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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
ハワイ編
94/207

海上での戦い

https://www.youtube.com/watch?v=WuRpYFwMzHw

Ys VIII: Lacrimosa of Dana [BGM RIP] - Crimson Fighter

MD215年 8/5 12:15


 無だ。

 今の僕には何も見えず、何も聞こえない。

 いや本当は聞こえているんだろうが、さっき見えたあのミサイルの直撃で恐らく地球に送っている素体に障害が発生したんだろう。

 その内に素体の修復機能が動いて──。


「自己修復機能を起動します、素体損壊状況をチェック」


 ほぅら来た。

 

「損壊状況、脚部、腕部、胴部に致命的な損壊を確認、頭部に重度の異常を確認」


 ん?


「限定的な修復を敢行、視力、聴覚機能断片的に回復……再起動まで残り20秒」


 お、どうやら再起動できるらしい。

 いやー良かった良かった、何か致命的とかいう不穏な言葉も聞こえたが気のせいだな!


「再起動まで残り……3、2、1、再起動」


 おぉ……久しぶりの天の光!

 この徐々に感じる太陽光がだな……いや待て、眩しすぎる。

 強烈な光過ぎる!

 だがそれでも目を開けずにはいられない! この僕には使命があるのだ!


「鬱陶しい……わね!」


 体内時計で時間を確認。

 現在の時刻は……12:16分。

 なるほど、僕は16分も意識を失っていたらしい。

 そして16分ぶりに見る世界で一番最初に見るものがこの女とは。


「あ、気づいた? ちゃお~」


 何がちゃお~、だ。

 この馬鹿──。


「───! !?」


 声が出ない!?

 

「ひっどい顔、あんたみたいな人間の屑でもそういう驚いた顔はするんだ~天ちゃん驚き♪」


「! !! ~~!!」


 何だとこのクソアマ! 人が喋れないと思ってからに嫌味を言うとは!!

 っていうか何ゆえ喋れん!?


「あ、もしかして喋れない? でも当然、だってあんた首から下どころか頭以外残ってないんだし」


 なんとぉ!?

 そこで僕はようやく目線を動かす。

 た、確かに……この僕の体は首から下が存在していなかった。

 成る程、こりゃ喋れんわ。

 おまけに僕の頭をこの女は左手で持っているという現実のおまけ付きだ。


「現状把握できた? それじゃ、バイバ~イ」


「? !!?」


 バイバイ?

 おい、ちょっと待て。

 何で僕の視界がグルグル回ってる。

 おいやめろまさかお前──!


「─────!!」


 ミサイルに向かって僕を投げるのはやめろーーーーーー!!


────────────────────────────────────────


「ふん、これで少しはすっきりした」


 管理者の頭部を未だ無数に飛来するミサイル群へ投げつけると、ミサイルに搭載されている近接信管が作動し山坂の頭部と天照を爆炎が包み込む。

 炎は数秒の間空中を赤く染め上げ、山坂の頭部を燃やし尽くすと黒こげになった頭部は海へと落ちていった。

 

「あーあ、かーわいそ~♪」


 その言葉と共に爆炎は掻き消え、無傷の天照が現れる。

 彼女の眼下には巨大な金属の体をうねらせる海蛇の目が、そして無数の砲塔が彼女を捉えていた。


「さって……どうしよっかな~」


 天照は両腕を伸ばしながら周囲を見回す。

 島全域から煙を上げるハワイ、ぐつぐつと煮え返っている海。

 そして未だ健在の遥か彼方まで巨体が続くリヴァイアサン。


「打ち消しが使えるなんて聞いてないんですけどぉ?」


 視線を左手に移し、先ほどまで掴んでいた頭部に対して愚痴をこぼす天照。

 山坂が天照に伝えた情報は大きすぎる霊力に反応して移動し、それを捕食する習性があることしか伝えられていなかったのである。

 

「ちょ~っと見通し甘すぎない?」


 溜息を吐くと、天照は呪文の詠唱を開始する。


「There are harsher ways to learn the meaning of the word ‘no’」(『否』という言葉の意味を知るのに、もっと身に染みる方法がある)


