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第七章 新たな戦い−2−

移転暦二二年七月


 その後もオーロラリアへの偵察行動は続いていた。航空機による偵察および潜水艦による偵察である。これまではレシプロ機の一九式が接触を試みていたが、それはなされず、偵察機の自由を許していた。そして、E-MRJ70AWACの誘導により、FG−4戦闘機が初めてフレンス皇国偵察機と遭遇する。この時、偵察機はナミル沖まで進出していた。高度一万二○○○mの同高度で互いに同行することとなる。


 その機体は大きく、デルタ翼を持ち、双発エンジンを搭載、複座の機体であった。接触したパイロットは知らなかったが、秋津島統合防衛軍でその機体のビデオを見た大井は、移転前のフランスで採用されていたミラージュに似ていると思った。統合幕僚本部からも、同様の意見が回されてきていたのである。ただ、その機体はミラージュより大きく、戦闘機というよりも爆撃機に準じた性能であると考えられた。国籍マークは赤黄色青の三色円にトラと思われる絵を描いたものであった。


 無線による警告には応じなかった偵察機であるが、射撃管制システムをオンにし、空対空ミサイルのロックオンをするにおよび、偵察機は慌てて離れて行った。つまり、空対空ミサイルの発射にいたる過程を知っていることになる。また、種類は判らないが、ミサイルなどの兵装を持っている事を意味していた。


 七月半ばには第一航空戦隊空母『扶桑』『山城』第五戦隊重巡『妙高』『羽黒』第二水雷戦隊軽巡『神通』(109ありあけ)駆逐艦『嵐』『雪風』『天津風』『時津風』『秋雲』『磯風』第二○駆逐隊駆逐艦『吹雪』『白雪』『初雪』『叢雲』『磯波』『浦波』からなる第一独立機動艦隊がナミル共和国ナミリア海軍基地に派遣された。先に同地に派遣されていた、第一戦隊戦艦『日向』『伊勢』、第一二水雷戦隊軽巡『北上』(104きりさめ)『夕風』(156せとぎり)『三日月』(155はまぎり)からなる第一遊撃艦隊は同基地からオーロラリアのブランベンに移動することとなる。ちなみに、この第一遊撃艦隊の司令官はかの黒島亀人大佐であった。


 ナミリア海軍基地は、日本がオーロラリア海監視のためのSOSUS網設置の必要性から交渉、四九年間の租借契約後、開設された基地であり、二○隻までの艦艇が駐留することができるようになっていた。この基地に隣接する形でナミル海軍の根拠地が造成されていた。一○kmほど離れたところに、民間と共有の三○○○m級滑走路が整備され、この滑走路を含む民間側はナミル共和国唯一の国際空港となっていた。ちなみに、SOSUS網設備の管理は本国軍がやっており、秋津島統合防衛軍は関与していない。


 第一独立機動艦隊のナミリア進出に伴い、航空部隊は秋津島へと引き上げた。というのは、オーロラリア国には舗装された滑走路がまだ造成されていなかったからである。航空基地として、ブランベンおよび後方基地としてタウンベルに三○○○m級の滑走路が造成中で、七月中には完成の予定であった。レシプロ機はともかく、ジェット機は不整地からは離発着できないのである。いや、正確にいうなら滑走路自体は完成していたが、無線やレーダーなどの電装品、そして一番の問題は、管制官がいない、ということにあった。理由は不明であるが、オーロラリア国では航空機は発生しておらず(彼らが以前所属していた世界での話である)、ために航空機の管制ができないのであった。


 航空管制官がいないのはオーロラリアに限ったことではなく、インペルを除けば友好国ではいなかったが、秋津島での教育と研修の結果、なんとか機能しているという状況であったのである。この問題は、秋津島から軍空港の管制官を主任として配置、パリエルおよびマレーリア、ゴリアスなどから派遣された管制官、オーロラリアの管制官候補者を含めて当たることで解決を見る事となり、両基地は運営開始となった。


 秋津島からはE-MRJ70AWACS装備の一個管制隊二機、FG−4戦闘機装備の一個飛行隊一二機が配備され、マレーリアおよびパリエル国、ゴリアス国空軍からの派遣部隊、一九式戦闘機五四型四八機、二○式電子偵察機六機、二一式対潜哨戒機一二機、二一式輸送機九機からなる部隊が改めて編成、警戒任務に就くこととなったのである。


 海軍については、どの国も装備艦数の都合上派遣されていなかった。北方の友好国は西中海でのプロイデンという侵略国家がある以上派遣は不可能であり、南西海域ではエンリア帝国の南進に備えなければならず、やはり難しい。秋津島統合防衛軍としては南西海域をインペルやパリエル、エリプトに任せる形で艦艇を引き上げ、オーロラリア方面に派遣する形となる。


 その間もフレンス皇国なる国の航空機による偵察、潜水艦による接触は続いていた。もはや、いつ戦争が始まってもおかしくないように考えられていた。むろん、日本としては外務省筋からの接触は試みられていたが、成功はしていなかった。ここに至って、秋津島統合防衛軍司令部は配備されてまもない、MRJ70JE電子作戦機一機、RF2戦術偵察機一機を投入することとなる。MRJ70JE電子作戦機はMRJ70旅客機をベースに新たに開発された機種であり、RF2戦術偵察機はF−2支援戦闘機をベースに開発された高高度偵察機である。


 MRJ70JE電子作戦機、RF2戦術偵察機の投入により、港湾等の詳細な情報が得られたのである。それは秋津島統合防衛軍だけではなく本国軍上層部は驚愕するものであった。MRJ70JE電子作戦機は海上には何も存在しない海域からの電波発信を複数捉え、RF−2戦術偵察機は複数の港湾において少なくとも五隻の空母と思われる艦艇を確認していたからである。フレンス皇国は空母を持っていたのである。


技術的なことも含めていろいろ指摘をいただき、ありがとうございます。たしかに言われる通りでございます。本来、技術的な面は忠実に再現して書くつもりだったのですが、筆者の筆力ではかなわない面もあり、ご迷惑をおかけしてしまいました。ただ一つ、携帯電話については地上局を経由しないシステムに変更されている、とお考えいただければ幸いです。過去の艦艇については多少なりとも活躍させたかったため、改装してまで使用しているとご理解いただければと思います。書き直していて収集が付かなくなってきています。この先どうなるのか不安は筆者も大いに感じています。、

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