第3話 初めての国と初めてのギルド
しばらく進むと石で作られた城壁と人の行列が見えてきた。
どうやら城壁がある事から国らしい。
クロは俺が歩いている間に眠ってしまったらしく今も寝ている。
一先ず列の最後尾に並ぶことにした。
俺は列に並んでいる前の人を見て驚いた。その人は普通の人間じゃなくいわゆる獣人だったからだ。
どうやらこの世界はモンスターだけでなく獣人がいて列から少しズレて前を見てみるとハンマーを持ったドワーフや耳が長く背が高いエルフといった多種多様な種族がいるのが見えた。
それともう一つ驚いた事に列に並んでいる人達の言葉が分かるということ。
「今日は良い天気だな」
「モンスターを倒してがっつり稼ぐぞ!」などとちゃんと言葉が理解出来る。
しばらく並んでいると検問の順番が来て門番に
「本日は何をしに訪れたのですか?」と聞かれる。
そこで、俺は一瞬考え、素性など色々聞かれたら困るのでとりあえず
「今日は観光をしに来ました」と告げた。
「なるほど! 観光ですか! 今は祭りを
開催してますからね 観光客が多くて多くて!」と門番は納得する。
どうやら、今この国では祭りをしているらしく疑われずに通れそうだ。
「それでは、こちらにサインしてお通りください」
俺はナギとサインをして門をくぐった。
初めての異世界で、初めての国にとてもワクワクする。歩いている時には気付かなかったが風船や花火が上がっていた。
どうやら活気のある国みたいだ。ここが異世界の国か。
まずしなきゃいけない事は……さっき手に入れた水晶の欠片
を買い取ってくれる所を探そう!
そこで、近くの屋台のおっちゃんに俺は欠片を見せ尋ねる事にした。
「これを買い取ってくれるとこありますか?」
「あぁ、それならギルドに行けば買い取ってくれるよ」
「そのギルドへの道を教えてください」
「この道を真っ直ぐ行って左手側の大きな建物
だから行ったらすぐ分かるさ」
「分かりました行ってみます。親切にありがとうございます!」
「あいよー! 今度は家の牛串買ってな!」
と後ろから声がかかり俺は軽く会釈をしてギルドへと向かった。
おっちゃんの言った通りわかりやすく大きな建物に看板にギルドと書かれていた。
日本語で書かれているのかこの世界の言葉が読み取る事が出来るのかは分からないが
字も読めるようだ。
すると「ピアァー」とクロの欠伸が聞こえた。
どうやら起きたらしい。
「起きたかい? これからギルドでさっきの
欠片を売るところなんだ」
「ピュー」とクロが返事をする。
ドアを開けギルドの中に入ると様々な種族の
人がいて受付で水晶を売買していたり
ボードに張り紙がしてありそれを仲間と
見ながら色々と話し合ったりここでモンスター
の討伐などのクエストを受けられる事が分かった。
まず受付の列に並び少し待った所、俺の順番になった。
「今日は何のようかにゃ?」
と猫耳を生やした獣人が話しかけてくる。
「この欠片を買い取って欲しいのですが」
「これだけかにゃ?」
「はい、そうです」
「分かったにゃ」
そう言い欠片を受け取ると一旦受付から離れ戻ってきて銅色の硬貨を2枚手渡された。
「ウルフの欠片1つ2銅貨にゃ」
俺は、お礼を言い銅貨を受け取り宿屋に泊まるのにいくらかかるか聞いてみた。
「安いところだと銅貨7枚もあれば泊まれるにゃ」
銅貨7枚必要になる。狼ことウルフを3体倒せば泊まれるのか。
「分かりました。ありがとうございます」
「あとウルフのようなモンスターで手頃な
クエストがあれば受けたいのですがありますか?」
「それならウルフを5体森で狩るクエストがあるにゃ」
「是非それを受けさせてください!」
「それじゃここにサインしてにゃっ」
俺はサインをし森の場所を聞きウルフ討伐へと向かった。