 彼女がそう呟き、左手の指先を動かすとリヴァイアサンの体にある砲台の一つが光り始める。


「解呪/Disenchant」


 そしてそれは直ぐに完全に分解され、砲塔があった場所にはネジや鉄くずが転がるだけとなった。


「ふ~ん……今度は打ち消してこないんだ、もしかして大きい霊力を使う呪文にだけ反応してる?」


 天照は何の動きも見せないリヴァイアサンに対し、そんな事を考えると再び呪文の詠唱を始める。

 彼女の周りに白の霊力が集まり始め、指先は黄金色の光を放つ。

 

「There are harsher──」


 そしてそのままもう一度魔法を放ち、オケアノスの砲塔を破壊するかと思われたがその行動をオケアノスは許さなかった。

 指先に集まっていた黄金色の光が突如飛来した、青い霊力によってかき消される。

 突然の事に少し呆然としていた天照だったが、直ぐに何が起きたのかを理解する。


「『打ち消された』? へ~、ふ~ん、そうなの……成る程、慎重な青らしいわね~」


 放とうとした魔法が打ち消された事で、天照は自分の考えに実感を持ったらしく一人で頷く。


「一度目は通す、二度目は通さない、そして……4以上の霊力容量マナコストを持つ呪文は何であろうと通さない、そういうことね」


 そして眉間を右手で抑えると天照は考え込む。


「う~ん……やっぱあの管理者を守護まもってやるべきだったか~、あいつうざいからつい殺しちゃうのよね~天ちゃんしっぱ~い」


 だが途中で何かを思いついたのか、両手をパンと打ち鳴らす。

 そして彼女の体は指先から光の霊力になっていき、上空から完全に姿を消した。


────────────────────────────────────────


 地上。

 天照の魔法により未だ高温のハワイ。

 そこにあるビルの屋上にこの男は居た。

 アデル・レスディン。


「し…………死ぬかと思った……いやむしろ俺は今生きてるのか? 死んでない?」


 地上に居ろと天照に指示され、山坂と天照が海上に移動するのをビルの屋上から見ていたアデルは突然強い光に襲われたと思いきや全身を太陽光で焼かれていた。

 だがそれでも彼が生きているのには理由がある。

 天照の守護の力だ、それが彼から文字通り死という機能を取り去っていた。

 そのお陰で彼は死なず、だがそのせいで彼は地獄の苦しみを味わう事にもなった。

 今彼が発狂していないのはある種奇跡の様なものだろう。


「大丈夫大丈夫、あんたは死なないようにしてあるから」


 自分の体の無事が未だ信じられないアデルの背後から女の声が響く。

 アデルが振り返ると、其処には徐々に粒子が集まり肉体が作られていく天照の姿があった。


「その声は……天──きめぇ!」


「きもくなーい! 相手の攻撃や壁のすり抜けとかが出来る便利な移動方法なの!」


「それでも体が徐々に合体していく様はグロいわ! 内臓見えてるじゃねーか!」


「いやん、エッチ♪」


「おげーーっ!」


 アデルはゲロを吐いた、それも盛大に。

 

