世界地図を確認したら
部屋に入ると内部は前面白塗りの壁に覆われ、中央には巨大なモニターとホログラフィックで再現された地球が浮かんでいた。
しかし其処以外は電気が入っていないのか薄暗い。
「おー…この部屋入るのって眠る前以来だっけ?懐かしいなー」
先に部屋に入っていた田崎が、きょろきょろと周囲を見渡す。
「千年前とはいえ僕達的にはついさっきの出来事だからな…ほんとに千年経ってるのか正直怪しくはあるけど」
通路から山坂と永村が部屋へと入り、そう答える。
「いや流石に私達三人にどっきり大成功!する為にあんな大仰な試験と手術したわけじゃないでしょ」
「って言ってもなー、実感として俺たちが居た時代から千年経ったって感覚が沸かないよなー」
田崎が両腕を頭の後ろで組みながら、そうぼやいた。
「んなわけで、実際に千年後かどうかまずはムービーで確かめてみるってのはどうだ?」
彼は部屋の中央、ホログラフィックの下にあるコンソールをカタカタと弄り始めると永村へそう返した。
「施設全域の稼動許可申請を受け付けしました……施設稼動には管理者の許可が必要です、管理者である証明をお願いします」
管理者補助AI、ペスの声が響くと田崎が叩いていたコンソールの代わりに別にコンソールが現れる。
そのコンソールには、丁度三人分の指紋認証機が備わっていた。
「んじゃ早速施設稼動させますか、これがどっきり大作戦じゃないことを確認する為に」
田崎が指紋認証機へ手を置く。
「まあ…確かに今地上がどういう状況になってるのか確認する必要はあるし…」
山坂がコンソールに近づき…。
「田崎君もそういう提案できるように成長したんだねぇ…うんうん」
永村もコンソールへ近づく。
「「田崎の意見に賛成!」」
三人は同時に指紋認証機へ手を置いた
「照合中………」
「管理者三名の指紋と一致、続いて管理者のコードネームをお答えください」
指紋の読み取りが完了すると、そのコンソールが収納され、新たにマイクが出現した。
「いやー…めんどいなぁ、いやこの程度の承認で全施設が稼動するなんて楽チンっちゃ楽チンなんだけども」
「山坂憲章、コードネームはジョニー」
「ま、実際ほんとに破格だよなーこの程度の認証でいいってのは……田崎龍次、コードネームはティミー」
「はいはい無駄口叩かないの、認証失敗しても知らないよ? 永村博太、コードネームはスパイク」
三人がそれぞれぼやきながら、マイクへ自身のコードネームを言う。
「…………声音認証完了、コードネーム一致」
ペスの声が響くとマイクが収納され、コンソールが再び現れ始める。
「エクィロー全施設、稼動します」
「ようこそエクィローへ、全人類の希望を我々は歓迎します」
カッ、カッ、カッという音と同時に部屋の照明が灯り、部屋全体が明るくなる。
「よし、認証はクリアっと…んじゃペス、早速だが監視衛星と繋げてくれ、今の地球がどうなっているのか確認したい」
「了解しました、監視衛星へ接続中………接続、映像、正面モニターに出ます」
ブゥンという音と共に、ホログラフィックの地球の向こう側の巨大モニターが映像を映し出す。
「えーまじ………?」
「オイオイオイ」
「死んでるわロシア」
モニター画面に映った地球はほぼ世界地図通りだったが、大きな違いが二つあった。
まず一つはロシアに5つの巨大なクレーターが出来ており、ロシアと中国や北欧との国境であったろう場所には巨大な山脈が出来ていた。
「あれ?マレーシア半島ってオーストラリアの近くにあったよな?見つからないんだけど」
「あれ…ほんとだ、おかしいなこの辺りにあったはずだけど…ペス、地図拡大してみて」
田崎、山坂が世界地図を拡大し探していると。
「んー?ねぇ二人とも、この抉れてる地形の部分ってもしかしてマレーシア半島じゃない?ほら、千年前の地図と照らし合わせると…」
永村が、千年前の世界地図のデータをモニターの現在の地図と照らし合わせる。
「オイオイオイ」
「消滅してるわあいつ」
もう一つの違いは……インドネシア、マレーシア半島が地図から消滅していることである。
投稿ペースは不定期です
次:全世界の生命頒布を確認したら投稿します
地図はhttp://gahag.net/002093-world-map/
[フリーイラスト] 世界地図でアハ体験様よりお借りしました、この場を借りてお礼申し上げます。
また適当な変更を加えた事に対してもお詫び申し上げます