表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

その4

 よーこは草むらには近づかないようにしてさくさく歩いていた。

 草むらにさえ近づかなければ緑オークは出現しないのだ。


 背中のオークボールから多少うらめしい声が聞こえる。


『酷イ……イママデコンナヒドイニンゲンニハアッタコトガナイ……』


 背中から先程捕まえた緑オークが入っているオークボール。

 それを取り出して、よーこがたしなめる。


「いい勉強になったわね緑オーク。あと、負けたくせにオークボールの中でゴチャゴチャ呟くのやめなさいよね。戦いの場で油断する方が悪いんでしょうが。アンタは負けたの。生まれ変わった気持ちでやっていきなさい」


『ソモソモ戦ウツモリ、ナカッタノニ……』


「そんなもん通用しないわよ。アンタ、片方が戦う気だったらそんなもん戦争でしょうが。反抗しなさいよ。今後他のオークが出てきたら戦ってもらうわよ。ウチでやっていく以上、やる気のないやつに食わせるご飯はないからね」


『そうデース。課長代理』


『カチョウダイリ……?』


『お前の名前デース。一応お前の兄貴分に当たるデイビッド・ゴハンシュトラウス3世デース。役職で偉さが決まる感じにしたデース』


『グリーントカ、マトモナナマエニシテホシカッタ』


「あのね、オークボール同士で話すのやめてくれる? うるさいんだけど。あと、何でアンタが名付けてるのよ、デイビッド。あとカチョウ」


 ゴロゴロと転がるデイビッドが入った通称デイビッドボールがピョンピョン跳ねる。


『ヨーコ。アンタはそういうの面倒くさそうだからボクがやってやるデース。オーク達の管理はボクに任せるデース』


「面倒だし分かったわ。で、ヌヒィシティにはどうやって行けばいいの?」


『アンタ何でスマホはおろか、コンパスも地図も持ってないんですかデース? 草むらを避けつつこのまま真っ直ぐ5時間くらい歩けば、直ぐ着きますよ』


「うっわ5時間とか徒歩の距離じゃないし……。私もオークボールに入って転がって進みたいわ……。まあいいわ。デイビッドボールはそのまま案内して。アンタ何か色々詳しいし」


『全くオーク使いが荒い娘っ子デース』


 そうして最前列にゴロゴロとデイビッドボールが転がり、それの後を追いながら、時たまボールを蹴飛ばしながら先に進むよーこ。


 ふと先の事が気になり、目の前のボールを蹴飛ばしながら何となく問いかける。


「ねえ、デイビッド、ヌヒィシティにはゲーセンある? どんなとこなの?」


『ゲーセン? の事は正直全く分からねーですが、ここ数年、ヌヒィシティには強力なオークジムトレーナーがいるとオークド博士からは聞いた事がありマース。街自体は花崗岩がよく採掘されるという事で、かつては採石場として使われていましたデース。気候は温暖で湿気は少なめ。石オークや岩オークがよく居る街デース』


「アンタめっちゃ詳しいわね。便利だわ」


 よーこが少し驚く。


『まあオークド博士と一緒に昔は冒険してたしデース』


「ジムトレーナーって何? 筋トレとか別にしたくないんだけど」


『アンタ何でそんな事まで知らないのデース。ジムトレーナーっていうのは、この世界に8つ存在する街の最強のオークトレーナー達の事デース』


「ゲームばっかりやってたからね。そもそもゲーセン探しに来たんだけど。そのジムリーダーとか言うやつはゲーム強いのかしら」


『そんな事は知らねえデース』



 3時間ほど歩くと、よーこは大分いやになってきた。


「草むらとか地面と看板しかないじゃない。何なのここは」


『道デース。【希望とは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなればそれが道になるのだ】……』


『オッ、ロジンノ【コキョウ】デスカ。ワタシモアレハイイブンショウダトオモイマシタ』


「デイビッド、カチョウ、アンタちょっと学があるからって調子に乗るんじゃあないわよ。私がリーダー」


『ワ、ワタシハソンナツモリデハ……』


「ふん。このボールのまま投げ捨ててもいいのよ。アンタ自力じゃ出られないんでしょう」


『ヤメテクダサイ! アナタホントウニニンゲンデスカ!?』



 そんな事をやっているうちに、徐々に足元で砂利が増えていく。


 よーこが。看板を見る。


「『ここよりヌヒィシティ』だって。どうやら私達、次の街までやってきたようよ」

『ヨーコ。そう簡単には行かないようデース』

 デイビッドボールが神妙に呟く。


 よーこが顔を上げると、街の灯りが見える。

 しかし、その入り口には『よそ者立入禁止!』と言わんばかりに二人の屈強な男たちが立ちふさがっていたのだ。


 よーこはてくてくと歩いていくと、


「何だお前は?」

「じゃんがりあん・よーこよ。オークド博士の娘の。ここに入りたいんだけど」


 門番たちは顔を見合わせて、ひそひそと話し合う。


「マシュラタウンから? 馬鹿な、ここからだと通り道には緑オークが沢山いるし、娘一人で歩いてこれる距離じゃない」

「そうだな。怪しい」


「お前は怪しい。通せない。人間になりすますオーク、メタオークという種族が居ると聞いた事がある。お前はひょっとしてオークじゃないのか?」


 よーこは激怒した。


「誰がオークよ! 行けっ、カチョウ! ぶちのめしなさい!」

『エエッ』


 緑の巨躯――カチョウが現れる。


 当然だが乗り気ではなかった。


『ニンゲンナグッタラゼッタイシンジャイマスヨ……モットヘイオンニ……』

「許すわ! 殴りなさい! 『こんぼう』よ! 誰がメタオークですって!」

『イヤサスガニソレハ……オチツキマショウヨ』


 門番がうろたえる。


「こ、こいつオークトレーナー! 相棒! 対抗するぞ!」

「応! いけっ、石オーク!」


 カチョウと石オークの戦いが始まった!


つづく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