「ちょっと、いや~! 天ちゃんが穢れる!」


「おえっ……も、元はと言えばお前がそんなもの見せるからだろうが……! つーか何の用事だよ、それにさっきの死なないようにしてるってのもどういうことだ」


 ゲロの飛沫が天照に向かって飛び、彼女は思わず後ろに飛び退き悲鳴を上げる。

 だがアデルはそんな事は気にせずにゲロを吐き終えると、口元を服の裾で拭いながら天照を睨みつける。


「っていうかさっきの光は何だよ! 死ぬかと思ったわ! っていうか殆ど死んでたわ!」


「いや~メンゴメンゴ、死は取り除いてたけど痛みは取り除いてなかったの~、回復してあげるから許して?」


「許すかボケェ! で何で戻ってきたんだよ、あいつ倒すんじゃなかったのか!」


 天照は片手を前に出し、片目を瞑り、舌を出しながら謝るがアデルの怒りは収まらない。

 そしてアデルは怒りながら右手でオケアノスを指差す。

 示されたリヴァイアサンを見て、天照はバツの悪そうな顔をする。


「いや~それがちょっと旗色悪いのん、ってわけで生かしておいてあげたんだから手伝って?」


「はぁ!? 自称神様のお前が勝てないってのに俺が手伝って勝てるかよぉ!」


「勝てない何て言ってない~! ちょっと旗色が悪いって言ってるの!」


「同じだろーが!」


「ち~が~う~! 天ちゃん一人だと千日手になるって言ってるの!」


 アデルの反論に、天照は頭から湯気を出す古式な表現で怒りを表す。


「あいつは魔法や恐らく魔術にも反応してそれを打ち消してくる訳、だから天ちゃんは殴り合いをしたいけど……ここだと天ちゃんの信者が居なくて力が全く出せないの」


「信者?」


「有り体に言えば天ちゃんの事を信じる心を持った存在の事」


「ならここに一人居るぞ?」


「きゅんっ……その言葉胸に響くぅ、でも赤毛が天ちゃんの事信じてても全然パワー足りないのよね~相手は11/11とかだけど今の天ちゃん2/2よ? 熊と同レベルよ熊よ」


 突然の告白に天照は右手で胸を掴み、ときめいた顔をする。

 だが真顔に戻ると左手で指を二本立て、自分の今のサイズを説明する。


「よえー……俺でも殺せるじゃん」


「まあ破壊不能なんですけどね~ってこういう話はいいの、問題なのは天ちゃんとあれが殴り合っても特に何も起こらないのが問題、天ちゃん達の目標は勝つ事なんだから」


「なるほどなぁ……で、俺にあれと殴り合うのを手伝えと?」


「したいなら止めないけど、そうじゃないでしょ? 赤毛の役割はあれのサイズを縮める事」


「割とそれも無理ない?」


「大丈夫大丈夫へーきへーき! 様はやってやろうって言う心意気よ! 根性よ!」


 今の天照のサイズを聞き、自分と同列の弱さである事を知ったアデルは呆れた顔をする。

 そんなアデルに天照は竹刀を霊力で練成すると、ビルの床を竹刀で叩きアデルを焚きつける。

 

「突然の根性論はやめていただきたい、だがまあ……結局倒さないといけないってんならやるしかねーか」


「あ、マジで乗るの? 正直無理があるかと思ってたんだけど今の」


「しょうがねーだろ、突然山坂に連れてこられて挙句放置されたままとか最悪ここに忘れ去られる可能性あるし、仕事するわ! したくねーけど!」


「きゅんっ……! 物凄く利己的な考え方だけど嫌いじゃないわよそういうの!」


「んで、俺は何すりゃいいんだ? サイズ下げるったって俺は魔法の扱い得意じゃねーぞ」


「だ~いじょ~うぶ、赤毛には赤毛向きの力仕事があるの!」


「力仕事ぉ?」


「えぇ! それじゃあ頑張って、リヴァイアサンの上に潜入して生えてる砲塔を一個ずつ破壊してきて!」


 その発言の後、アデルはビルから飛び降り逃走を計るが。

 当然の如く天照に捕らえられ、単身リヴァイアサンの上での破壊活動を行う事になってしまう。


「天ちゃんの加護は続いてるから飲み込まれない限りはへーきだから、頑張ってね~♪」


「クソ女ーーーーーー!!」


「射出ーーー!」


「絶対後で殺してやるからなてめぇ──!」


 かくして、アデルは天照製の急ごしらえ発射台でオケアノスへと発射されるのだった。



EVER17WEEKが終わってしまうので初投稿です

やべぇよやべぇよ

そして二週連続遅れて申し訳ない


世界を食らうもの、オケアノス/OKEANOTH,WORLD EATER


世界を食らうもの、オケアノスが攻撃するたび戦場に居るクリーチャー二体を追放する。

その後世界を食らうもの、オケアノスに+1/+1カウンターを二つ置く。


覚醒:青青青


このクリーチャーが覚醒コストを払った時、まだ覚醒をこのゲーム中に一度もしていないのならこのクリーチャーを覚醒させる。

このクリーチャーが覚醒している場合、対戦相手が唱える4マナ以上の呪文を全て打ち消す。


7/7

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