう成っておる。心技体の心の強さは又別だがの『己を律し、正しくあれ』から始まる七カ条じゃよ」

そう述べて鉄斎は苺を旨そうに食べた。あずみは鉄斎に礼を言って、叔母さんが風呂がすでに沸いてると教えてくれたので入浴しに食堂を出た。其れを見届けると、男性陣と桜は道場へと向かった。瞑想する為である。

 瞑想は蓮はナイツの訓練でも取り入れている。と言うよりも初めからナイツの訓練マニュアルにあったし、ナイツの剣術の型は蒼天流に近い物が多かった。多分、蒼天流を基軸に幾つかの流派の良い所を取り入れているものと思われる。詰まる所鉄斎はナイツを知っているのだ。ナイツの戦闘武術マニアルの作成に関わったのが、鉄斎なのか其の前の代なのかははっきりしないが。

「瞑想始め!」

蓮の心と頭は澄冴えわたるが、周りは感じなくなる。蓮の前に見得て居るのは、桜の『梅花八ヶ突(ばいかはっかとつ)』だ。此れを、打ち破るには?同じ技は、恐らく出来る。しかし、今の蓮の速さと早さでは相打ち。突と閃。打撃面?積は閃が上回る。『梅花八閃(ばいかはっせん)』梅花八ヶ突の更に上の秘技では無く、奥技。宗家以外の免許皆伝の技である。宗家のみ更に上の奥技が幾つか有るのだ。蓮は鉄斎に教えを乞うまでも無く桜との稽古と瞑想のみで、一般門下生の免許皆伝迄辿り着く。細かい技はまだ多々あるが、一度見れば十分だ。蓮が宗家を伝承するはずだった(つるぎ)より才能天賦の才のみではあるが、有ると謂われる所以である。挫けず努力出来るのも才能である。努力には、時間が必要です。先人が有利。厚く確かなもので、努力で培われた差は強固な壁である。しかし、天賦の才に努力が加わったら?壁は余程の高さが必要に成る。蓮の此の一ヶ月は正に(まさに)に其れなのだ。


 

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