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爆炎の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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折れた十六夜

 緋村蓮ひむられんは恋人の三島あずみと久しぶりの日曜日の休暇が一緒に取れたので、映画デートと洒落こんで都内のシネコンに向かっていた。れんの肩にはギターケースが掛けられている。別に、蓮がバンド少年な訳ではない。中のギターには、特別な機能が付加された日本刀、愛刀あいとう十六夜いざよい〉が仕込まれているからで、おおっぴらに刃の付いた真剣しんけんを持ち歩く訳にはいかない、カモフラージュという事なのだ。

「受験するの?」

あずみが訊く。蓮は、意外そうに返す

「当たり前でしょ」

「ナイツでエージェントしてるんじゃん。そのまま就職。表向きの商社のナイツにって」

「進学はなるべく邪魔しない方針らしいよ。まどかも、大学進学するし」

千堂せんどう君の事、二人っきりの時に円って呼んでいるのばれたら千堂君怒るよ。三人一緒の大学行けたら良いね。何かと都合良いし」

「うん、そうだね。しーっ!静かに。」

不意に、血の臭いを感じて蓮はあずみを黙らせる。刀のつば鳴りが聴こえた。

「誰か斬られたみたいだ。路地の奥。ここに居て」

蓮はあずみを、その場に留まらせると走り出す。

 路地裏では、果たして蓮が推察通りの光景が展開していた。顔や手を包帯で覆われた長身の男が、日本刀を腰に差しており、その前に身体中を滅多斬りにされたスーツの男が、座り込む様に倒れている。蓮は、さりげなく逃げ道を塞ぎながら〈十六夜いざよい〉を抜く。包帯男は、不審?不思議?そうに蓮を見た。

「何だ!?刀を抜く少年?人の事言えんが、江戸時代か!?何者なにもんだ?」

「貴方こそ。辻斬りは時代劇だけにしといて下さいよ」

男は答える代わりに刀を抜く。一気に突いて来た。蓮は体をひねってかわし、胴をぐ。包帯男はリンボーダンスの要領でかわす。身体を起こし下段から斬り上げる。れんは後方に飛び去り、かわしてから袈裟懸けに斬りつけた所で、初めて刃と刃が交わる。お互い刀に力を込めてしのぎを削る。

「遣るな少年!場数踏んでんな。もしかしてナイツか?」

言葉と同時に交わる刀の接する刃が爆発した。正確には刃そのものは爆発で欠けたりしていない。何らかの力が働いて接する空間が爆発したのだ。蓮は体を崩してのけ反った。今度は、男が胴を薙ぐ。蓮は十六夜を身体に沿ってかざして受ける。又爆発して横へぶっ飛ばされる。体勢を整え踏ん張り着地。突く。蓮の剣技〈速閃そくせん〉神速の突きで勝負を着けにいった。包帯男か刀か、何らかの異能の力が有るのは確かだった。早い決着が望ましい。しかし、避けられた。

蒼天流そうてんりゅうか?!懐かしいな。緋村剣ひむらつるぎの血縁か同門か?」

蓮は8年前に亡くなった宗家の従兄いとこの名を出されて驚いた。

「なんで、剣兄けんにぃちゃんの名前知っているんですか?従弟です」

「従兄弟か?!世界は広いが、世間は狭いな。剣道のライバルだった」

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