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『侘し、寂しい。』

作者: ちなつ。

「侘し、寂しい。

 やってらんない。」

 人波溢れるホームでは休みのカップルが弾けてる。

 あたしなんて仕事帰り。

 待っているのは真っ暗なワンルーム。


「侘し、寂しい。

 やってらんない。」

 恋愛ドラマ見終わって抜け殻だよ。

 感傷が疼いちゃうから、

 あり得ない設定の電子漫画を読んだ。


『大学の頃からの彼氏と結婚します』

 なんの嫌がらせだよ。

 写真なんか載せちゃってさ。

 ただ同じ学科だっただけじゃんか。

 あたしだって。

 そんな風になりたかった。

 悲しくなっちゃって、ライン閉じた。


 涙をいくつ集めたら、明日の運勢があがるでしょう?

 落ちた涙を数えても、夜が足りなくて朝が来る。


 物語を見させてよ。物語に加えてよ。

 あたしだって大きな愛に包まれて「おはよう」を言いたいの。


「侘し、寂しい。

 やってらんない。」

 今日も占いが嘘吐いた。

 きっと、明日も叶わない。

 物語には届かない。


 ホントは全部わかってるけど、

 ダメなのは自分だってわかってるけど、

 痛いだけのあたしの不幸せを、

 言葉にするのを許してほしい。


 

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