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人類ガバガバ保護記   作者: にっしー
札幌制圧編
7/207

千年経ったら

西暦3418年 3月1日


 部屋全体が白に覆われた部屋の中に、三つのカプセルポッドがあった。

 その部屋の中に機械的な音声が響く。


「起動準備…管理者ルーラーズ起動まで残り5…4…3…」


「起動」


「ハイバネーションを解除中…管理者のバイタル、管理システム共にオールグリーン」


 その音声と共にカプセルが徐々に開き始め、白い冷機の靄が溢れ始める。

 そのカプセルの中には三人の男達が眠っていた、見た目は20代後半位だろうか

 先に目を覚ましたのは天然パーマの男…見た目はひょろっとしていて頼りなく見える。

 この男の名は山坂憲章やまさかのりあき


「ん~…あー………えぇ…もう千年経ったわけ?後五年位寝かせてくれ…」


 カプセルの中で両腕をピンと伸ばし、欠伸をしながら呟く。


「認められません、管理者としての責務を果たしてください」


 男の呟きに、無機質な音声が答えを返す。


「あー…はいはい、分かった分かった起きればいいんだろ?ペス」


 カプセルの中で顰め面をしながら山坂は起き上がり、その機械的な声に答えを返した。


「しかし千年前と変わらずだなペス、まあ変化しないように作ってあるんだけどさ」


 この機械音声の主はペス、管理者達を補助する為に作られたスーパーAIだ。


「山坂様、お褒めいただきありがとうございます、では残り二名の覚醒を促し本来の業務を行ってください」


「はいはい、やればいいんでしょやれば……いや、しかし僕が一番先に起きるのか…めんどくさ、こういう場合大体、田崎たざきから起きて僕と永村ながむらを起こしてくれるってのによー…」


 山坂は愚痴を溢しながらカプセルから地面へと立ち、体を伸ばしながら残りのカプセルへと近づいていった。


「おーい、田崎~起きろー仕事の時間だぞー」


 山坂がぺちぺちと、未だカプセルの中で寝息を立てている田崎の顔を叩く。


「フハハハー、それともあれかー?死んだかー?」


 と更にぺちぺちと顔を叩く速度を上げていく。


「バイタルは正常です、管理者 田崎龍次たざきりゅうじは──


 ドゴッ!という鋭い音と。


「おごぉっ!」


 という山坂の声が、機械的な音声の後に響いた。


「覚醒しています」


「ペス、出来ればもう少し早く言ってくれ……」


 と山坂が地面に蹲りながら、機械的な音声へと返した。


「うっせーなー…人の顔叩きやがってそんなに俺に殴られたかったのか?」


 カプセルの中から田崎が起き上がり、右手で頭を掻きながら言った。


「うぐぐぐ、ぼ、暴力はいけないと思うなぼかぁ…! ほんの軽い冗談なのに普通に殴りやがって……死んだらどうするんだ…不老ではあるけど不死じゃないんだぞ僕らは」


 山坂は蹲りながら、田崎の方へ顔を上げる。


「そんな程度で死ぬほどヤワじゃないだろ俺等…多分」


 田崎は呆れた顔を山村へ向けながらカプセルから降り、地面に立ち体の感覚を確かめる。


「んー?さっきお前殴った時も思ったけどやっぱこう…なんつーか千年寝てたら体鈍ってる気がするな」


「まあ流石に千年も凍ってたらな…僕も鈍ってる感覚やばい、それよりそろそろ永村起こす?」


 腹部に手を当てもう一つのカプセルを指差しながら田崎へ聞いた、若干苦悶の表情を浮かべている。


「起きるとは思わないけどまあ起こすか、俺たち三人居ないとメインシステム起動しないし」


 田崎はそう言うと永村が眠っているカプセルへと近づき──ビシッとデコピンを未だ眠っている永村へと放った。


──────────────────────────────



 カツーン、カツーンという靴音を通路に響かせながら3人は歩いていた。


「いたたた…何も起きないからって私の顔面にグーパン入れることは無いでしょ」


 永村が顔面を抑えながらそうぼやいた。


「起きなかったお前が悪い、なんだってそう寝起きが悪いんだお前は…ほんとにあの手術受けたんだよな?」


「いや確かに私も受けたけど…あの手術は単に不老にするだけの手術で寝起きを良くするとかではないでしょ」


「…そうだっけ?山坂」


 田崎が先頭を歩いていた山坂に声を掛ける。

 山坂は突き当たりの扉の開放手続きをしていた。


「管理者と認めます、ようこそ中央フロアへ」


 ペスの声が響き、扉が開くと山坂は田崎へ振り返り熱弁を振るう為口を開けた、若干早口で。


「お、何?テロメアとかテロメラーゼについての熱い講義受けちゃう? テロメア (telomere) は真核生物の染色体の末端部にある構造。染色体末端を保護する役目をもっていてtelomere はギリシア語で「末端」を意味する τέλος (telos) と「部分」を意味している。 μέρος (meros) から作られた語である。末端小粒まったんしょうりゅうとも訳され──」


「あー、はいはい分かった分かった!お前のその生物学とか細胞学についての高説はいいって!さっさと中入るぞ!」


 山坂が饒舌に語りだした所を田崎はうんざりだという顔をしながら答え、一人で部屋の中へと入っていく。


「…あいつから聞いてきたのに今の酷くない?」


 山坂は永村へと問い、永村はやれやれといった素振りをしながら部屋へと入っていった。



暇つぶしで書いているので投稿ペースは不定期です

GW?そんなもの…ウチには無いよ、地味に管理者一名の名前が変わっていますがこちらが本来想定していたもので初期のが間違いでした

次:世界地図を把握したら投稿します

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