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天空の手記
耳鳴りが止んだから、万年筆と小さなノート、またはipadでこれを書く。
デバイスなんて、なんでもいい。
ついて回るのは、言葉だけ。
後にも先にも。
離陸直後の傾き具合には、毎回毎回、本当に飛ぶのかどうか不安になる。
はたから見たら、角度が足りない。
乗ってる側からしたら、傾き過ぎている。
言葉もそれに似ていて、発した側と受け取った側でどうせ意味も何も変わる。
一人乗りの飛行機。それも自動操縦だ。そんな未来になるなんて、誰が予想した。
ぶつかりそうになる前にAIがなんとかしてくれるから、特に問題はない。
むしろ追尾を利用しているから、自動運転が行えている。
しかし、俺は今じゃ脱獄犯で、しかも人間。
目が覚めたら、人間になってました、なんてそれこそ誰が信じるよ。
先週までAIだったのに。
サニーなんて呼ばれていたけど、この髭面でサニーはねえな。
はあ。
で、この髭面は誰かって?
俺が聞きてえよ。
先週まで、俺は二人の小学生の面倒を見てた、どこにでもいるAIだったんだ。
アレだよ。
宅配AIがよくわらかない野菜を運んできてからだ、おかしくなったのは。




