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その6

 よーことカチョウ達が門番たちをどけて街に入る。

 既に辺りは暗くなっている。

 

「何よこれ、全然見えないじゃない」


 よーこがとため息をつく。

 隣でカチョウが収める。


「ソレハシカタアリマセンヨ。モウヨルオソイデスカラ。ニンゲンノミナサンハオヤスミノジカンデショウ」


「普通これからが対戦盛り上がる時間帯なんだけどねえ。あ、そうだ。カチョウ、アンタには何気に命助けられたし、活躍したからもうオークボールに戻らなくて元の草むらに戻ってもいいわよ。図鑑には記録されてると思うし。ザコっぽいけど石オークも手に入ったし。ありがとね」


 よーこが笑う。


「エッ」


 よーこがオーク図鑑を開くと009に草オーク、024に石オークが登録されている。

 満足そうにうんうんと頷く。

 隣でデイビッドボールが跳ねて反論する。


『ヨーコ! お前何を言ってるデース! カチョウはさっき見た感じだと戦闘能力の高い緑オークの中でも怒ると強くなるタイプの見込みのある高レベルオークデース! ボクの代わりにはなりませんが、少なくとも道中の雑魚相手には無双してくれそうな感じデース。さっさとオークボールに閉まっておーくデース』


「うるさいわね。あたしがリーダーなんだけど。で、どうするの?」


「……フウ。マスターガイツカ、ナニカハンザイヲヤラカシソウナノデツイテイキマスヨ」


「そう。じゃあボールに入っても入らなくてもどっちでも良いわ」


 カチョウは思っていた質問をぶつける。


「マスターハナゼオークノワザヲツカエルノデスカ?」


「見れば真似出来るわよあんなもん。ほら『ざんてつけん』。力は強くはないけどね」


 よーこは手にいつの間にか引っこ抜いた岩を持っている。サイズは小さい。


「オオ……エスパーオークノワザヲオボエタラオークニヒケンシウルサイノウデスネ」


「ひけん? エスパーオークって何? あたし何も知らないんだけど」


「オーククライツヨクナルカモ、トイウイミデス。ホカノセツメイハ、カタカナダトヨミヅライダケダトオモウノデショウリャクシマス」


『なーに、数話経ったらしれっと喋り方をひらがなに変えちまえば問題ないデース。ヨーコの一人称も前回から【私】から【あたし】に混同したまま【あたし】に切り替えたみたいだし、そんなもん誰も気にしないデース」


「そういうものですかねえ……あっ、ひらながでしゃべれるようになりました」


「よし、と――寝る場所がないわね。とりあえずオークセンターっていう所に行けばいいのね。やっぱこん棒復活させたいし。インパクト的に」


「ははっ、24時間営業のコンビニみたいなものだから案外気軽にいけますよ」


 そういってカチョウがあたりを見回すと、近くにLEDライトで照らされている『オークセンター』を見つけた。


「すみませんが、入りますよ。っと狭い――むっ……ぐ……失礼な設計ですね……グガアアア!」


 バキバキと鉄で出来たらしい出入り口を石の壁を破壊しながら引っぺがすカチョウ。


「ふう。入れますよ。どうぞマスター」


 よーこが腕を組んだまま眉をピクリと動かす。


「カチョウ、アンタ何やってんの? 器物損壊罪知らないの? 犯罪だよ?」


「えっ。しかしドアは狭すぎました。仕方ない。それに人間の法律であってオークの法律ではないですから……」


 そう言いつつも少しバツの悪そうな顔をするカチョウ。


「まあそうね。人間の法律とオークは関係ないわね」


 納得したよーこは先に入る。


 中にはナースの格好をした女の子二人が二人で抱き合っている。


「「ひいいいいいい! 緑オーク!」」


「スミマセンが、泊めてもらっていいですか? ドアはすみませんでした。ですが、この店には気遣いが足りない。もう少し広めに作って頂けるとありがたいです。おっと、マスター、私はオークボールに戻ります。マスターが喋った方が話がスムーズでしょう」


「もう遅くない? まあいいわ、戻れ、カチョウ!」


 カチョウはよーこの右手に握られたオークボールの中に戻った。


「看護婦さん? 今は看護師さんだっけ? 看護士? まあ何でも良いわ。この緑オークのボールと、この石オークのボールと、デイビッドボールの3つの回復を頼むわ」


「はっ、はい……今直ぐやります――! ですから命だけは……」


「別に取って食ったりしないわよ」


「はい、はい! 直ぐやります! あと、オークセンターナースです!」


「割とそのままの名前ね」


 大きなたこ焼き器のような装置にオークボールが3つ載せられる。


 オークボール同士での会話が弾む。


『……オークド博士は、オークの技なんて使えなかったんですけど……ヨーコは何なんですかねえデース。』

「まあ人間でも正体が実は本当にメタオークでもどっちでも良いじゃないですか。マスターが強い分には。ひょっとして私達が戦わなくて済むかもしれませんし」


 ジリリリリリリリリリ!


「何? 夜中なのに目覚ましがうるさいんだけど」


 二人のナースが精一杯の勇気を振り絞って言う。


「け、警報を鳴らしました。あなた達が守衛さんたちを倒して入ってきた侵入者さんでしょう。この街、ヌヒィシティの最強のオークトレーナーがここに間もなくいらっしゃいます! 大人しく捕まるのが身のためですよ……っ!」


 よーこは聞いた。


「強いの?」


「す、すっごく強いです。これ以上罪を重ねる前に自首して下さい。容赦のないお方ですから……」


 よーこがにこにこ笑う。


「へえ。戦ってみたくなってきたわ」


 警報が鳴り響くその間隙の中、砂利の多い地面を踏みしめる音が聞こえる。


 よーこが振り向いた。茶色の髪の毛、着物を着た美少女が立っている。


「貴方が守衛二人を傷付けて不法侵入したメタオークですか。オークセンターも酷い有様ですね。覚悟は出来ていますか?」


「オークじゃないけど、やり合うのはきらいじゃないわ」


 ヌヒィシティのジムリーダー、キョウコが戦いを挑んできた!


つづく!

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